投稿者 : 力也 片岡、投稿日 2018 年 8月11日

東京なのに秘境? 日本で最も行くことが困難な有人島「青ヶ島」の楽しみ方

日本で一番人口の少ない村はどこにあると思いますか? 信じ難い話ですが実は巨大都市東京にあるのです。といっても23区内にあるわけでなく、太平洋に浮かぶ伊豆諸島の最南端にある青ヶ島という島にあります。本土からの直行便はなく、八丈島から欠航率の非常高い船で行くか、ヘリコプターでしか行くことができません。しかし逆にいうと、人が行きづらいという事は、その分手付かずの自然や、独自の文化が残っていると考えられます。今回はそんな東京なのに秘境! な青ヶ島へ行ってみましたので、その魅力と楽しみ方をご紹介いたします。

八丈島から就航率40%以下の船かヘリコプターでしか行けない青ヶ島

人口160人程の小さな島である青ヶ島への定期船は八丈島から1日わずか1本のみ。しかも霧や波の影響を受けやすい青ヶ島は就航率が40%以下とも言われています。青ヶ島に行く船が1週間連続で休航することすらあるわけです。ではもう一つの行き方であるヘリはどうか。ヘリの就航率は70%以上と比較的高めです。しかしヘリは1日1本のみで、乗客はたったの9人しか乗れません。仕事でどうしても行かないとならない人が一定数おり、彼らはだいぶ前から予約をしているので、直前にチケットを取ることは難しいです。よって1ヶ月先までのカレンダーを見てもほぼ満席状態。1週間の休みで、ちょうど良いタイミングでヘリのチケットを抑えることはほぼ難しく、仮にできたとしても帰りのヘリが飛ばなかった場合、振替は次に空いている日にちのみ可能なため、余裕をとってスケジュールを立てることをおすすめします。これらの理由から青ヶ島へのアクセスのハードルが高いように感じると思いますが、5月に行った私は足止めを食らわずに計画通りの旅ができました。基本的には春から夏にかけて船の就航率が上がり、秋から冬にかけてヘリの就航率が上がるようなので、時期にあった交通機関を予約ください。

ヘリコプター

この日は風速15kmほど、吹き飛ばされそうになるくらいの風が吹いていたため、朝起きた時はヘリも飛ばないのだろうと落ち込んでいましたが、実はヘリは飛行機よりも風に強いようで、強風による休航はほとんど無いようです。強風の中、この日も運行することが決まりました。八丈空港で登場位手続きをして、歩いてヘリコプターに乗り込みます。

車内

車内はハイエースほどの広さです。ホバリングは全く揺れず、浮き上がる瞬間をフェイスブックでライブ中継をしようとしたのですが、全く気がつかずそれが出来ないほどでした。

青ヶ島

ヘリからは青ヶ島を上から見ることが出来ます。私の席は左の窓側席で、青ヶ島鮮明に見ることが出来ましたが、風の状況などで飛び方を変えるようなので、右左どちらがオススメかは難しいところです。一つ言えることは、最初に乗るか最後に乗るかをすれば、必ず窓側に座ることが出来ます。

人がほぼいない青ヶ島! 絶対見るべきスポット4選

皆さんは観光でおすすめされるスポットと聞いてどのような場所を思い浮かべますか。私は東京に住んでいるので浅草の浅草寺の風景が脳裏に浮かびます。深い歴史と情緒ある雰囲気の反面、多すぎる観光客に圧倒されてしまうという一面もあります。有名な観光地ほど魅力的なため多くの人を惹きつけるため当たり前の話です。浅草寺は国内でも際立っていますが、観光地というのは常に多くの人で賑わっているというのが世の常です。しかしここ青ヶ島は違います。美しい見どころは沢山あるのに、人っ子一人いないのです。

1.空気が美味しすぎる! ハイキングするなら「丸山一周遊歩道」

丸山遊歩道

車で移動中に突然見つけた「丸山遊歩道」。調べてみると所要時間20分と短めなハイキングコースだったので、歩いてみることにしました。

丸山遊歩道

歩きやすいように木で作られた階段があるのですが、草が生い茂り人が通っている形跡はゼロです。それ故か、あたり一面が緑で空気もより一層美味しく感じられます。森林浴を楽しみながら、進んで行くと

