令和の今こそ! 喫茶店400軒を巡ったわたしがおすすめする、愛しの「昭和喫茶」モーニング

令和の今こそ! 喫茶店400軒を巡ったわたしがおすすめする、愛しの「昭和喫茶」モーニング

はじめまして、いわしと申します。皆さん、喫茶店にはよく行かれますか? わたしはよく行きます。特に、わたしが勝手に「昭和喫茶」と呼んでいる、店主の生活感が店内のあちこちに感じられ、地元の方々の社交場になっているような古き良き喫茶店。

オシャレなメニューがあるわけではないし、インスタ映えするわけでもないのですが、その力の抜けた独特の雰囲気がわたしの心を癒やしてくれます。

7年前に始めた喫茶店モーニング巡りも、今や約400軒以上。今回はその中から、わたしが特におすすめする「昭和喫茶」のモーニングをご紹介します。

かつてわたしが好きだった秋葉原の「アカシヤ」、池袋の「ハイマート」などは、閉店のため、2019年7月現在はもうありません。「昭和喫茶」の朝ごはんは、いつまで食べられるか分からないのです。東京にお住まいの方はもちろん、夏休みに旅行で東京を訪れる予定の方も、都会の喧騒から離れた喫茶店で朝をスタートしてみませんか。

いわし流「フルコース」でモーニングを味わい尽くす

お店のご紹介の前に、まずわたしなりのモーニングの楽しみ方を説明させてください。

わたしはどのお店でも、モーニングとしては定番のシンプルなトーストとサラダのセットをオーダーします。通常、バターやマーガリンはすでにトーストに塗られている場合が多いのですが、可能であれば別添えで。

いつも同じ条件でオーダーすることで各店の特徴が分かり、純粋に違いを楽しめるということもありますが、シンプルなセットだからこそ、自分なりにアレンジしながらモーニングの「フルコース」を楽しめるということが大きな理由。実は、わたしはひとつのモーニングを3つの段階に分けて味わうのです。

最初は「オードブル」。バターやジャムなど何も付けず、素のトーストをダイレクトにいただきます。素材の味をじっくりと楽しみます。

次は「メインディッシュ」。大きめの一切れに切れ目を入れてポケット状にし、その空洞にサラダやたまごなどを挟みます。こうすると、ボリュームたっぷりのポケットサンド(略してポケサン)になり、これを思い切り頬張ります。

最後は「デザート」。フルーツがあるときはそちらをいただくだけでも十分ですが、ないときはトーストをデザートにします。バターが塗られた部分にコーヒーシュガーを振り、シュガーバタートースト(シュガバタ)にするとスイートに食事を締めくくることができます。ジャムが添えられているときは、ジャムトースト(ジャムトー)にするのもいいですね。

モーニングのフルコース
いつもわたしが実践している、モーニングのフルコース。トーストをポケットサンドのようにしたり、デザートとしてシュガーバタートーストにしたりと、アレンジを楽しんでいます

こんなモーニングの「フルコース」、皆さんもいかがでしょうか。
それでは、わたしがおすすめする「昭和喫茶」の紹介にうつりましょう。

フルーツ付き! 朝からぜいたくな気分が味わえる「ラフレッサ」(新日本橋)

最初にご紹介したいのは、JR総武線・新日本橋駅から徒歩1分ほどの場所にある「ラフレッサ」。日本橋三越本店やコレド室町の通りからちょっと裏に入ったところにあり、まるでそこだけ異空間のようにひっそりと佇んでいます。

年季の入った看板

昔話を連想させるようなうっそうとしたツタの絡まるファサードに、崩落してしまうのではないか? と思わず心配になるような年季の入った看板が印象的。

LAFRESA(ラフレッサ)

初めて訪れたときは少々不安になりましたが、裏手に回ればここがコーヒー屋さんであること、店名が「LAFRESA(ラフレッサ)」であることが分かります。

LAFRESA店内

店内は、親しみやすい落ち着いた空間が広がっていて、物腰の柔らかな優しいマダムと、機転の利くスタッフさん、そして常連と思われるお客さんたちの交流が和やかな雰囲気を形作っています。

こちらで用意されているモーニングメニューは、「ツナサンド+ゆでたまご」「ブルーベリージャムトースト+ハムエッグ」など全部で4種類。いずれもサラダとコーヒーが付いて、ワンコイン(500円)で楽しめます。

