【地獄へ行ってきた】富山にある「地獄」のテーマパーク「まんだら遊苑」が強烈すぎた
先日、地獄へ行ってきた。比喩ではない。本気で言っている。富山県の中新川郡に、地獄があるのだ。「立山博物館」の敷地内にある「まんだら遊苑」が、地獄をイメージしたテーマパークになっているのである。ちなみに、「立山博物館」は公営の施設。つまり、公営の「地獄」というわけだ。どこかの地獄マニアの個人が、好きが高じて作っちゃいました、とかではないのだ。本当にどうしちゃったんだろう……。
その日の天気は大雨だった。まんだら遊苑を目指して林の奥深くへと進むたびに雨足はどんどん強まる。地獄へ落ちるのを歓迎されているような悪天候だ。まさに地獄日和。
まんだら遊苑の近くには、示し合わせたかのようにお墓やそれっぽい橋あり、風情がある。
まんだら遊苑は、地界、陽の道、天界、闇の道、の4つのエリアに分かれている。最初に入る地界が「地獄」のこと。地獄を抜けて、陽の当たる道を通り、天界へ行き、闇の道から現世へと転生する、というストーリーになっている。ここに来ると、みんな一度地獄へ落ちて、生まれ変わるのである。
地界ではまず、「閻魔堂(えんまどう)」に入ることになる。閻魔堂の中は真っ赤に染まっていて、温かい。「ブォー」「ウォー」といった唸るような叫び声がひっきりなしに聞こえる。ほのかに線香のようなにおいが漂ってくる。正直、かなり怖い。ほかのお客さんもおらず、完全に一人で中に入ったため、どうにかなってしまいそうだった。あらゆる形の「狂気」を全身で浴びているような感覚だった。まさに我々が思い描く「地獄」のイメージをそのままギュッと凝縮したような空間である。
「閻魔堂」内で最初に目にするのは、「地獄百景」。これは地表から1万4000kmの地底にあるとされる八熱地獄の世界を表現しているらしい。
ほのかに温かく、むしろ心地いいような温度だが、本物の地獄はこんな暑さでは済まない、と真っ赤に染まったオブジェが主張してくるようだった。
さらに進むと、「音界閻魔(おんかいえんま)」という鐘があった。この鐘の音は閻魔様の怒りの声を表しているらしい。
そして「閻魔堂」と外を繋ぐ細い道へと進む。人ひとりがやっと通れるくらいの幅で、左右から苦しそうな叫び声がグォングォンと聞こえてくる。「音触鬼(おんしょくき)」というらしい。閻魔堂の中に入ったときからずっと鳴り響いている苦しそうな叫び声は、ここから出ていたようだ。これは、炎熱の轟音と、地獄の鬼達の叫びが混ざり合った音。狭くて暗い中で、耳元で恐ろしい音を聞き続けるこの場所は、“精神攻撃を受ける”という感覚が最も近い。皆様におかれましては、ここへ来るのはぜひとも心身が健康なときに、と強く思った。本当に、地獄を見た。
地獄はまだまだ続く。外に出るとまず見えてくるのは、「餓鬼の針山(がきのはりやま)」。近づいてよく見ると、針の近くには石が積み上げられている。三途の川の河原で、小石を積み上げて塔を作ろうとするも、鬼に崩されてしまう、と言われている有名なアレだ。
さらに進むと、「地唸鬼(じてんき)」という井戸の形のオブジェが見えてきた。井戸の中に向かって声を発すると、犯した罪が反響するらしい。呼びかけてみたが、特にそれらしいものは聞こえてこなかった。たぶん、声が小さかっただけだけど、特に罪はない潔白な身であるとポジティブに捉えることにした。たとえ地獄でもポジティブに生き抜きたい。
井戸の横には、「水窟鬼(すいくつき)」という蓋のようなものがある。地獄といえば灼熱のイメージだが、ここは「八寒の地獄」といって、寒いタイプの地獄を再現している。寒いタイプの、っていう言い方が正しいのかわからないが、とにかく地獄にもいろいろあるらしい。覗き込むと、地獄の音とにおいがするようだ。
かいでみると、なんとも言えない焦げ臭いにおいがした。寒い地獄なのに焦げ臭いとは、これいかに。寒くても焦げる。このどうしようもなく八方塞がりな感じが、いかにも地獄っぽくてときめく。
なお、5つある蓋のうちのひとつは、調整中だった。地獄がまさかのメンテナンスをしている貴重な瞬間を捉えた気がした。
そして池の一画にあるのは「水泡鬼(すいほうき)」。水の汚染に怒る鬼の怒りが、気泡となってブクブクと噴きあがっているのだそう。でも、ちょっと待ってほしい。水の汚染に怒る……って、地獄に住んでるのって、基本、鬼じゃない? だったらそもそも水を汚してるのは、鬼なんじゃない? それとも、地獄に落ちた罪人の魂の穢れが水を汚す、とかなのだろうか。だとしても、鬼が水の汚染に怒る、の図がシュールである。鬼って意外とキレイ好きなんだな。
ちなみに、地獄にはちゃんとトイレもあるので安心だ。案外、地獄は快適なのかもしれない。
地界の最後には「精霊橋」がある。
橋の先端にある救済の鐘を鳴らすと、現世へ復帰できるらしい。鐘はヘ音記号のような形をしていて、結構かわいい。
鐘を鳴らして橋を引き返し、「陽の道」へと進む。いよいよ転生のときが近づいてきた。
様々な形の岩やオブジェを楽しみながら陽の道を歩き、天界の入口へ。ここには「天界広場」があるはずなのだが……なんと! 工事中! 天国のくせに、工事! 天国の一部が立ち入り禁止だなんて、無慈悲な!
さて、ここから天界をイメージした建物に入っていくのだが、残念ながら撮影は禁止。天界には、言葉だけで説明しても何も伝わらなさそうなアクティビティがいろいろあった。
まず、「奏楽洞(そうがくどう)」は8種類の楽器が置かれた部屋。大理石のような石がぶら下がった打楽器や、どうやって音を鳴らすのかがわからない楽器など、見たこともない楽器ばかりだった。天の音を奏でる楽器らしい。
「天卵宮(てんらんきゅう)」では、丸くて大きなオブジェの中に入って寝転がり、瞑想をする。ブォンブォンというかすかな音の振動を感じながら、目を閉じる。ここは胎内をイメージした場所で、「地獄から天界へ行き、胎内を通って現世に生まれ変わる」というストーリーに沿っている。
「天遊桟敷(てんゆうさじき)」は、天衣にみたてたネットで浮遊感を楽しむ空間。宙に吊られた大きなハンモックの上を歩くような感じだ。靴を脱いでネットの上を歩くと足の裏がめちゃくちゃ痛い。激痛に耐えながら端から端まで急いで渡るため、“浮遊感”を感じる余裕はまったくなかった。ツボ押し効果で健康にはよさそうだ。
最後は「闇の道」へ。うねるような暗いトンネルを通り、外へ出る。
あれだけ降っていた雨はすっかり止み、太陽が出ていた。ほんの2時間の間に、私は確かに地獄に落ち、そして天国へ昇った。音や光、においや痛み、あらゆる感覚を総動員したからか、異様な爽快感に満ち溢れていた。もっと多くの人にこの「地獄」に落ちてほしい。地獄に落ちずに一生を終えるなんて、あまりにもったいない。
ちなみにこの地獄、なんと入場料はたったの400円。これだけのボリュームとエンターテイメント性を考えると、破格の値段である。地獄のくせに天国のような価格設定なのだ。
富山には間違いなく地獄があり、そして天国があった。
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