神社

こんな神社や

丸山一周遊歩道

こんな絶景ポイントも現れます。あまりに美しい散歩道であったため、思わず2周もしてしまいました。しかし驚くことに1時間ほどかけて2周してすれ違った人は0人です。大自然を自分だけのものにできるって、なんて幸せなんでしょう。

丸山一周遊歩道
青ヶ島郵便局から車で10分

2.青ヶ島の全体像を見るなら「大凸部」

青ヶ島

青ヶ島といったらなんと言ってもプリンのような形をした丸山、通称プリン山です。このプリン山を一番綺麗に見えるのが、島で一番標高の高い大凸部という場所です。島を眺めるのは勿論、記念写真を撮るのもここが島でベストスポットだと思います。

歩道

また、頂上に行くまでの歩道も美しく、歩くことがあまり苦にはならないと思います。ハイキングも楽しめ、絶景もたのしめる大凸部は青ヶ島に来たら絶対行くべきポイントと言えるでしょう。これほどの絶景を楽しめる場所でも、一度も人とすれ違うことはありませんでした。美しい風景を見ながら、ただただのんびりするにはうってつけの場所です。

大凸部
青ヶ島郵便局から車で10分

3.これぞアドベンチャー「大里神社」

鳥居

これまた運転していると偶然神社の標識があったので、試しに行ってみることにしました。草木をかき分けて進んで行くと、鳥居が見えてきます。しかしそこには鳥居しかありません。神社における鳥居とは入口で、拝殿が必ずあるはずです。しかし辺りを見回してもそれらしきものは見当たらないのです。

鳥居の先

鳥居の先はこんな感じで雑草が好き勝手に生えています。まさかこの先じゃないよな……と思いつつも、これだけ草木が生い茂っているということは本当に誰もこの先に入っていないはず。ということは何か面白い発見があるかもと思い、ひたすら拝殿を探しに一人進むことに。

さらに進んで行くと、こんな冒険心くすぐられるような道が現れたり

道無き道

こんな道無き道まで現れます。

かすかに見える海

かすかに海が見えた時点で、流石に「この先は行くべきではないのでは?」とも思いましたが、この先に何があるのか知りたくて進むことを決意。それからも、進むか戻るかの押し問答が自分の中で5-6回あり、ようやく最終地点に到着しました。

私は引き返さなくてよかったと心から思いました。何故なら、通常の観光地では感じることができない好奇心と探究心を満たすことができたからです。今は便利な世の中で、旅行をする際にインターネットで画像検索するとなんでも出てきてしまうし、トレッキングコースなどでもハイライト写真が入り口に飾られてあることがよくあります。行き方や、注意点なども簡単に調べること可能です。しかし目的地のイメージがあるのとないのでは、いい意味でも悪い意味でも旅の楽しみ方がガラッと変わります。準備不足すぎて、無謀なことをすることに賛成はできかねますが、たまには敢えて何も知らない場所をひたすら突き進んで行くことも、旅を楽しむコツだと私は思います。日本の秘境だからこそできる贅沢です。

ということで、最終地点の写真はあえて載せません。是非自分の目で確認してみていただきたいです。

大里神社
青ヶ島郵便局から車で10分

4.息をのむほどの満天の星を見ることができるジョウマン共同牧場周辺

青ヶ島の星空

青ヶ島は星空ツアーがあるほど美しい夜空が有名です。私はジョウマン共同牧場の脇にある駐車場に車を止めて、見上げて星を眺めました。この日は、新月から5日程経っていたのですが、この辺りでは見ての通り満天の星を見ることができます。正直、これほど美しい星は、5年前に行ったアフリカのタンザニア以来です。アフリカ級の星が東京で見られるなんて驚きですよね。なぜこれほど美しい星や流れ星を見ることができるかというと、島の最北端にあるこの牧場の周りには一切外灯がなく、あたり一面が暗闇と化しているからなのです。ぜひ天気が良い日に、欲を言えば新月の日にこのジョウマン共同牧場周辺は非常に広く、好きな場所で星をゆっくり眺めることができます。ぜひ足を運ぶことをお勧めします。

