広大な領土からさまざまな気候帯が存在し、複雑な地形と豊かな風土に恵まれたアメリカ。ここには、変化に富んだダイナミックな大自然が広がっています。

それらの多くは国立公園に指定され、原生のままの自然の維持、保護が徹底されているため、誰もが手付かずの自然景観を満喫できます。現在は59の自然公園の他に、歴史的史跡やモニュメント、メモリアルなどが含まれる340を越える地域が国立公園として指定されています。

2016年は国立公園局設立100周年の記念年

14615_NPS02

内務省内に国立公園局(NPS)が設置されたのが1916年。そして今年はNPSが設立されて100周年という記念すべき年になります。

「体験を通して環境への関心を育む」という運営方針から、各国立公園には必ずレンジャーが常駐しています。レンジャーは公園内の整備や治安維持のほか、自然環境を守ろうとする意識喚起を促すと同時に、公園と人とを結びつける架け橋を担っています。

そんな徹底して守られてきたアメリカの素晴らしき国立公園3選をご紹介します。

1:国立公園の原点、世界一の熱水地帯   イエローストーン国立公園

1:国立公園の原点、世界一の熱水地帯 イエローストーン国立公園

1:国立公園の原点、世界一の熱水地帯 イエローストーン国立公園
1:国立公園の原点、世界一の熱水地帯 イエローストーン国立公園

アメリカ大陸を南北に貫くロッキー山脈のほぼ真ん中、周囲を4,000m級の険しい山々に囲まれた盆地があります。これは1800万年ほど前から続いた噴火によって、幾重にも積み重なった巨大な噴火口跡。イエローストーン国立公園は、その噴火口跡がそのまま公園となっています。地表からわずか数キロ下は今もマグマが溜まり、地球上の3分の2にあたる間欠泉が200以上、温泉に至っては1万カ所以上が点在します。

また間欠泉などの熱水地帯の他にも、エルク(アメリカアカシカ)やアメリカバイソンなどの野生動物が生息する平原や森や大峡谷など、多種多様な自然が見所です。

これらの貴重な生態系を抱えていることから、イエローストーン国立公園は、世界で最初の世界自然遺産に登録されました。国立公園という自然保護の概念も、イエローストーン国立公園の類い稀な自然美から生まれたものなのです。

イエローストーンは冬も楽しい!

イエローストーンは冬も楽しい!

イエローストーンは冬も楽しい!
イエローストーンは冬も楽しい!

夏期に訪れる印象が強いイエローストーン国立公園ですが、実は冬期の11月〜4月こそ面白い場所なのです。

全てが白銀の世界の中で、間欠泉から吹き上がる水蒸気によって周囲は霧氷の森となります。その幻想的な景色を見るだけでも訪れる価値は十分ありますが、寒さに耐えて生き抜く野生動物たちの姿は心を強く揺さぶります。厳しい環境ゆえに、群れから逸れたものや、体力のないものは命を落とす。自然の掟に人間が手をだすことはできません。時にはマイナス40℃にもなり、公園内への入場も雪上車に乗り換える必要性があるなど、夏に比べて制限はありますが、冬期こそ自然の驚異を存分に見せつけてくれます。

2:アメリカ民主主義のシンボル  マウント・ラッシュモア国立記念公園

2:アメリカ民主主義のシンボル   マウント・ラッシュモア国立記念公園

アメリカで自由の象徴が「自由の女神」ならば、その自由を支える理念の象徴が「マウント・ラッシュモア国立記念公園」。アメリカ人ならば、一生に一度は訪れるべき公園だとされています。

アメリカ50州の州旗がなびく民主主義の殿堂では、5〜9月の夜間にライティング・セレモニーが行われます。野外ステージで行われる、レンジャーによる歴史のレクチャーの後、左から建国の父「ジョージ・ワシントン」、フランスからルイジアナを買収しアメリカの国土を拡張、また議会制政治を導入した「トーマス・ジェファーソン」、パナマ運河を建設しアメリカ経済を活性化させた「セオドア・ルーズベルト」、アメリカに自由と人権をもたらした「エイブラハム・リンカーン」といったアメリカ史上で、もっとも重要な功績を残した4人の大統領の顔がライトアップされ、暗闇に浮かび上がります。セレモニーは厳粛に行われ、一見の価値ありです。

