投稿者 : 百合 村上、投稿日 2017 年 5月8日

世界遺産・ロンドン塔で1000年の歴史と幽霊&カラスの伝説に出会う

「歴史とモダンが融合する都市」と形容されることが多いロンドン。その“歴史”の部分を最も濃厚に感じられるのが、テムズ川沿いに堂々とそびえ立つロンドン塔です。イギリス留学を経験した夏目漱石も「ロンドン塔は英国の歴史を煎じ詰めたものである」と書き残しているほど。ロンドン塔を訪れて、今も残るさまざまな歴史の足跡にふれ、1000年という果てしない時間をさかのぼってみませんか?

ロンドン塔とは?チケット購入やアクセス、訪問時の注意点は?

ロンドン塔とは?チケット購入やアクセス、訪問時の注意点は?
Photo by: Tower of London

11世紀の建造開始以来、国王の住まう宮殿などとして発展し、イギリス王室の宝冠や世界最大級のダイヤモンド「カリナン」が保管されていることでも知られるロンドン塔は、華やかなロンドンの中でもひときわ目立つ存在。1988年には世界遺産にも登録されており、大英博物館などと並ぶロンドン屈指の人気観光スポットです。周囲をテムズ川と、今は空になっている深い堀、城壁に堅固に守られ、その中にホワイト・タワーなどの建物が点在しています。

ロンドン塔とは?チケット購入やアクセス、訪問時の注意点は?

チケットは現地でも購入できますが、割引があるオンライン購入がおすすめ。チケット売り場の列に並ぶ時間を節約することもできます。なお、ロンドン塔のチケットはかなり高価なので、ロンドン観光中に有料の見どころをたくさん楽しむ予定の方は60ヵ所以上で料金が無料になるロンドン・パスの利用を検討されるのも良いかもしれません。

ロンドン塔とは?チケット購入やアクセス、訪問時の注意点は?

最寄り駅は、サークル線(Circle Line)とディストリクト線(District Line)が乗り入れるタワー・ヒル駅(Tower Hill Station)。改札からロンドン塔の入り口までは徒歩5分ほどです。駅構内から「Tower of London」という標識が出ているので、それに従って進んでいきましょう。

ロンドン塔の内部は広く、見どころもたくさん。普通に見て回れば4時間、駆け足でも3時間はかかります。時間にゆとりのない人は比較的空いている平日に訪れるか、見たいところを事前に決めておいて効率よく訪問するようにしましょう。また、タワー内には非常に狭くて歩きにくい階段などもあります。安全のためにもハイヒールなどは避けた方が無難。

ロンドン塔(Tower of London)
公式サイト(英語):http://www.hrp.org.uk/tower-of-london
電話番号:020 3166 6000
住所:The Tower of London London, EC3N 4AB
営業日:毎日(12/24~26および1/1を除く)
営業時間:火曜~土曜9:00~17:30(11/1~2/28は~16:30)、日曜・月曜10:00~17:30(11/1~2/28は~16:30)(※入場は閉館30分前まで)
入場料:大人24.80ポンド(オンライン21.50ポンド)、学生・障がい者・シニア(60歳以上)19.30ポンド(オンライン16.40ポンド)、子ども(5~15歳)11.50ポンド(オンライン9.70ポンド)、その他ファミリー料金あり

ロンドンを象徴する存在のヨーマン・ウォーダーズが見どころを案内

ロンドンを象徴する存在のヨーマン・ウォーダーズが見どころを案内

入場するとすぐに城壁に続く橋があり、そこでほかの観光客が待機している姿を目にするはず。ここは、30分ごとに開始するヨーマン・ウォーダーズ(通称ビーフィーター)による英語ガイドツアーの起点。ジョーク連発のこのガイドはとても人気があります。なお、ガイドツアーは15時半スタートのものが最終なのでご注意を(11/1~2/28は14時半)。

ロンドンを象徴する存在のヨーマン・ウォーダーズが見どころを案内

ヨーマン・ウォーダーズとはロンドン塔の衛兵隊のこと。15世紀から国民義勇軍のような存在として活動していた彼らは、国王や財産を守るなど、次第に重要な役割を担うように。決して裕福ではないものの王室によって衣食住を保証されており、庶民には手が届かない牛肉を食べられたことから「ビーフィーター(Beefeater)」という通称が生まれたとも言われています。

現在、ロンドン塔のヨーマン・ウォーダーになるには、軍隊に22年以上勤務したこと、准尉以上であること、善行のメダルを授与されたこと、任命時に44~55歳であることなどが条件。ベテランならではの風格を漂わせた人が多いのはこのような理由からなのです。「ビーフィーター・ジン」のボトルでおなじみの赤い制服は正装で、ふだんはご覧のように紺地に赤いラインの入った制服を着用。胸を飾っているERは“Elizabetha Regina”(ラテン語で「エリザベス女王」の意)を略したものです。