ジョウマン共同牧場周辺
青ヶ島郵便局から車で5分

青ヶ島の食を楽しむ方法

青ヶ島には素晴らしい自然とのんびりできる空間がありますが、食に関しても気になるのではないでしょうか? 人口160人ほどしかいないこの島に美味しい食事処はあるのか? 実は島に居酒屋が2つあるのですが、私が行った2018年5月には1つのみが営業をしておりました。商店も島に1つしかない為、基本的に食を楽しむのは難しいと青ヶ島に行ったことがある人からは聞きます。しかしせっかくなら食も楽しみたいですよね! そこで青ヶ島の食を楽しむ方法をご紹介します。

地熱を使った天然蒸し料理を食べれるひんぎゃの地熱釜

その一つがこの、ひんぎゃの地熱釜を使って作る蒸し料理です。

ひんぎゃ

ひんぎゃの地熱釜とは、活火山が作り出す熱が至る所で水蒸気となって溢れ出る青ヶ島の特徴を生かし、食材を蒸すことができるように作られた釜のことです。まだ青ヶ島に電気がなかった時代この地熱釜は庶民の台所だったようです。ここに食材を入れるとあっという間に蒸しあがり、非常に美味しく出来上がるのです。青ヶ島にある宿は基本的に3食付きなので、どの宿でもあらかじめお願いすると、昼食はひんぎゃ用のお弁当を持たせてくれます。

蒸し料理

青ヶ島に住んでいた昔の人の生活を思い描きながら、大自然の中で食べる蒸し料理は間違いなく青ヶ島の食のハイライトと言えます。

ひんぎゃの地熱釜

ひんぎゃの地熱釜
青ヶ島郵便局から車で20分

魚を釣る、もしくは漁師さんと仲良くなる

漁師さん

青ヶ島は釣りのメッカとしても有名な場所です。上の写真方は和歌山から年に数回釣りに来ている方で、偶然島で仲良くなり、「明日、君のためにシマアジを釣ってくるよ」と約束をしてくれて、本当に釣って来てくれた凄腕の釣り人さんです。おまけに大きなメジナまで。この島に唯一ある商店では魚が売っていません。それは、魚は自分で釣るか、近所の人からいただくかがこの島の習慣だからです。その素晴らしい習慣に合わせて漁師さんと仲良くなっておすそ分けをいただく、そんな楽しみ方ができるのも青ヶ島の良いところだと思います。その際は青ヶ島で手に入らないお土産を持参していくと喜ばれると思います。

青ヶ島港
青ヶ島郵便局から車で20分

青ヶ島以外ではお目にかかれない! 幻の焼酎「青酎」

青酎

最後に忘れてはいけないのがこの「青酎」です。人口わずか160人ほどの小さな島で作られている青酎は大量生産ができません。そのため島外ではほとんど見かけることがありません。そんなこともあっていつしか幻の焼酎とも言われるようになりました。青酎にはいくつか種類があるのですが、私が飲んだ青酎麦はフルーティーで非常に飲みやすかったです。かつて島外に出稼ぎに行った男性のために、島の女性が作り出したと言われる青酎。そんな島の歴史を感じ、島の料理を食べながら飲む青酎は格別です。私は宿泊した宿で飲みましたが、商店や青ヶ島酒造で購入することができます。

青ヶ島酒造 合資会社
住所:東京都青ヶ島村無番地
TEL:04996-9-0332
URL:http://ao-chu.com/

非日常を味わいに青ヶ島へ

青ヶ島

青ヶ島

青ヶ島は正直行くまでのハードルがかなり高いですし、物資は決して足りてるとは言えない上、車がないと観光も難しいです。おまけに車が通る道もこんなに狭かったりもするわけです。しかしモノに恵まれすぎている時代に生まれた私たちは、不自由を感じずに生きてきて、またそれが当たり前のように感じてしまいがちです。少し不便かもしれないけど、自然の力を使って食べ物を調理し、全く人のいない美しい風景を楽しみながら、山の中を一人で歩いて、夜になったら島の酒を片手に星をぼんやり眺める。そういった普段と異なる非日常的な生活が、この島を楽しむ何よりの秘訣だと私は思います。

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