北海道の隠れ名所、ニセコひらふ散策で海外旅行気分を満喫! ウィンタースポーツの聖地を遊び倒す
北海道のニセコリゾートは、世界中のスキーヤーやスノーボーダーが集まるウィンタースポーツの注目スポットです。その中でも独自の進化を続けている街が「比羅夫(ひらふ)」。英語が飛び交い海外スタイルの店が立ち並ぶひらふは、国内で気軽に海外気分を味わえる隠れ名所なのです。ウィンタースポーツ初心者だから不安という方も大丈夫! ひらふにはそれ以外にもさまざまな楽しみ方があります。初めてのニセコ・ひらふでチェックしたいスポットをご紹介します。
ニセコひらふエリアへのアクセス
ひらふエリアが含まれるニセコリゾートは、標高1,308.2mの活火山であるニセコアンヌプリに作られた4つのスキー場と、周辺にある温泉街や観光スポットの総称。新千歳空港から4つのスキー場を結ぶ直行バス「ホワイトライナー」は、今回ご紹介するひらふエリアにもっとも近い「ひらふウェルカムセンター」駅で下車できるのでおすすめのアクセス方法です。
札幌を観光してからひらふへ向かう場合は、中央バス「スキーバス(札幌⇔ニセコ線)」を予約するか、「高速ニセコ号」に乗車して倶知安十字街駅で下車後、倶知安駅からシャトルバスに乗り換えましょう。いずれも降雪状況によってダイヤが乱れやすいので、天気予報の確認を忘れずに。
ちなみに筆者が取材に行った当日も、爆弾低気圧による道路封鎖で札幌から片道5時間の旅をするはめに……。ニセコのスキー場間を往復するシャトルバス内は、降雪状況を見て移動するスキーヤーやスノーボーダーたちで満員でした。
ひらふ十字街に降り立つとそこは海外
ゲレンデに向かうひらふ坂と、北海道道343号線が交差するひらふ十字街を中心に発展するひらふエリア。並ぶ店舗の看板は英語ばかりで、世界各国から集まったウィンタースポーツファンがボードやスキーを片手に歩く姿が印象的。オープンしたてのモダンなホテルや北欧風のロッジが立ち並ぶひらふ坂メインストリートには、「ここ日本だっけ?」という戸惑いを隠せません。
海外で人気のボードやスキーアイテムがそろうショップや豪華なレストランは、「懐かしい味のカレーを食べて雪山を滑るのみ」という従来のスキー場のイメージを覆します。
メインストリートを歩いていると、スノーマンのコスプレをしたスノーボーダーの姿が。声をかけると陽気にポーズをとってくれました。
雄大な自然とウィンタースポーツに恵まれた環境に囲まれつつ、美しく洗練された施設や店がそろう街、ひらふ。ここはもはや、「冬に現れるグローバルなテーマパーク」と呼ぶにふさわしい場所です。
そんなひらふエリアを存分に楽しめる店舗をピックアップしてご紹介します。
羊蹄山を眺めながら海外サイズのバーガーランチ
ひらふのグローバルな空気が漂うランチは、カフェ・レストランJojo’sで楽しみましょう。山小屋に掲げられた「NAC」の看板が目印です。
開放的な空間が広がるロッジ風の店内からは、“えぞ富士”とも呼ばれる雄大な羊蹄山を眺めることができます。
メガバーガーセット(1,980円)は北海道産牛100%のジューシーなパテが2枚乗ったボリューミーな一品。粗目に挽いた肉とアボカドがあふれんばかりに盛られた豪快なバーガーは、シンプルな素材の味を口いっぱいに頬張れるメニューです。
店一押しのJojo’sオリジナルバーガー(1,080円)は目玉焼きとパテ、とろけるチェダーチーズのハーモニーがたまらない。甘みが優しく広がるオニオンスープや、ほくほくのジャガイモを揚げたフライなどのセットアイテムも北海道の味を堪能できます。
カフェタイムに立ち寄るならスコーン(250円)を。ほろほろと崩れながら口の中に広がるほのかな甘みは、添加物が入っていないスイーツならではの素朴な味わいです。
Jojo’sは複合施設NAC Niseko Adventure Centureの2階にあります。レストランのほか、子どもが遊ぶためのスペースやレジャー向けのアイテムを扱うショップ、吹き抜けの空間を生かしたクライミング体験などのコンテンツが充実しています。体力に自信のある人はクライミングに挑戦してみては?