ただし、彼らのガイドはかなり早口な英語であるうえ、イギリスの歴史を知らないとついていくのが困難。その場合、その少し先にあるショップで地図付きの日本語版ガイドブック(4.99ポンド)を購入するのがおすすめです。

このガイドブックを買って

このガイドブックを買ってすぐに見どころをざっとチェックし、ロンドン塔を出た後にもう一度じっくり読むと、このスポットの素晴らしさを十全に理解できるでしょう。

オーディオガイド派

オーディオガイド派の方は、同じショップにて日本語の音声ガイド(4ポンド)をレンタルすることもできます。写真のような地図も一緒に渡してくれます。

ロンドン塔の歴史はここから始まった!ホワイト・タワーで甲冑や礼拝堂を見学

ロンドン塔の歴史はここから始まった!ホワイト・タワーで甲冑や礼拝堂を見学
Photo by: Tower of London

ロンドン塔の中央に位置するホワイト・タワー。1075年にウィリアム征服王の命によって建造が開始され、1100年ごろに完成したと見られています。ここは要塞であると同時に儀式を執り行う場所でもあり、国王の権力を誇示するための壮麗な塔でもありました。

ロンドン塔の歴史はここから始まった!ホワイト・タワーで甲冑や礼拝堂を見学

およそ1000年の歴史を誇る貴重な建築物として見学を楽しむのはもちろん、中に展示されている王家の武器や甲冑なども必見!各年代の名匠らが手掛けたこれらの武具は、ため息がこぼれるほどの精緻さ。中でも350年以上にわたりここに展示されている甲冑に身を固めた騎馬像「ライン・オブ・キングス」は見る者の目を奪います。

ロンドン塔の歴史はここから始まった!ホワイト・タワーで甲冑や礼拝堂を見学

また、日本から寄贈された鎧兜が展示されているのも楽しいサプライズ。

出口にはショップもあります(マグカップ9.99ポンド、Tシャツ19.99ポンドなど)。

ホワイト・タワー内部にはアングロノルマン初期の建築物であるセント・ジョン礼拝堂などもあります(写真撮影禁止)。ホワイト・タワーには展示物が非常に多いため、ゆっくり見ているとあっという間に1時間以上が経ってしまいます。ほかの場所の見学とのバランスも考えて、ここは駆け足気味に見るのがおすすめ。出口にはショップもあります(マグカップ9.99ポンド、Tシャツ19.99ポンドなど)。

宝冠や王笏がずらり!ウォータールー兵舎のクラウン・ジュエルは必見

宝冠や王笏がずらり!ウォータールー兵舎のクラウン・ジュエルは必見
Photo by:Visit Britain

もう1つ、ロンドン塔で必ず押さえておきたいのがクラウン・ジュエルです。「宝石にはさほど興味がない」という方も、ここに展示されている金銀の宝物を目にすれば気持ちが変わるかもしれません。おびただしい数の宝石が散りばめられた王冠を始めとして、剣や王笏、宝珠といった戴冠式に用いられる宝器がずらり。もちろんすべて本物であり、「この王冠は現在、エリザベス女王がお使いのため展示されていません」という日すらあります。また、巨大ダイヤモンド「カリナン」もここで見ることができます。

宝冠や王笏がずらり!ウォータールー兵舎のクラウン・ジュエルは必見

なお、土日や、平日でも混んでいる時間帯にはウォータールー兵舎の前に行列ができています。そして残念ながら、クラウン・ジュエルの写真撮影は全面的に禁止。ここではカメラをかばんにしまって、きらびやかな世界をその目でご堪能くださいね。

牢獄としての過去のあるロンドン塔には幽霊が出現!?有名なカラスの伝説も

牢獄としての過去のあるロンドン塔には幽霊が出現!?有名なカラスの伝説も

ここまでロンドン塔の華やかで勇壮な部分を見てきましたが、実はロンドン塔は牢獄として使われていた時代もあるのです。その歴史を示すものとしてまず見ておきたいのが「トレイターズ・ゲート(裏切り者の門)」と呼ばれる水門。テムズ川に面したこの水門を通じて、囚人たちは牢獄であったロンドン塔に入っていきました。そして数百もの人々が二度と浮世に戻ることなく処刑されることになります。

