投稿者 : トラベル ライター、投稿日 2019 年 6月12日

1泊2日で「その土地ならではの食べもの」と出会う ─ 郷土メシを愛するライターの松本旅

「旅をして、その土地ならではの食と出会う」

旅の楽しみもいろいろですが、私の場合はここに尽きます。今回、長野県松本市を旅してきました、ライターの白央篤司です。日本の郷土料理やローカルフードに興味があり、各地を訪ねる旅を続けています。

JR新宿駅から特急「あずさ」に乗って約2時間25分。長野県の郷土メシといえばやはり山の幸や川の幸ですね。古くから松本を旅する人々をもてなしてきた田楽や川魚料理、そして地元で愛されるスイーツなど幅広くいただいてきましたよ。しばし、郷土メシを巡る旅におつきあいください。

まずは「松本の味」を味わう

田楽木曽屋

松本に到着してまず目指したのは、和食のお店「田楽木曽屋」さん。「郷土の味を求めているのなら、まずはここに行くべき」と、以前仕事で知り合った地元の本屋さんが教えてくれました。瓦屋根に白壁、そして木の格子。趣あるなあ。

田楽木曽屋 店内

さあ、店内へ。太い梁(はり)が目を引きます。やさしい光に照らされて、使い込まれた民芸家具が黒く輝いていましたよ。

田楽木曽屋 太い梁

席についてしばし、そこかしこに飾られた民芸品に目を奪われました。

さて、何からお願いしようかな。

すんき漬け(300円)

お品書きを開いてまず目に飛び込んできたのが、すんき漬け(300円)。ああ、好きなんですよー、長野県は木曽地方の名物。塩を使わず、赤カブの葉を乳酸発酵させたものです。爽やかな酸味とシャキシャキした食感がいいんだなあ。おかか醤油でいただきます。後で聞いてみたところ、創業した方がもともと木曽地方のご出身のようです。

コイのあらい(写真はハーフサイズ、600円)

続いて、コイのあらい(写真はハーフサイズ、600円)を。

歯ざわりシャキッと、良いコイでした。味わいすっきり。木曽屋さんの酢味噌、酸味と甘みのバランスが実にいい。先のすんき漬けもそうですが、心地よい酸っぱさって疲れをほぐしてくれますね。

コイをはじめ、ドジョウやウナギ、またイワナやヒメマスといった川魚は、長らく松本、ひいては信濃(しなの・長野の旧名。信州とも)の大事なタンパク源でした。松本市内を歩いてみれば、ウナギや川魚料理をうたう看板があちこちで見られます。今も愛食されてるんだなあ。

豆腐田楽(3本、300円)

「田楽木曽屋」の屋号にもなっている名物料理、豆腐田楽(3本、300円)の登場です。身の締まった味の濃い木綿豆腐に、田楽味噌を塗ってあぶったもの。ゆっくりアテにするつもりが、うまくて一気に食べてしまいました……。

お会計の時、帳場にいらした白髪の女将さんらしき方に思わず「おいしかったです……!」と漏らしてしまいましたよ。

香ばしい田楽味噌がたまらなかった、と伝えると「お味噌と砂糖だけで作るんですよ。他に何にも入れてないの。この店は明治20年からやっているんですけどね、当初から田楽はあったようです」と、気さくにお話ししてくださいました。現在のご主人で五代目さんになられるのだとか。明治20年といえば1887年、130年以上の看板商品なんですね。

堪能いたしました。

大きないろり

お店の入り口脇には大きないろりもありました。もう少し女将さんのお話を伺いたかったけれど、団体さんが見えたのでおいとまを。今度はドジョウの柳川、コイのうま煮で一杯やりたい。また来ます!

田楽木曽屋
住所:長野県松本市大手4-6-27
TEL:0263-32-0528
営業時間:11:30~14:30(LO)、17:00~20:00(LO) 火曜休

1日に1,000~2,000個売れるという「ベビーシュークリーム」をおやつに

しばし松本を散歩。

女鳥羽(めとば)川

橋の下を流れるのは、松本市の一級河川、女鳥羽(めとば)川です。

きらきらと輝く水路や、湧き出る井戸水

松本は水の街。散歩するとあちこちできらきらと輝く水路や、湧き出る井戸水に出会えます。そして、ふと見上げれば常に山の姿。

視線の先に必ず山

通りの向こう、電線の先、トンボやチョウを目で追えば、その視線の先に必ず山が現れるんですね。あの山々に降った雨水が沢となり川となり、松本の地に湧いているんだな……。