バタートースト+ハムエッグ

お気に入りは「バタートースト+ハムエッグ」のAセット(わたしはバターなし)。密度が高くてしっとりしたクラム(内側にあるパンのやわらかい部分のこと)が印象的な厚切りトースト、野菜の味がしっかり感じられるグリーンサラダ、自家製と思われる素朴なポテトサラダ、半熟目玉焼きのハムエッグがセットになっています。

しかも、メニューには書かれていないフルーツまで付いてくるのがうれしいところ。朝からフルーツまでしっかり食べられるなんて、なんだかゴージャスな気持ちになりますよね。

バタートースト+ハムエッグ

二切れあるトーストは、まずそのままをひと口オードブルとしていただきます。次に一切れはポテトサラダを中心としたポケサンに、もう一切れはハムエッグを挟んだポケサンにして、ボリューミーで豪華なメインディッシュの完成です。お腹もしっかり満たされます。

デザートには、芳醇な香りを放つ網目の入ったメロンを堪能し、サイフォンで丁寧に淹れてくれた香り豊かなコーヒーをいただいて、ごちそうさま。価格、内容、ホスピタリティ、どれをとっても圧倒的にレベルが高く、都内最強モーニングのひとつだと思います。

ラフレッサ
住所:東京都中央区日本橋本町4-2-8
TEL:03-3241-2613
営業時間:07:00~19:00(モーニング 開店〜11:00) 土日祝休

懐かしのゲーム卓にお目にかかれる「ジョイ」(浅草)

浅草の中心地から離れた、観光客はあまり来ないような浅草寺の裏手にあたる奥浅草エリアにあるのが「ジョイ」。

入り口のショーウィンドウには昔ながらの食品サンプルが陳列され、店内に足を踏み入れると大きなタバコの自販機に豪奢な花柄の布張りシート、そして今やあまりお目にかかれない麻雀などで遊べるゲーム卓という妖しのコントラスト(プレイしているお客さんは見たことないけれど)。

ジョイ店内

お客さんは地元の方と思われる年配の方が多いほか、ドラマのロケにも使われたことがあるらしく、ロケ地巡りをしていると思われる人もちらほらいます。

モーニングには「おにぎり+お味噌汁+漬物」など和食もあるようですが、わたしはいつだって「トースト+ゆでたまご+サラダ」のAセット(520円)。いずれのセットにもドリンクが付きます。

トースト+ゆでたまご+サラダ

注目は、四枚切りよりも分厚い迫力たっぷりのトースト。いつもバターは別添えで出していただいているのですが、表面はカリッと香ばしく、内面はやけどしそうなほどアツアツしっとりに仕上げてくれます。家で焼いてもなぜか絶対にこうはならない、昭和喫茶マジックなトースト。分厚いのでポケサンにも最適です。ゆでたまごと、コーン入りがうれしいサラダをたっぷり挟んでお腹いっぱい。

ジョイ
住所:東京都台東区浅草3丁目37-6
TEL:03-3871-3281
営業時間:月〜金 09:00~20:00、土祝 09:00~18:00(モーニング 開店~11:20) 日曜休

さりげない心配りが光る接客も魅力「阿蘇」(有楽町)

東京メトロ有楽町線直結の交通会館地下1階にある「阿蘇」。フロアには、各地のアンテナショップに混じり、昭和の頃から何十年もそこにあると思われる渋いお店が並びます。

阿蘇

入り口の暖簾

看板の下には提灯が下がり、入り口の暖簾(のれん)の上にはアルファベットで「ASO」の文字。絶妙なちぐはぐさに心が踊ります。

阿蘇店内

中はカウンター席のみでぎっしりとハイチェアが並んでいて、うなぎの寝床のような作りが楽しい。スーツを着た男性の一人客が多く、リピーターなのか「いつもの」的なオーダーが目立ちます。

トースト+サラダ+ゆでたまご+ジャム

モーニングはコーヒーか紅茶に「トースト+サラダ+ゆでたまご+ジャム」(400円)の一種類のみ。四枚切りの角型食パンをしっかり焼いた香ばしいトーストといちごジャム、キャベツのみのシンプルなサラダに、ゆでたまご。それに、小鍋で温めるという昭和喫茶的なスタイルのコーヒーが付きます。これらが全てきれいに木のトレイに収まった佇まいは「あなたへのおもてなし」って感じがしてうれしくなりますね。