牢獄としての過去のあるロンドン塔には幽霊が出現!?有名なカラスの伝説も

「ロワー・ウェイクフィールド・タワー」には囚人の一部に使われた拷問用の道具も展示されています。

牢獄としての過去のあるロンドン塔には幽霊が出現!?有名なカラスの伝説も

それでも実はロンドン塔の内部で処刑された人はいわゆる“セレブ”に限られ、多くの人たちはロンドン塔の外で衆人環視の元、断頭台の露と消えました。ロンドン塔の内部で命を落とした数少ないセレブの1人が、ヘンリー八世の妃であったアン・ブーリン。姦通の咎で処刑されましたが、実際には王との間に子どもができなかったために厄介払いされたとの噂も。悲劇的な運命を辿ったアン・ブーリンの魂は今もロンドン塔内をさまよっていると言われ、彼女の幽霊の目撃証言が絶えません。写真は、鎮魂を願って処刑場後に作られたメモリアルです。

牢獄としての過去のあるロンドン塔には幽霊が出現!?有名なカラスの伝説も

もう1つ、ロンドン塔には興味深い伝説が存在します。それは「6羽のカラスが城砦を去ると、王国もロンドン塔も滅びる」というもの。そのため今日でも予備を加えた7羽のカラスが塔内で飼育されており、ロンドン塔から出ていかないようにと羽の一部を切られています。ロンドン塔内の緑地スペースなどでその姿を目にする人も多いはず。職場を同じくする者同士ゆえか、ヨーマン・ウォーダーズとの仲睦まじい姿も。

塔内カフェでは市場直送食材を使ったおいしいランチが楽しめる

塔内カフェでは市場直送食材を使ったおいしいランチが楽しめる

たくさん歩いてお腹がペコペコになった方はロンドン塔内の「ニュー・アーマリーズ・カフェ」へ。セルフサービス方式のカジュアルなレストランながら、ロンドン市内の有名な精肉市場や魚市場、野菜市場から新鮮な食材を仕入れており、おいしい食事を楽しむことができます。ケーキ類(2.95ポンド~)も豊富なので、お茶に立ち寄るのも良いでしょう。

塔内カフェでは市場直送食材を使ったおいしいランチが楽しめる

築地直送ならぬ「ビリングスゲート市場直送」のフィッシュ・ケーク(Fishcake。9.95ポンド)は多くの観光客のお気に入り。お肉の代わりにお魚を使ったコロッケのような料理です。また、週末に訪れた方には写真のウィークエンド・ロースト(Weekend Roast。11.95ポンド)が一押し。旨みたっぷりのポーク・ローストを、さまざまな野菜の付け合わせやヨークシャープディング(小麦粉と卵、牛乳や水を混ぜてオーブンで焼き上げた、外がサクサク、中がふんわりとしたパイのようなもの。プリンと言っても甘みはありません)と共に楽しめます。ご覧の通り、ボリュームも満点!

ニュー・アーマリーズ・カフェ(New Armouries cafe)
営業日:ロンドン塔の営業日に準ずる
営業時間:火曜~土曜9: 30~17:00(11/1~2/28は~16:00)、日曜・月曜10:30~17:00(11/1~2/28は~16:00)

ウォール・ウォークでロンドン塔のさらなる顔を発見

ウォール・ウォークでロンドン塔のさらなる顔を発見
Photo by: Tower of London

お時間のある方は、ソルト・タワーから始まってブロード・アロー・タワー、コンスタブル・タワー、マーティン・タワー、ノース・ウォール・ウォークまでつながっている「ウォール・ウォーク」にご挑戦ください。連絡通路のように続いていく幕壁を伝って塔から塔へと移動していくのは、それ自体がアドベンチャーのようでワクワク。また、幕壁はタワー・ブリッジを撮影するのにもおすすめのポイントです。

ウォール・ウォークでロンドン塔のさらなる顔を発見

ソルト・タワーに投獄された人たちが名前を刻んでいた壁は必見。また、コンスタンブル・タワーでは1381年に起きた農民一揆の様子を表す展示物が見られます。加えて、ロンドン塔にはアフリカゾウやライオン、ワニやクマなどが暮らしていたことがあるという、もう1つのロンドン塔の顔について知ることもできますよ。

いかがでしたか?入場料が20ポンド超と高めなので見学を尻込みしてしまう人も少なくないロンドン塔ですが、訪れてみるとその価値は十分にあるとお感じいただけるはずです。今回ご紹介したのは大きな見どころのみ。すべての建物や展示を見て回れば1日中楽しめます。また、期間限定の展示やファミリー向けのイベントなども随時開催されているので、気になる方はご訪問前に公式サイトで最新情報をチェックしてみてください!

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Cover photo by : Tower of London