さてと、歩き疲れて時計を見ればちょうど15時ごろ。おやつでもいただきましょうか。「松本の住民なら誰もが知っている」との評判を聞いた洋菓子店へ向かってみよう。

マサムラ

それが、こちらの「マサムラ」本店。松本駅から徒歩7~8分ぐらいでしょうか。支店も市内のあちこちにあります。

マサムラ イートインスペース

店内にはイートインスペースもあり、お茶がいただけるんです。

ベビーシュークリーム(130円)

「店の顔」と言われる、ベビーシュークリーム(130円)をお願いしました。1日に1,000~2,000個売れることもあるのだそう。

カスタードクリームみっちり

おお……小さいけれどカスタードクリームみっちり! 生クリームも合わせてあるようです。香りがいいなあ。1個なのに濃密な満足感が得られました。

食べている間にも、お客さんは途切れず。お得意様への手土産にするのであろう、年配のサラリーマン。親戚の人に贈るのか、「熨斗(のし)をつけてね」と焼き菓子のセットを2箱買っていったご婦人。自分へのごほうびか、ケーキを1個買って帰った若い女性。幅広い世代に愛されているんですね。

マサムラ本店
住所:長野県松本市深志2-5-24
TEL:0263-33-2544
営業時間:9:00~19:00(喫茶は17:30まで) 火曜休

ミツマタ 満開

さて、ちょっと宿に帰って休みますか。上の写真は松本市美術館の周りに植えられているミツマタ、まさにこの時満開でしたよ。

夜はさまざまな郷土料理が楽しめると評判の居酒屋さん2軒をハシゴするつもりです。

メニューが豊富な居酒屋で楽しむ松本の郷土メシ

風林火山

さあ、夜の1軒目です。松本駅が目と鼻の先という好立地の居酒屋「風林火山」へ。「地酒も多いし、地物野菜を使った料理や、松本名物も定番メニュー。いつでもにぎわっている人気店ですよ」と友人から聞き、開店と同時に伺いました。

長野県の日本酒がずらり

メニューには長野県の日本酒がずらり!

「全部で日本酒が何種類あるかは……ちょっと分からないですね。メニューに書いてないのも実はいろいろあるんですよ!」と、店員さん。こちらのお店、店員さんたちがとにかく徹頭徹尾フレンドリーなのです。「日本酒を飲んでみたいけど、何がいいか選べない」という方は、ぜひ相談してみてください。「飲みやすいのがいい」「注文した料理に合わせて選んでほしい」などお願いすれば、きっと好適なものを見繕ってくれるはず。

酒造店水尾の「一味(いちあじ)」

長野県飯山市の酒造店「水尾」の「一味(いちあじ)」をお願いしました。すっきり飲みやすくキレがいいなあ、つまみを選ばず何にでも合いそう。

日本有数の豪雪地帯である飯山市は、長野県の最北部に位置しています。上質なパウダースノーでスキーが楽しめる斑尾高原が有名ですね。山肌に染み込んだ雪が湧き水となります。その水尾山の湧き水を運搬して、酒仕込みの全量に使われているそうです。

馬刺し(ロース、800円)

さあ、おつまみだ。

まずお願いしたのが馬刺し(ロース、800円)です。長野県は、熊本・福島・青森などと共に馬肉文化が根付いた地域の一つで、特に松本や伊那地方では盛んに食べられてきたよう。明治16年(1883年)には馬肉専門の食堂が松本でオープンした、という記録も。

ショウガ醤油でいただくロースの刺身はさっぱりとしていて、一人で軽くこの量を平らげてしまいました。もっとコクのある方がお好みなら霜降り(1,200円)をぜひ。この日はロース・トロ・タンの三種刺身盛り(1,800円)なんてメニューもありましたよ。

塩丸イカと野沢菜のネギ和え(550円)

次に頼んだのは、塩丸イカと野沢菜のネギ和え(550円)。

この塩丸イカ、長野県のローカルフードのひとつなんです。スルメイカのワタ(内臓)を抜いてからゆでて塩漬けにしたもので、スーパーでも見かけます。

今でこそ輸送や保存技術が発達して、全国でお刺身でもなんでも食べられますが、昔は海から遠い地域で魚介といえば、塩漬けや干物が当たり前だったわけですね。長野もしかり。塩丸イカはその時代の名残なのだそう。

調べてみれば、長野で鉄道が開通して日本海側、太平洋側から魚介が1日で大量に届くようになったのは明治20年代のこと。「塩丸イカは大切な保存食で、同時にハレの日のものだったと聞いています」とは地元の方の声。今でも食べ継がれているというのに、感じ入りました。

塩漬けのイカ、ちょっと食感がシコシコするというか、弾力があって面白いのですよ。同じく県名物の野沢菜と合わせるのは「風林火山」さんの創作のよう。

こたつの席

「風林火山」の入り口脇にはこたつの席も! 1時間も経たないうちに、店内はお客さんで埋まっていきました。

まだまだあれもこれも食べたいけれど、次のお店に移動します。ごちそうさまでした!