Jojo’s
北海道虻田郡倶知安町山田179-53 NAC 2階
電話番号:0136-23-2220
営業時間:9時半~22時(冬季シーズンのみ、9月~11月末は21時まで)
定休日:不定休
最新のウィンタースポーツアイテムをチェックできるレンタル・販売店へ
ところで、ウィンタースポーツは準備するものが多くてハードルが高いと感じる方も多いのでは? ウェア、ボード、防寒アイテム、シューズとフルセットで購入するとかなりのコストがかかります。
「パウダースノーを手軽に滑りたい!」という方におすすめしたいのがレンタルショップです。ウィンタースポーツアイテム専門店Rhythmは、スキーとスノーボードのアイテム一式を自分好みにカスタマイズして借りることができます。
長期滞在する場合のために用意された長期レンタルプランや、最新のアイテムを借りられるプレミアムプランなど幅広い選択肢が魅力。とりあえず1日だけ滑りたい場合は、レンタルパッケージ(4,000~5,000円)とウェアレンタル(1,500円~)にオプションで手袋などを組み合わせ、10,000円以内でゲレンデに向かうこともできます。レンタル予約はモニタ操作でOK。アイテムのチューニングはプロが常駐しているので安心です。
クールなプリントが施されたボードや人気のブランドアイテムがそろう店内は、海外のスキーヤーやスノーボーダーで賑わっています。
併設されたコーヒースタンドで販売されるフラットホワイトラテ(Sサイズ500円)は、ほっと一息つくのにちょうど良いサイズ感。店内を物色しながら、コクのあるクリーミーな味わいを楽しみましょう。初心者から上級者まで、ここに集う人々の共通点はウィンタースポーツが好きなこと。その熱気を感じながら、自分の好みにあうブランドと出会えるかもしれません。
Rhythm
北海道虻田郡倶知安町字山田190-1
電話番号:0136-23-0164
営業時間:8時~22時
定休日:無休
寒さの中で思いきり運動したあとは、温泉で体を癒す
ウィンタースポーツは楽しめば楽しむほど体が冷えるという体力勝負の一面が。体を芯からあたためて癒すためには、温泉がおすすめです。
ひらふ坂の中腹に位置する宿泊施設・ニセコプリンスホテルひらふ亭では、日帰り温泉を楽しむことができます。1回1,000円でエントランスから直結した温泉に立ち寄れる気軽さが魅力。シャンプー・コンディショナーなどのアメニティやバスタオルの貸し出し(200円)もあるので特別な準備は不要です。
ナトリウムー炭酸水素塩泉・炭酸水素塩泉の泉質は神経痛や冷え性などに効果的と言われており、ウィンタースポーツ後の体にはぴったり。
冬の露天風呂からは、深々と雪の降り積もる木々の表情を楽しむことができます(注)。体がぴりりと鳴るような凍える空気の中で熱い湯に浸ると、体中の筋肉が緩んでいく心地よさを感じられます。ゲレンデのふもとの温泉だからこそ体感できる湯の心地よさを、ぜひ体感してみてください。
注)画像は夏に撮影されたイメージ写真です。
湯元ニセコプリンスホテル ひらふ亭
北海道虻田郡倶知安町字山田204
電話番号:0136-23-2239
日帰り入浴利用時間:7時~10時半、13時半~23時
海外向けに発展したJAPANを感じるIZAKAYAへ
ひらふにある飲食店は、和食店や日本の特色を押し出した居酒屋が目立ちます。海外の観光客向けに用意されたメニューをあえて頼んでみると、新しい発見があるかもしれません。
ひらふ十字街の中心にある居酒屋 縁(えにし)では、寿司からすき焼きまで、日本のグルメを幅広く提供しています。店長が日本人におすすめする一品は、礼文島直送のホッケ一夜干し焼き(1,610円)。ふっくらとした身に凝縮された自然の塩味は、まさに北海道の海の幸そのものです。ぷちぷちとした歯ごたえが魅力の珍味ギスコ(カジカの子の醤油漬け、869円)も、北海道・礼文島から取り寄せられるおすすめの酒の肴です。
海外の観光客に人気のメニューはやっぱり“SUSHI”。特に海外を意識して作られたサーモンの天ぷら寿司(1,210円)は、国際化したひらふを象徴するメニューでしょう。寿司と天ぷらを組み合わせるなんて、盆と正月が一緒に来たみたい……とおそるおそる味わってみると、意外と優しい味わいが広がります。あえて酢飯を使わず海苔ごと薄い衣で揚げた天ぷらにマヨネーズとネギが添えられることで、寿司がおつまみに大変身した逸品でした。
隣で寿司を頼んでいた海外のお客さんは、魚の名前を確認しながらぱくりと寿司を口に運び、そのおいしさに顔をほころばせていました。日本の味の魅力をこんな形で再確認できるのも、ひらふの楽しみのひとつです。
居酒屋 縁(えにし)
北海道虻田郡倶知安町字山田167-3 J-sekka 2F
電話番号:0136-55-5956
営業時間:12:00-15:00, 18:00-24:00
定休日:無休、冬季のみ営業
海外風バーで音と雪に酔う深夜
夕飯後のほろ酔い気分が覚めぬうちに、2件目へ。ロッジやホテルが連なる裏道には、お酒を愛してやまないスキーヤーやスノーボーダーたちのためのバーがぽつぽつとあかりを灯しています。