ライトアップ・セレモニーは愛国心を再認識する時間と捉えられており、日本人でも見学していると胸が熱くなるほど。アメリカの自由への歴史を体現できる国立記念公園です。

マウント・ラッシュモアに対抗する「クレイジー・ホース記念碑」

2:アメリカ民主主義のシンボル   マウント・ラッシュモア国立記念公園

「マウント・ラッシュモア国立記念公園」から30 kmほど離れた岩山に建設中の「クレイジー・ホース記念碑」は、スー族の英雄を描いたもの。ネイティブ・アメリカンにも偉大な英雄がいたことを主張するべく、1948年に制作が始まり、65年以上が経った現在も製作中の記念碑です。

このふたつの彫刻があるサウスダコタ州は、もともとネイティブ・アメリカンの先住地でしたが、のちにアメリカ陸軍との争いに負けて占拠され、40番目の州となりました。そんなアメリカ史の縮図ともいえるこの地で相対する「大統領の顔」と「ネイティブ・インディアンの像」。合わせて訪れると、また違ったアメリカの一面を知ることができます。

3:森林からツンドラまで幅広い自然を楽しめる   ロッキーマウンテン国立公園

3:森林からツンドラまで幅広い自然を楽しめる ロッキーマウンテン国立公園

3:森林からツンドラまで幅広い自然を楽しめる ロッキーマウンテン国立公園
3:森林からツンドラまで幅広い自然を楽しめる ロッキーマウンテン国立公園

万年雪を頂いた4,000m級の山々がアメリカ大陸を南北に貫くロッキー山脈。その名を冠に持つのがロッキーマウンテン国立公園です。最大の特徴は、標高4,000m級の山々が鎮座する山頂付近のツンドラ気候から、低地に向かってステップ気候となる気候帯の広さ。森林限界からアスペンを中心とした樹木の森、そしてワイルドフラワーの群落まで、ひとつの公園で観察できることです。

そんなロッキーマウンテン国立公園の広さは桁違い!150の湖、700kmを越える川、600kmに及ぶトレイルが完備されています。初心者でも安心な1kmほどのトレイルから、ロッキー山脈の最高峰4401mのエルバー山の登山まで楽しみ方もいろいろ。ロッキーマウンテン国立公園へは、デンバーから車で約1時間半。ゲートウェイとなるコロラド州の州都デンバーへは日本からの直行便があります。また西海岸経由でのアクセスも容易です。

ロッキーマウンテン国立公園の入口にある、世界の心霊マニアも憧れるホテル

ロッキーマウンテン国立公園の入口にある、世界の心霊マニアも憧れるホテル

1909年創業の「スタンリーホテル」は、ロッキーマウンテン国立公園の入口にある街、エステスパークのランドマーク的存在。この「スタンリーホテル」には本当に幽霊が出るという噂があり、作家スティーブン・キングが実際にホテルに宿泊した際に、ホラー映画の金字塔『シャイニング』の原作を思いついたのだとか。ホテル側にしてみれば「幽霊が出る」なんて隠しておきたいことに思えますが、むしろそれを売りにしてしまうところがアメリカです。夕方から「ナイト・ゴースト・ツアー($28)」 を主催し、それがまた人気を博しています。

泊まらなくてもツアー参加は可能。ロッキーマウンテン国立公園とセットでどうぞ!ちなみに日中はウエディングパーティーも頻繁に行われるエレガントなホテルです。

日本の約25倍もの面積を有するアメリカ。その広大な土地に残る千変万化の自然の管理と保護を実行し続けること100年。野生と自然に満ちた国立公園は、数時間の滞在ではもったいない!ぜひ公園内や付近に宿泊して、素晴らしい時間を過ごしてください。

あわせて読みたい!

取材協力/ コロラド・サウスダコタ・ワイオミング州政府観光局