風林火山
住所:長野県松本市中央1-3-1
TEL:0263-35-7872
営業時間:平日 17:30~23:30 不定休

太助

2軒目は「風林火山」から歩いて1分もせずに移動できる「太助」へ。駅周辺の飲食店の中ではかなり古株のお店だそう。

長野の地酒がずらり

こちらも長野の地酒がずらり。県内酒が地域別に分けて書かれているのがうれしい。

「大雪渓」槽場直汲み(1合980円)

「大雪渓」槽場直汲み(1合980円)をいただきました。ああ……なんともリッチで香り高い。うま味豊かで、最後はきれいに消えていく。

岩魚(いわな)の塩焼き(660円)

つまみには「岩魚(いわな)の塩焼き」(660円)を選びました。長野に来たらやっぱり川魚でも一杯やりたい。身もワタもしっかりしていたなあ。焼き魚のワタと日本酒ってなんでこんなに合うんでしょうね……酒が進んじゃうこと、この上なく。

魅力的な品書きがいっぱい

民芸造りの店内には、魅力的な品書きがいっぱい。地元の名物は、ほぼここでコンプリートできるのでは、と思わせる品ぞろえでした。

さて、郷土メシを巡るならば……ちょっとアレもやっぱり、いただきましょうかね。苦手な方もいるでしょうが、味は良いものです。そう、虫は長野の食文化のひとつです。ハチノコの写真を貼りますよ。

ハチノコ960円

こちら、ハチノコ960円。かなりたっぷり入ってますね、贅沢だなあ。

「仰る通り、今では獲る人がかなり少なくなりましたからね。高級品なんですよ。若い人だと食べたことない人も多くて」とご主人。ありがたく、いただきます。

うん、やっぱりハチノコってうまいっ。砂糖と醤油で炒り付けてあるんだろうな。よくできた牛そぼろのような味わいなんです。そこにカリッとした食感が加わる

駅前のスーパーではよくあるお惣菜の中にイナゴの佃煮があったのを思い出しました。その近くにはコイのうま煮がパックになって売られてもいたり。先祖が大事に食べてきたものが現代に継がれている。素敵なことだと思うのです

「太助」のご主人はとても地域食に詳しい方で、いろいろと教えていただきました。郷土メシを発信し続ける重要なステーションだなあ。またぜひ、伺わせてください。

太助
住所:長野県松本市中央1-4-4
TEL:0263-36-4976
営業時間:17:00~24:00 日曜休

長野ならではのワインも楽しみたい!

近年、日本産ブドウだけを使用して生産される日本ワインの人気が高まっていますね。長野県は国内でもワインづくりが特に盛んな地域のひとつ。松本に来たら長野ワインも楽しみたいところ。

昼間に散策して酒販店を数軒回っていたんですが、店員さんに聞き込みしておすすめしてもらった「ワインカフェ サルト」を訪ねてみることにしました。地元のワイン好きに愛されているお店だそう。

ワインカフェ サルト

早速到着、空いてるかな……?

カウンター席

カウンター席がちょうど空いていました、ラッキー! 後ろのテーブルでは地元会社の飲み会とおぼしき団体が盛り上がり中。「ワインバー」ではなく「ワインカフェ」をうたうだけあって、気さくな雰囲気で入りやすかったです。ご姉妹でやられているお店だそう。

、スパークリングに白・ロゼ・赤

グラスワインは、スパークリングに白・ロゼ・赤とさまざま。国も、ヨーロッパと国内いろいろですね。

迷いましたが、長野県安曇野市「スイス村ワイナリー」の「さくらロゼ 2017」(グラス、700円)をお願いしました。うーん、ふくよかで丸みのあるやさしい味わい。飲みやすいなあ。

メニュー

生ハムやチーズといった定番おつまみやポテトサラダなんてメニューの中に「馬肉のたたき」があって、うれしくなりました。信濃の食文化、息づいてますね

パスタやデザートのパフェもおいしいと聞きました。また次回、試してみよう。

ワインカフェ サルト
住所:長野県松本市大手2-6-22
TEL:0263-36-9333
営業時間:平日・土曜11:30~14:30(LO13:30)、17:00~22:30(LO22:00)、日曜11:00~20:00(LO19:00) 月曜、第1・第3日曜休
公式サイト:https://www.winecafe-sarto.com/