一見するとなんのお店かわからない小さな扉は、まるで異世界への入り口みたい。高揚感とともに体を屈めて入れば、あたたかな空気とムーディな重低音、陽気な笑い声が体を包みます。
Bar Gyu+はオープンから20周年を迎えたバー。国際的な観光客のニーズに応え、国産ウイスキーや日本酒のラインナップを中心に展開。冬に似合うホットなスパイスを効かせたオリジナルカクテルやホットワインも充実しています。
4種の国産ウイスキー飲み比べセット(3,000円)は、白州、山崎、宮城狭、余市と有名どころの味を一度に楽しめる贅沢なセット。それぞれの個性豊かな味わいに舌鼓を打ちながら、ゆるりと時を過ごせます。
ほの暗い店内の窓から見えるのは、青く積もる雪。複数の言語が入り混じり、音楽と共に流れていく空間では、普段は話せないことも自然と口からこぼれそう。
埼玉から移住した店長の渡邊さんが、仲間たちの憩いの場として改良した自宅のスペースは、いつしかニセコの雪を求める世界中のウィンタースポーツファンから大人気のバーに成長しました。店を続けるうえで大変だったことを訊くと、「除雪ですかね」と笑う気さくな人柄に心がゆるみます。
Bar Gyu+を雑誌やメディアで取り上げられるようになり、国内でもひらふの認知が進んでいる実感があるそう。「初めて来ると海外の方ばかりで驚くかもしれませんが、こわがらずに来てほしい」と、渡邊さん。日本語が通じる安心感と、日本語の聞こえない空間の不思議な調和が楽しめるのは、ひらふのバーならではの魅力かもしれません。
Bar Gyu+
北海道虻田郡倶知安町字山田167-21
電話番号:0136-23-1432
営業時間:17時-0時
定休日:無休、冬季のみ営業(夏季は週末営業など年によって不定期)
ひらふの進化はなぜ続く? 海外化が止まらない理由
「まるで海外旅行に来たみたい」という驚きの連続。取材中、日本語を話す人とすれ違ったのはたった2回でした。訪れる人々だけでなく街そのものが海外風に進化し続けているのは、ニセコリゾートの中でもひらふエリアのみです。いったいなぜ、ひらふには世界中から人々が集うのでしょうか?
世界で2番目に降雪量が多いと言われるニセコリゾートの中でも、特に羊蹄山との位置関係からパウダースノーが降りやすいひらふエリアは、世界中のウィンタースポーツマニアから「パウダースノーの聖地」として人気のスポット。ごく少数のオーストラリア人がその魅力に気付き、徐々に口コミを広げていったそうです。
ジャズバー&カフェhalf noteのスタッフでUK在住のハリソンさんは、「ヨーロッパでひらふ同様のパウダースノーを滑るためには、ヘリコプターなどを利用して山の頂上まで行く必要がある」と教えてくれました。気軽にパウダースノーが楽しめるひらふはベストスポットだと語るハリソンさん。その雪のために、冬季はジャズライブを楽しめる店half noteの店員として働いています。
SNSの普及によってひらふの口コミは一気に広がり、世界中のパウダースノー好きが訪れるようになりました。さらに、旅行だけでなく滞在して働く人材も増えた結果、ひらふの海外化は加速したのでしょう。観光価値を見出したシンガポール等の海外オーナーが建設するホテルやコンドミニアムは、今もなお増え続けています。
函館から札幌をつなぐ北海道新幹線の建設計画では、ひらふエリアの最寄り駅である倶知安(くっちゃん)駅も停車駅に選出されました。東京から約4時間半、札幌から約30分でひらふにアクセスできるようになったら、より多くの観光客が訪れる場所になるかもしれません。
冬のニセコひらふエリアの飲食店やゲレンデがオープンしているのは12月~3月(降雪量によって変動)。欧米からは12月~1月にバカンスシーズンを利用した長期滞在者が押し寄せ、旧正月を迎える2月は中国をはじめとしたアジアの観光客が増えるそう。3月以降、いわゆる“春スキー”が楽しめる期間は宿泊施設の価格が下がる穴場シーズンです。
夏はクローズする店が多いものの、ラフティングやサイクリングなどを楽しむことができます。ウィンタースポーツにこだわりがないならば、夏のひらふに足を運んでみるのがおすすめ。美しく雄大な風景や大自然を感じるエンターテイメントは、冬のニセコとはまったく違った楽しみを味わえるでしょう。
スタイリッシュな店舗や宿泊施設が次々とオープンし、海外向けに開発され続けるニセコひらふエリア。海外富裕層が集まる町並みと世界に誇れるパウダースノーは、まるで見知らぬ雪国に訪れたような感覚を与えてくれます。パスポート要らずの海外気分を楽しみたいなら、ひらふへ足を運んでみてください。
half note
北海道虻田郡倶知安町字山田170-238
電話番号:0136-23-2727
営業時間:7時-11時、15時-0時
定休日:無休、冬季のみ営業
文=宿木雪樹
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