トースト一切れはサラダとゆでたまごを挟んだポケサンに、もう一切れはいちごジャムを付けてジャムトーにしました。これで400円とは驚きです。

何度か訪れていますが、お客さんへの応対はときに下町のおばちゃんのようなフランクさ。いつも帰り際に癒やしの一言をくれます。

初めて行ったときには「うしろに段差あるからね、注意して」と見送ってくれたし、「リュックのチャック開いてるよ!」と指摘されたこともありました。ほかのお客さんにも「行ってらっしゃい」とか「ご苦労さま」とか、それぞれに最適な一声で送り出しているのを見かけます。

こうしたさりげない心配りを感じられることも、「阿蘇」に行く楽しみのひとつです。

阿蘇
住所:東京都千代田区有楽町2-10-1 東京交通会館 B1F
TEL:03-3213-4530
営業時間:月〜土 08:00~18:00(モーニング 開店~10:30) 日曜休

珍しい六つ切りトーストが印象的「マーガレット」(東池袋)

東池袋の首都高の下にある、昭和の香りを感じさせる喫茶店「マーガレット」

マーガレット

看板の文字のフォント、色合い、バックの格子柄と、非常にエレガントな雰囲気を醸し出しており、店名にしっくりなじんでいます。

マーガレット店内

1階と2階を使ったツーフロアの営業で、統一感のある深緑のツルッとしたソファが並ぶ2階はかなり広々。場所柄、お客さんは地元の方だけでなく、海外からの観光客もいて、客層はさまざまです。

トースト+ゆでたまご

モーニングは「トースト+ゆでたまご」というシンプルな一種類だけで、ドリンク価格にプラス100円でオーダーできます。ホットコーヒーの場合は400円なので、ワンコイン(500円)です。

特徴はなんといっても六つ切りのトースト!

トーストの切り方って、お店の個性が発揮されるなかなか味わい深いポイントだと思うんです。わたしが今まで行ったことのあるお店だと約65%は二つ切り、30%は三つ切りで、六つ切りでの提供は5%以下。マーガレットのトーストの切り方はとてもレアなんです。

そんな珍しいカットを施されたトーストと硬めのゆでたまごが、酸味の強過ぎないバランスの良いブレンドコーヒーに付いてきます。これらがプラスチックのプレートに全部ちんまりと収まっている光景だけでもテンションが上がりますね。しかもこのプレート、よく見るとコーヒーソーサーやエッグスタンドになるかわいらしいくぼみがあります!

「エレガントさ」と「ファンシーさ」が共存

さらに、トーストをよけるとその下にはニンジンが! マーガレットは、「エレガントさ」と「ファンシーさ」が共存する、胸躍る「昭和喫茶」なのでした。

マーガレット
住所:東京都豊島区南池袋2-43-17
TEL:03-3987-4357
営業時間:月〜土 08:30~20:00(モーニング 開店~11:30) 日祝休

ゴージャス感溢れる店内と、てんこ盛りサラダ「トロント」(入谷)

地下鉄日比谷線・入谷駅から徒歩数十秒と、最高に発見しやすいロケーションのお店が「トロント」。

トロント

トロント店内

内装はえんじ色の布張りソファに大理石のテーブルで統一されており、仕切りや壁のレリーフはゴシック調。なんだか昔のキャバレーを思い出させるようなゴージャス感があります。

店内には何種類ものスポーツ新聞が置かれており、地元のお客さんが目立つ地域密着型の「昭和喫茶」。

2世代で家族経営されているようで、わたしが行くときはたいてい男性陣が調理を担当し、女性陣がフロアという役割分担をされています。たまにお子さんが帰ってくる様子を目撃することもあり、更に次の世代に受け継がれ、長く続けていただけるのではないかと、昭和喫茶ラバーとして勝手に頼もしい気持ちになっています。

モーニングセットは、ドリンクにトーストかパンケーキを基本として、そこにサラダやたまご料理などの副菜でバリエーションを付けるというスタイルで、10種類近くあります。なんとドリンクはおかわり1杯無料。副菜は、それぞれ単品としても注文可能です。

