投稿者 : 岳志 永島、投稿日 2017 年 12月3日

コーヒー好き必読!那覇の本格&個性派コーヒーショップ5軒

近年、本格派の珈琲専門店が次々とオープンし、全国のコーヒー愛好家から熱視線が注がれている沖縄のコーヒームーブメント。沖縄独特の緩やかな空気感に包まれたコーヒータイムは、旅の非日常感をよりいっそう感じさせる、素敵な体験となるでしょう。思い立ったらすぐに足を運べる、那覇・国際通りから徒歩圏内の、路地裏に隠れた珠玉のコーヒーショップを紹介します。

たそかれ珈琲

モノレール「美栄橋」駅からすぐ。観光客で賑わう国際通りからも徒歩10分足らずの距離にありながら、目的なくしては通らなそうな穴場的立地にたそかれ珈琲はありました。「一人でやっているので、このくらいのユルさがちょうどいいんです」。父親から譲り受けたというジャズのレコードが静かに流れる店内を見渡して、たそかれ珈琲店主の久高悠三さんは微笑みます。

たそかれ珈琲

ほどよく色づいた白壁は、焙煎時の煙でいぶされた賜物。コンロの上にセットした手回し式の小さな焙煎機で少量ずつ生豆を焙煎し、ネル(布フィルター)ドリップで一杯ずつ丁寧に淹れるという凝ったスタイルは、久高さんのコーヒー観に影響を与えたという東京・代官山の猿楽珈琲(現在は横浜に移転)のやり方を参考にしたもの。「苦めの珈琲」「酸味の珈琲」(各500円)という一風変わったメニュー表記も、同じく猿楽珈琲に倣ったものだと教えてくれました。

たそかれ珈琲 久高さん

あえて声高にはアピールしませんが、自家製ケーキや国産小麦と自家製酵母のパンを使用したフードなど、コーヒー以外のメニューもひとつひとつきちんと手をかけたものばかり。「自分の目が届く範囲でできることをしたい」という久高さんの誠実さは、そんなところからもうかがい知ることができます。

今回注文したのはコロンビア産の豆を使用したオーソドックスな「珈琲」(450円)。沖縄・今帰仁村に工房を構える小泊良さん作の個性的なフックカップに注がれ、テーブルに運ばれてきました。

小泊良さん作 コーヒーカップ

沖縄伝統のやちむんを含め、久高さんが揃えた作家ものの器は、その多くをやちむん通りとして有名な壺屋の陶器店で買い揃えたものだそう。手仕事の温もりを感じさせる器で味わえば、一杯のコーヒーがより特別な体験となるでしょう。

たそかれ珈琲
住所:沖縄県那覇市牧志1-14-3
電話:なし
時間:9:00〜17:00(L.O.16:30)
休み:毎月1・10・20・21・30・31日
URL:https://www.facebook.com/%E3%81%9F%E3%81%9D%E3%81%8B%E3%82%8C%E7%8F%88%E7%90%B2-543398549015242/

T&M COFFEE

白塗りの外観に控えめな店名とまるでアパレルショップのような垢抜けた佇まい。2016年にオープンしたT&M COFFEEはその素敵なインテリアもさることながら、本当に注目すべきはシングルオリジンと呼ばれる、単一農家で栽培された高品質のスペシャルティコーヒーのラインナップとその抽出方法の豊富さにあります。

T&M COFFEE

「お客さまの好みに合ったコーヒーを提供したくて」と話すオーナーの言葉に偽りはなしとばかりに、こちらではフレンチプレスにネルフィルター、サイフォンにハリオV60のペーパーフィルターと主要な抽出器具を網羅。一度にこれだけの抽出方法から選べる個人カフェというのは、日本広しといえどもそう多くはないと思います。

すっきりとした味わいのペーパーに、オイル分を感じさせるフレンチプレスといった具合に、同じ焙煎豆であっても抽出ひとつでコーヒーの味わいは変化するもの。抽出方法ごとの特徴を知れば、普段のコーヒーとの付き合いに一層の深みをもたらすでしょう。ペーパードリップに限定した「本日のホットコーヒー」(480円)の用意もあるので「難しいことはわからない…」という人もどうぞご安心を。