ワヰン酒場 かもしや

長野ワインを楽しむならもう一軒、「ワヰン酒場 かもしや」もおすすめ。

メニュー

メニューにあるように、かなり手頃な価格で多くの種類のワインをグラス1杯から飲める、その気軽さがうれしい。長野ならではのワインをサクッと1杯いただくという楽しさ。松本パルコのすぐ隣にありますよ。

さあ、飲んだ飲んだ……。宿に帰ってゆっくりするとしますか。

おやすみなさい。

ワヰン酒場かもしや
住所:長野県松本市中央1-10-34 公園通りビル103
TEL:0263-32-6338
営業時間:17:00~24:00(LO23:30) 日曜休
公式サイト:https://www.facebook.com/bistroKamoshiya/

2日目、松本城の朝と素敵な民芸品店

朝の松本城

松本に行ったら、ぜひ早起きして訪ねてください、朝の松本城を。

「壮麗」ってこういうことなんだなあ……と実感しました。国宝にも指定されています。

城内の開場は8時30分から

角度によって表情がまったく変わるのがまた一興。お堀には白鳥もいます。城内の開場は8時30分から。詳しくは松本城の公式サイトをご覧ください。

松本城
住所:長野県松本市丸の内4-1
TEL:0263-32-2902
営業時間:8:30~17:00(最終入場16:30) 年末を除き無休 ※時期により変動あり
公式サイト:https://www.matsumoto-castle.jp/

蔵づくりの建物が並ぶ中町通り

朝の松本散策は楽しいですよ。蔵づくりの建物が並ぶ中町通りは松本名所のひとつ。ギャラリーやショップ、民芸店が多く集まっています。

ギャラリーやショップ、民芸店

10時ぐらいからだんだんとお店もオープン。

0時ぐらいからだんだんとお店もオープン

中でも「陶片木」(とうへんぼく)というショップが好きで、松本に行くたびに通っています。味のある器やキッチン小物、民芸品がいろいろと。またお店の方も非常に気さくで、あたたかいんです。

陶片木(とうへんぼく)

手になじむ、あの箸……やっぱり買ってくればよかったな。店内写真を眺めていたらそのことを思い出して、しばし後悔中(笑)。

「陶片木」の斜め向かいには全国の民芸品が集められた「ちきりや工芸店」という有名なお店が、またその隣には「coto.coto」という素敵なセレクトショップがあります。小物好き、クラフトワーク好きの方はぜひ巡ってみてください。

陶片木
住所:松本市中央3-5-10
TEL:0263-32-0646
営業時間:9:00~18:00(季節によって変動) 水曜・第3火曜・元旦休

野菜たっぷりのおいしいランチ、チェーン店ながらうなってしまうそば屋

さて、そろそろお昼にしましょうか。松本で食事するならば「アルプスごはん」も寄りたい一軒です。

アルプスごはん

物書き料理家のマツーラユタカさんと共に活動しているフードユニット「つむぎや」の金子健一さんが2017年にオープンした、カウンターのみ8席の食堂です。こちらでは信州のクラフトビール、そしてご主人厳選の地酒もいただけますよ。

日替わりセット「本日のアルプスごはん」(1,300円)

日替わりセット「本日のアルプスごはん」(1,300円)。長野県をはじめ、オーナーと交流のある農家さんや九州の八百屋さんから直接仕入れた野菜がたっぷりいただけます。

ご主人のセンスが光るお惣菜が並びます

真ん中に「ドン!」と鎮座しているのは、おいなりさんを裏返して、中に赤紫サツマイモのマッシュを詰めて揚げたもの。そのほか、炒り大豆や自家製なめたけ、高野豆腐のえびゴマ味噌和えなど、ご主人のセンスが光るお惣菜が並びます。

どれもおいしかったけど、文旦(かんきつ類の一種)とリンゴのドレッシングがかかったニンジンサラダが抜群でした。あの鮮やかな甘酸っぱさ、忘れがたい……。

アルプスごはん
住所:長野県松本市深志3-7-5
TEL:0263-87-5377
営業時間:11:30~15:00(LO14:30)、17:00~21:00(LO20:00) 月曜~水曜休(日曜はランチのみ営業)
公式サイト:http://www.alpsgohan.com/