トースト+サラダ

わたしがよく頼むのは「トースト+サラダ」にドリンクのサラダセット(500円)、それに単品でヨーグルト(80円)を追加したもの。

目を奪われるのは、葉っぱ系サラダもポテトサラダもてんこ盛りのゴージャスな一皿! ポテトサラダは手作り感満載で、実家のお母さんが恋しくなるような味です。トーストは、東京の東部でおいしいトーストを提供する喫茶店で定番の卸専門パン店「サンワローラン」の食パンが使われています。

ポケサンとして楽しんだあとは、ヨーグルトにトーストをディップして「ヨーグルトースト」にすれば、デザートとしても楽しめます。

トロント
住所:東京都台東区入谷1丁目6−16
TEL:03-3876-0680
営業時間:07:00~22:00(モーニング 開店~11:00) 日曜休

絶妙のマッチングのポケサンが食べられる「千住宿 珈琲物語」(北千住)

北千住駅から徒歩5分ちょっと、商店街を抜けた先にあるのが「千住宿 珈琲物語」。隅々まで手入れが行き届いた店内はダークな色調でまとめられており、食器棚には素敵なカップが並びます。お店の端っこには焙煎機が置かれ、とてもシックな雰囲気です。座席は、カウンターや丸テーブル、ソファなどバリエーション豊かに50席ほど。

千住宿 珈琲物語

卓上には心まで温かくなるようなランプと、そのデザインにマッチしたシュガーポットが置かれていて、とってもムーディーです。

千住宿 珈琲物語

モーニングは、「マイルドコーヒー+バタートースト+ゆでたまご+自家製ポテトサラダ」(620円)の一種類。追加料金でトーストやドリンクのおかわり、ジャムの追加、好きなドリンクへの変更も可能です。マスターご夫婦をはじめ、お店の方々はとても親切かつテキパキしていて、「一切れはバターを塗らずに…」とモゴモゴお願いしたら「別添えしましょうか?」と気の利いた提案までしていただきました。

趣のあるカップで提供されたのは、少し深煎りの香り豊かなコーヒー。自家焙煎でコーヒー豆も販売しているほどコーヒーにこだわりをもっているマスターが丁寧に淹れたコーヒーは、「飲む」というより「喫む」と表現したくなるほどに奥深い。良質のコーヒークリームもたっぷりと添えられており、途中から加えてクリーミーな味と2パターンを堪能できます。

フード類は、大皿に美しく盛られて提供されます。少しきめが粗くてざっくりした食感の厚切りトーストは小麦の味わいが豊かで、耳の部分がカリッと仕上がり三つ切りされています。一切れはオードブルとして、そのまま。もう一切れはメインディッシュとして、パプリカが振られている上品なあら潰しのポテトサラダとゆでたまごのポケサンに。このポケサン、もう絶妙のマリアージュです。最後の一切れはデザートとしてシュガバタで。フルコースを堪能できて大満足です。

全てにおいて抜かりのない、地元に愛されるのが納得の名店。こんなお店があるだけで、その街自体の魅力がアップしますよね。

千住宿 珈琲物語
住所:東京都足立区千住3-6
TEL:03-3882-5524
営業時間:月〜土 08:00~20:00、日祭日 09:00〜20:00(モーニング 開店~11:30) 火曜休
公式サイト:https://coffee-story.co.jp/

変わりゆく昭和喫茶

今回ご紹介した喫茶店を含め、「昭和喫茶」には独特の特徴が数多くあります。

一般紙よりスポーツ紙の方が圧倒的に多く置かれていたり、全面喫煙のお店が多かったり、店名の入ったマッチがあったり、布のおしぼりを出してくれたり、ホットコーヒーよりアイスコーヒーの値段がちょっと高かったり、銀色のシュガーポットとミルクピッチャーがあったり。たくさんのチャームポイントがあるのです。

これから「昭和喫茶」を取り巻く状況は、さらに変化していくことでしょう。ぜひ今のうちに足を運んで、このディープな雰囲気を楽しんでいただけるとうれしいです。愛すべき「昭和喫茶」で素敵なモーニングタイムを!

文:いわし……巣鴨出身・上野在住。アシュタンガヨガの練習の後に馴染みの昭和喫茶で朝ごはん、という毎日が理想。本業は大手IT企業の企画職。

編集:はてな編集部

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