T&M COFFEE コーヒー

また入口の扉を開けてすぐ左手に鎮座するスタイリッシュな漆黒の筐体は「沖縄のカフェで導入しているのはここだけ」という米スレイヤー社のエスプレッソマシン。ドリップコーヒーのように抽出前の「蒸らし」を可能にしたマシンで、浅煎り豆と合わせれば、酸の奥に甘みを感じる華やかなエスプレッソドリンクを楽しめます。

米スレイヤー社のエスプレッソマシン

お時間があれば、ぜひ2階席へ。階下のモダンな雰囲気から一転、梁や板張りの壁がむき出しになった古民家の名残を感じさせる空間でゆったりと過ごすことができるでしょう。小腹がすいている時にはアグー豚の自家製ミートソースとチーズのホットサンド(550円)もおすすめです。

2階席

T&M COFFEE
住所:沖縄県那覇市牧志1-2-6
電話:098-943-0914
時間:月・水・木曜11:00〜19:00、金曜11:00〜21:00、土・日曜8:00〜20:00
休み:火曜
URL:http://www.tmcoffee.jp/

TAMAGUSUKU COFFEE ROASTERS

店主のヤフネアキヒロさんはカメラマンという肩書を持ちながらコーヒー好きが高じて自身で店を構えるまでに至ったという経歴の持ち主。

「もともと理系なんです。試行錯誤を繰り返しながら探究することが好きだったんですよね」とヤフネさん。以前から知る人ぞ知るコーヒーマニアとして知られ、プライベートで知人にコーヒーを振る舞ううちにイベントにも声がかかるように。そして2015年12月、ついに念願のショップをオープンさせました。

TAMAGUSUKU COFFEE ROASTERS

提供するのはシングルオリジンのスペシャルティコーヒーのみ。浅・中・深煎りと焙煎度合いを変えて8種ほどを揃えています。浅煎りのカプチーノは酸味が表に立たず、マイルドで飲みやすい一杯。

浅煎りのカプチーノ

一方の急冷アイスコーヒーは自作のドリッパーで抽出。円錐の角度を通常よりも深くすることで、湯がコーヒー粉に浸る時間が長くなり、より深みのあるコーヒー液を抽出できるよう工夫が施されています。

急冷アイスコーヒー

ちなみに鍋から始まった自己流のコーヒー焙煎は、生業となったいまでこそ機械式に移行しましたが、「構造をすべて理解して使いたいから」とこれまた自作。数々の試作を経て、現在のものはiPadとの連携で徹底した温度管理が可能な本格的な仕様になっているそうです。

「より美味しく飲めるように」とコーヒーの種類に合わせて選ばれたカップやグラスからは長年カメラマンとして培った審美眼を、カウンターに標本のように並ぶコーヒー豆とそこに添えられた丁寧なコメントからはヤフネさんの細かな配慮と遊び心を感じ取ることができるでしょう。

標本のように並ぶコーヒー豆

「店を開いてからも探究は続いています。コーヒーの道に終わりはありませんから」。内から湧き出るその熱意は本物。店主の粋が感じられる一杯をぜひ味わってみてください。

TAMAGUSUKU COFFEE ROASTERS
住所:沖縄県那覇市松尾2-19-39
電話:098-988-4566
時間:8:30〜18:00
休み:火・金曜
URL:http://www.tamacoroa.com/

MAHOU COFFEE

のどかな昼下がりを享受する壺屋の路地裏、目と鼻の先の第一牧志公設市場の喧騒を避けるようにMAHOU COFFEEはありました。

MAHOU COFFEE

薄暗い店内に足を踏み入れれば、先程までの緩やかな空気が一変、まるで一枚のガラス扉を境に別の世界が立ち上がっているような独特の雰囲気が漂います。「ここでは純粋にコーヒーを味わっていただきたいんです」。無駄のない所作でコーヒーを立てる準備を整えながら、長い髭をたくわえた店主の山嵜明央さんが迎え入れてくれました。

コーヒーをドリップする男が描かれた店のロゴに象徴されるように、山嵜さんは自らを「ドリッピスト」と称し、独自の感性で、自由自在にドリップポットとエスプレッソマシンを操ります。看板メニューのマホウブレンド(500円)は、「深煎りでありながら透明感を感じさせる」群馬県高崎市にあるtonbi coffeeの深煎り焙煎豆を使用したオリジナルブレンド。

