本場スペインで体験したい! マドリードで情熱と哀愁のフラメンコ
喉の奥から振り絞るような歌声、かき鳴らされるギター、激しいステップ……。スペインを旅するなら、一度は見てみたいのが生フラメンコ。「タブラオ」と呼ばれるフラメンコハウスでは、情熱的なステージをライブで楽しむことができます。
首都マドリードには、一流のダンサーたちが集まるタブラオの名店が何軒かありますが、なかでもクオリティーの高さで知られるのが、老舗の「コラール・デ・ラ・モレリア」。舞台と客席の距離が近く、ステージの迫力も満点です。さあ、情熱と哀愁のフラメンコの世界へ!
本場アンダルシア地方でなくてもフラメンコは楽しめる?
スペインフラメンコの発祥地は、南部アンダルシア地方。セビリアやグラナダにはフラメンコ学校などもあり、住民たちの間に文化として根付いています。
では、なぜわざわざマドリードでフラメンコを観るのでしょう? それは、首都であるこの街にトップクラスの踊り手やミュージシャンが集結しているから。また、より洗練された踊りは、フラメンコの知識が乏しい私たち外国人にも理解しやすく、あっという間にその世界へと誘われます。
ルーツは15世紀頃に遡ると言われるフラメンコは、インドを追われてアンダルシア地方に流れてきたジプシーと、かつてスペインに君臨していたアラブ系民族、もともと暮らしていたアンダルシア人の民俗芸能が融合してできたミクスカルチャー。オリジナルは歌と手拍子だけでしたが、その後、ギターとスペインの民族舞踊が加わり、現在の形となりました。
2010年にユネスコの世界無形文化遺産に登録されて以降は、国際的な知名度と評価も高まっています。
実力派アーティストが舞台に立つ老舗のタブラオ
そんなフラメンコを間近で見られるのが、タブラオと呼ばれるステージ付きのフラメンコハウスです。マドリードにいくつかあるタブラオのなかでも人気なのが、1956年創業の老舗「コラール・デ・ラ・モレリア」。ニューヨーク・タイムズ誌のベストセラー『死ぬまでに観たい1000の場所』のマドリードの章では、王宮やプラド美術館とともに訪問必須スポットに挙げられています。
ここは、王室関係者や各国の著名人も多く訪れる有名処。壁には、これまでステージに立ってきた有名アーティストや鑑賞に訪れたVIPの写真がずらり。料金は他のタブラオよりもやや高めですが、世界各国から観客が訪れ連日満員御礼。これも、実力派アーティストがステージに登場するからこそなのです。
世界に知られるタブラオといっても、大規模なホールではなく、空間は案外とこじんまりした印象。前方のステージに向かってテーブル席が広がり、ここが観客席となっています。キャパシティこそ大きくありませんが、アーティストの踊りやギターを間近で見られるサイズ感で「一番後ろの席でステージが見えにくかった」とう心配は、まずありません。
ミシュラン1つ星の味とともにステージ鑑賞
80分間のショーは1日2回(20:30~、22:20~)行なわれ、ディナーを楽しみながら鑑賞することもできます。チケットはショーとディナー(38.9ユーロ、料理代は別、付加価値税+21%)、ショーとワンドリンク(41.3ユーロ 、付加価値税+21%)の2タイプがありますが、おすすめはディナーとのセット。ミシュランの1つ星を獲得したシェフが作る料理は、けっして「フラメンコのおまけ」的なものではありません。畑に見立てた新鮮野菜の前菜や魚を美しく盛ったメインディッシュなど、一皿一皿が美しくて、舌も目も満足させてくれます。
ディナー付きプランの場合は、ショーが始まる30分~2時間前に席についてワインや料理を堪能します。メニューはアラカルトとコースからチョイスが可能。食事の時間は18時半からほぼ30分刻みに設定されていますが、回によっては、着席からショーがスタートするまでの時間が短く、フラメンコを鑑賞しつつ手元が暗い中でメインディッシュを食べることになってしまいます。食事もショーも存分に堪能するなら、早めの回を予約して、ゆっくりと食事を楽しんでからステージ鑑賞という流れがおすすめです。
鳥肌がたつほどの迫力あるステージに陶酔!
いよいよステージでのショーがスタート。店内の照明が落とされ、ステージにはカホンとギターを奏でる男性が登場し、続いて若手ダンサー、ベテランダンサーと続きます。歌と手拍子、ギター、踊り……と、しだいに厚みと深さを帯びていく舞台に、フラメンコや楽器の知識がなくてもどんどん引き込まれてしまいます。
舞台が最高潮に達すると、観客から「オーレ!」の声がかかることも。ちなみに、写真撮影が許可されているのは、ステージが始まってから5分間のみ。あとはカメラをしまって舞台に集中しましょう!
気になるドレスコードはカジュアルな服装でOKですが、あまりラフすぎると浮いてしまうかも。T シャツや短パンではなく、ちょっとお洒落をするぐらいが、気分も盛り上がります。
このタブラオは人気が高いため、行こうと決めたら早めの予約が必須。公式ウエブサイトには日本語もあって、簡単に予約できます。出演者は公式サイトでも事前に告知しているので、ある程度彼らのことを調べておくと、より楽しみが深まるかもしれません。
国籍や文化の違いを越えて魂を揺さぶるフラメンコ。鳥肌が立つほどの体験をすれば、マドリッドの旅はより濃厚なものになることでしょう。
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[one_half_last]コラール・デ・ラ・モレリア(Corral de la Moreria)
住所:c/ Moreria, 17 – 28005 Madrid
電話:+34-91-365-8446/+34-91-365-1137
営業時間:20:30~、22:20~(ショー)
休み:なし
公式サイト:http://www.corraldelamoreria.com/jp/[/one_half_last]
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