そば処 小木曽製粉所 松本駅前店

さて、長野に来たらやっぱり「おそばを食べたい」という人も多いでしょうね。「だったらね、チェーン店だけどあなどれない店があるよ」と地元の方が教えてくれた店があるんです。松本駅を出てすぐの「そば処 小木曽製粉所 松本駅前店」。立ち食いのお店です。

ざる(500円、税別)

こちらが「ざる」(500円、税別)。思わずうなりました! 確かにあなどれない。弾力に富んで、喉ごししなやか。ボソッとした感じは皆無で、香りもスッキリ、これが立ち食いでいただけるなんてうれしいなあ。大盛りを選んでも並と同じお値段。お店は「電車に乗る前にサクッとそばを食べたい」といった風情のお客さんでいっぱいでした。

そば処 小木曽製粉所 松本駅前店
住所:長野県松本市深志1-1-1
TEL:0263-33-5551
営業時間:11:00~20:00 無休
公式サイト:https://www.ogiso-seifunjo.com/shops/

JA松本市農産物直売所

帰りの電車までまだ時間があるな……と駅前周辺をふらふら。JA松本市農産物直売所を発見しましたよ。そりゃ入ります。

ここで、良いお土産を発見! いろいろ買い込んで帰途に着きました。

松本ならではのおいしいお土産を自宅で味わう!

買ってきた郷土メシ、自宅でも楽しんでみましょう。

長野名物、おやき

まずは、長野名物、おやきです。

ナスの味噌炒めやヒジキの煮つけ、ゴボウのキンピラに切り干し大根の煮物など、おなじみのお惣菜を小麦粉を練った生地で包んで焼いたもの。

おやき断面

「長野県でも地方によって焼き方が違うんですよ。松本だと蒸してから焼く人が多いかな。そのまま焼いちゃう地域もあるし、いろりの灰に入れて焼く方法もあるんですよ」とは売り場のお姉さん。上の写真は自宅で蒸し直したものです。なんとも素朴なおいしさ、ホッとするなあ。ごはん代わりにも、おやつにもいい。

地元の方に聞いたところ、おやきは余ったおかずの再利用、いわゆるリメイク料理なのですね。「例えばラタトゥイユやガパオなんかを包んだっていいし、焼きそばを包んだっておいしいんだよ」なんて教えてくれた人もありました。おやき、思いっきり自由だ!

花わさび

そしてもう1つ、春の長野でおなじみの野菜「花わさび」も購入してきました。その名の通り、わさびの花になります。地元だとサッとゆがいておひたしにしたり、甘酢に漬けて食べたりすることが多いよう。実際、今回の旅で訪れた飲食店でも、花わさびのおひたしを出しているところは多かったです。

花わさびをツナと一緒に白和え

ちょっとひらめいて、花わさびをツナと一緒に白和えにしてみました。これがうまかった……! いいつまみになりましたよ。

そしてもう一品、山賊焼きという料理にもトライ。

山賊焼き

松本の居酒屋さんを巡っていると、必ずといっていいほどメニューに「山賊焼き」の文字を目にします。気になって聞いてみれば、要は鶏の一枚揚げなんですね。鶏のモモ肉かムネ肉かはお店によって違うようですが、それを醤油や味噌、酒、みりんなどの合わせダレにつけこみ、小麦粉(または片栗粉、小麦粉と片栗粉のミックス)の衣をつけて揚げたもの。

山賊焼きというネーミングは、山賊だけに人のものを「取り上げる=鶏揚げる」というシャレからきているそうです。

でも、なんで揚げているのに『焼き』なのかは分からないんですよ」と、ある居酒屋の店員さん。これは謎だそうです(笑)。

山賊焼きのレシピ、ある方からは「松本の方ではショウガをきかせて漬け込む」と教わり、ある店では「醤油と味噌を合わせて漬けダレにするのがポイント」と教えられました。ということでおろしショウガに味噌、醤油、酒少々で鶏もも肉を30分ほど漬け、小麦粉と片栗粉のミックス衣で揚げてみたら……ビールのつまみに最高でした。弁当のおかずにもよさそう。

ああ……長野のクラフトビール専門店とかおそばの個人店、中華やイタリアンの名店などもっとご紹介したいお店は他にもたくさんあるんです。残念ですが、それはまたいつかの機会に。

文:白央篤司(はくおうあつし)……フードライター。郷土の食や「暮らしと食」をテーマに執筆。著書に『自炊力』(光文社新書)、『にっぽんのおにぎり』(理論社)、『ジャパめし。』(集英社)など。日本各地を旅しては現代に愛される郷土料理を取材中!

編集:はてな編集部

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