「ここでしか味わえない一杯を追求しています」。

ドリップに専念する山嵜さんだからこそ、同じく職人的な焙煎士の世界に敬意を払い、本当に惚れ込んだものを選び抜いているのです。

MAHOU COFFEE ドリップコーヒー

ドリップコーヒーをいれる山嵜さん

近年、浅煎りやシングルオリジンといったことに特色を見出すコーヒーショップが多い中で、深煎りやブレンドに重きを置くスタイルはひときわ異色に映ります。「古くから在る日本の喫茶文化に惹かれ、それがコーヒーや店づくりに反映されている」と山嵜さん。極深煎りの「D」ブレンド(500円)やカウンターに配された永田良介商店の椅子は、どちらもかつて東京・青山に存在した、敬愛する大坊珈琲店へのオマージュを込めたもの。その話を伺って、モダンながらも日本の喫茶店然とした店の空気感に納得がいきました。

写真撮影は不可なのでご注意を。こちらの店は記録ではなく五感による記憶で楽しむのがよいでしょう。

MAHOU COFFEE
住所:沖縄県那覇市壷屋1-6-5
電話:098-863-6866
時間:10:00〜18:00(L.O.17:00)
休み:水曜
URL:https://www.mahoucoffee.com/

※店内撮影&12歳以下の子どもの入店不可

COFFEE potohoto

国際通りの東端、安里駅前に広がる栄町市場は、観光客でごった返す牧志公設市場とは異なる「ディープな沖縄」が垣間見えるスポット。2006年、その片隅にオープンした「COFFEE potohoto」は、わずか2.5坪の狭小店舗です。座席はカウンターと通りの対面に置かれたベンチのみ。カウンター越しに覗けば店のすべてを見回してしまえる小さなスペースのなかで、店主の山田哲史さんは手を忙しなく動かしながらもお客さんとテンポよく会話を重ねます。

COFFEE potohoto

「大きな店の場合はカウンターの奥までは見えないですよね。コーヒーを作っているところも見て楽しんでもらえるのは小さな個人店だからできることです」

単純に飲み物としてのコーヒーだけでなく、その周りにあるストーリーも含めて体験してもらいたい。そんな山田さんの哲学は、自家焙煎の豆にも表れています。

8〜10種揃えた世界各国の豆のなかには、日本国内ではほとんど見かけない希少な産地のものも。たとえば台湾産のコーヒー豆は山田さん自ら現地に足を運び、生産者とコミュニケーションを取ることで取り扱いが可能になったもの。「生産者の個性と豆の個性って似通ったものがあるんです。生産者と直接対話することでそれぞれの豆の焙煎に反映できますし、豆の育った背景を知ることは僕自身にとってもよい経験でした」。カウンター脇に吊り下げられた地球儀をクルクルと回しながら、山田さんはその貴重な体験について語ってくれました。

カウンター脇に吊り下げられた地球儀

場所柄、地域密着性ということではダントツ。たまたま隣り合わせた地元の人と会話が弾むことも珍しいことではありません。「もちろん僕もこの市場の雰囲気が好きです。みなさん家族のような存在ですよ」と山田さん。汗ばむ陽気の日にはレモンの酸味とエスプレッソのコクのマリアージュが絶妙なアイスエスプレッソ with レモン(350円)をお供に、自然体の那覇の空気に触れてはいかがでしょうか。

アイスエスプレッソ with レモン

COFFEE potohoto
住所:沖縄県那覇市安里388-1(栄町市場内)
電話:098-886-3095
時間:月〜木曜10:00〜18:00、金・土曜10:00〜19:00
休み:日曜
URL:http://www.potohoto.jp/

今回紹介した5軒はいずれもコーヒー好きにはもちろん、普段の日常生活ではあまりカフェを利用しないような人たちにも一度は体験してもらいたい素敵な店ばかり。忙しく観光スポットを巡るばかりが旅にはあらず。独自の個性が光る店主たちの振る舞う一杯のコーヒーを通じて、新たな沖縄の魅力を発見できるに違いありません。

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