モロッコ青の迷宮シャウエン、幻想的な街の楽しみ方とのアクセス方法

街中の建物が青で染められた街、モロッコのシャウエン。
その幻想的な光景は「死ぬまでに一度は見たい!」と、誰もが口をそろえて絶賛するほど美しく、世界中から集まる観光客を魅了しています。この美しい光景が生まれた背景や街へのアクセスなど、シャウエン旅行に必要な情報についてご紹介しましょう!
シャウエンは、正式名称を「シェフシャウエン(Chefchaouen)」といい、モロッコ北部リーフ山地の中腹に位置する街です。ヨーロッパとアフリカ大陸を隔てるジブラルタル海峡から南に100kmほどの場所にあり、モロッコの中でも比較的スペイン側に位置しています。
マラケシュやフェズなどもそうですが、モロッコの街は昔からある旧市街(メディナ)と、近代に入ってから作られた新市街に分かれており、シャウエンの「青の街」は旧市街のこと。旧市街の入口である小さなゲートをくぐると、そこからいきなり目の覚めるような青い世界が広がっています。
家々の壁が青く染められた光景は、実際にその場に行くと写真で見る以上の美しさ。どこか幻想的で、おとぎの世界に迷い込んだようだとも、水の底にいるかのようだとも形容されます。坂や小道が多いメディナの中は迷宮のように入り組んでいて、そこに迷い込みながら街の空気を感じるのがシャウエン観光の醍醐味です。
街中の壁が青く塗られている理由は諸説ありますが、よく言われているのはスペインの支配を逃れここに定住するようになったユダヤ教徒にとって神聖な色であったというもの。シャウエンの街にどこか静謐な空気が流れているのはそのせいかもしれません。
また、ほかにも「蚊除けの効果がある」「夏の暑さを視覚的に和らげる」などの理由があるとも言われており、今となってはシャウエンに住む人々ですら本当の理由は知らないのだとか。なんともユニークな話ですが、そんな神秘性もシャウエンの魅力のひとつといえるでしょう。
シャウエンは山間にある小さな街なので鉄道は通っておらず、旅行者が訪れる場合は公共のバスを利用するか、タクシーをチャーターすることになります。ただ、モロッコは日本に比べると比較的物価が安いとはいえ、タクシーを何時間も走らせるとそれなりの金額になります。基本的にはバス移動するつもりで計画を立てるといいでしょう。
2019年2月現在、国営のCTM社はモロッコ国内のいくつかの都市からシャウエン行きのバスを運行していますが、旅行者にとって訪れやすいのは空の玄関口でもあるカサブランカか、世界遺産の街として有名なフェズです。どちらも1日の便数はあまり多くないので、事前にしっかりとスケジュールを確認しておきましょう。
カサブランカからシャウエンへのアクセス(モロッコ国営バスCTM利用)
フェズからシャウエンへのアクセス(モロッコ国営バスCTM利用)
その土地の名物料理を食べるのは旅行の楽しみのひとつ。タジンやクスクスもいいのですが、これらはモロッコならどこでも食べられます。せっかくシャウエンを訪れたら、ぜひビサラを試してみましょう。
ビサラはそら豆やひよこ豆をすりつぶしてスープにしたもの。豆のポタージュスープといえばイメージしやすいかもしれません。ランチやディナーの付け合せはもちろん、朝はこのビサラとパンだけで立派な朝食になります。お好みでオリーブオイルやクミンなどのスパイスを振りかけていただきましょう。
ベージュ色ののっぺりとした外見は写真映えこそしませんが、観光で歩き疲れたカラダにも染み渡るようなほっとする味わい。シャウエンは山間にある街なので朝夕は冷え込みますが、そんなときでもカラダを優しく暖めてくれる名物料理なのです。
photo by elchicogris
シャウエンの魅力は、その青い幻想的な街並みだけではありません。実は、本当の魅力的は「素朴な田舎町」であることなのです。
一般的に、イスラム圏の国々は旅行者に優しく親切な人が多いですが、マラケシュやフェズのような超有名観光地はツーリスティックな一面もあります。メディナに立ち並ぶお土産物屋さんにしつこく売り込まれたり、街中で突然ツアーの勧誘をされたりして、驚いた経験のある人もいるのではないでしょうか。
もちろん、シャウエンも観光地であることに変わりはありません。しかし、山間の田舎町であるせいか、どこか人々がのんびりしていて観光客ずれしていないのが大きな特徴。モロッコ人が「昔の素朴なモロッコが残されている」というほどで、初めてモロッコを訪れる人にも旅行しやすい街なのです。
Cover photo by Steffan Jensen
記事公開日:2015/8/16
最終更新日:2019/2/19