投稿者 : 鈴木 圭、投稿日 2019 年 11月3日

見どころからグルメ情報まで! 水の都ベネチア観光徹底ガイド

「イタリアを旅行するなら、ベネチアだけは絶対外せない」という人は多いのではないでしょうか。古代遺跡のローマや芸術の都フィレンツェなど、イタリアはとかく魅力的な街が多い国ですが、ベネチアの雰囲気はやっぱり格別です。中世の街並みが水の中に浮かぶ姿は、他では決して見られない光景といっていいでしょう。

今回はそのベネチアの見どころやグルメ情報など、訪れる前に知っておきたい基本的な観光情報をまとめました。

元祖「水の都」ベネチアって、どんな街?

いわゆる「水の都」と呼ばれる観光地は世界中にありますが、その元祖といえばやっぱりベネチアをおいてほかありません。

元祖「水の都」ベネチア
ゴンドラに揺られ、のんびりと水路を行き交うのも楽しい

観光地としてのベネチアの魅力は、言うまでもなく水路が張り巡らされた街並みにあります。本島をはじめとするベネチアの島々は迷路のように入り組んでいて、他の街のように自動車やバスは入ることができません。それに代わって、昔から人の移動や貨物の輸送に使われてきたのがゴンドラと呼ばれる手漕ぎボートです。

現代は水上バスやフェリーなどエンジン付きの船がその役割を担っていますが、車に代わって水路を船が行き交う姿は世界的にも珍しく、ベネチアを象徴する光景の一つにもなっています。

水上バスや貨物用のボート、
水上バスや貨物用のボート、個人のクルーザーなどが行き交うのはベネチアの日常風景

車やバスの代わりに船を使うのは、旅行者も同じです。ベネチアには昔ながらのゴンドラのほか、ヴァポレットと呼ばれる水上バスの路線が整備されており、観光で移動する際は頻繁に利用することになるでしょう。この「車の代わりに船を使う」という体験は思った以上に新鮮で、一時的にせよベネチア市民の仲間入りをしたような気分に浸れます。

ヴァポレットはベネチア市民にとっても日常の足
ヴァポレットはベネチア市民にとっても日常の足

サンマルコ寺院やリアルト橋などの美しい建造物も、もちろんベネチアの魅力の一つです。ベネチアはかつて共和国として1000年以上も続いた海洋国家で、地中海貿易によって栄えた歴史を持っています。そのため、特に教会や街の象徴となる建物は精緻かつ荘厳。戦乱が絶えず複雑な歴史を持つヨーロッパにあって、1000年以上も独立を維持し続けることができた理由が垣間見えるようです。

中世から続く歴史的な街並みと水路のコントラストは、とにかく美しくフォトジェニック。歩いているだけで、別世界に来たような気分にさせてくれます。ベネチアが世界中から観光客を集めるのは、そんな非日常的な雰囲気が感じられるからなのかもしれません。

世界遺産の街ベネチアには、見どころがたくさん!

「ベネチアとその潟」として街全体が世界遺産に登録されているベネチア。街中のすべてが見どころ……と言いたいところですが、中でもマストでおさえておきたいものを紹介しましょう。

ベネチアの象徴といえば、やっぱり「サン・マルコ寺院」

ベネチアで絶対に見ておくべきものといえば、やはり筆頭はサン・マルコ寺院です。9世紀にベネチアに持ち込まれた聖マルコの遺骸を奉るために作られた寺院で、ビザンチン様式を代表する建造物とされています。

サン・マルコ広場は常に多くの人で賑わう
サン・マルコ広場は常に多くの人で賑わう

外から見える建物自体も素晴らしいのですが、内部はさらに荘厳な雰囲気です。天井や壁面は金、大理石、モザイク画などで埋め尽くされており、ベネチアがかつて栄華を極めた街であったことを伺わせてくれます。寺院に併設された博物館やパラ・ドーロ、宝物庫の展示物も必見です。

また、時間に余裕があれば寺院の隣にそびえる鐘楼にも登ってみましょう。サン・マルコ寺院の入場とはまた別の行列に並ぶ必要がありますが、上からは街並みはもちろん、周辺の島を含めたベネチアの全景が見渡せます。

鐘楼の上からはベネチアの街並みやラグーナが見渡せる
鐘楼の上からはベネチアの街並みやラグーナが見渡せる

サン・マルコ寺院(Basilica di San Marco)
住所:Piazza San Marco, 328, 30100 Venezia
電話番号:(+39)041-2708311
営業時間:月〜土曜9:30〜17:00、日曜14:00〜17:00(冬季10月29日~4月15日は月〜土曜9:30〜17:00、日曜14:00〜16:30)
料金:無料(サン・マルコ寺院博物館:5ユーロ、パラ・ドーロ:2ユーロ、宝物庫:3ユーロ、鐘楼:8ユーロはそれぞれ別料金)

ベネチア共和国の総督邸兼政庁だった「ドゥカーレ宮殿」

かつてベネチアは独立した共和国でしたが、その総督邸であり、また政庁としても使われていたのがドゥカーレ宮殿です。8世紀に建設されましたが、長い歴史の中で増改築を繰り返され、現在の姿になったのは15世紀頃のこととされています。

外観はゴシック様式だけでなく、イスラム建築の影響も見える 外観はゴシック様式だけでなく、イスラム建築の影響も見える

宮殿として使われていた時期もあるため、内部は豪華絢爛そのもの。パオロ・ヴェロネーゼやティントレットなど、当時の巨匠によるフレスコ画が所狭しと並んでいます。一般的にイタリアのフレスコ画は宗教色が強いのですが、ベネチアはカトリック教会から政治的に独立してきた歴史もあって、ベネチアそのものを礼賛するような作品が多いのが特徴です。

また、きらびやかな宮殿としての顔とは別に、ドゥカーレ宮殿は罪人たちを閉じ込める牢獄としての側面もありました。正面入口の裏手にあるためいき橋はその象徴で、普段は見ることの少ない、歴史の裏の一面が垣間見えるのも魅力のひとつと言えるでしょう。

ドゥカーレ宮殿と牢獄はこのためいき橋で結ばれる
ドゥカーレ宮殿と牢獄はこのためいき橋で結ばれる

ドゥカーレ宮殿(Palazzo Ducale)
住所:Piazza San Marco, 1, 30100 Venezia
電話番号:(+39)041-2715911
営業時間:日〜木曜8:30〜21:00、金〜土曜8:30〜23:00(冬季11月1日〜3月31日は月〜日曜8:30〜19:00)
料金:25ユーロ

地中海交易の中心地だった「リアルト市場」

海洋国家として地中海交易で栄えた歴史を持つベネチア。その交易の中心地であったのが、カナル・グランデ(大運河)のほとりに位置するリアルト市場です。かつては航海を終えた商船が並び、東方から運ばれてきた珍しい香辛料や布、貴金属などの取引が行われていました。

生鮮食品がならぶリアルト市場は、ベネチアの台所的な存在
生鮮食品がならぶリアルト市場は、ベネチアの台所的な存在

現在は魚介類や野菜、果実などの市場として多くの地元民で賑わっています。ベネチア料理といえば周辺の島々(ラグーナ)で穫れる近海の魚介類がベースになったものが多く、リアルト市場がベネチア庶民の台所と言える場所。旅行中に生鮮食品を買うのは難しいかもしれませんが、活気ある市場の様子は見ているだけでも楽しいものです。

ベネチアを象徴する建造物の一つ
市場近くに位置するリアルト橋は、ベネチアを象徴する建造物の一つ

リアルト市場(Mercato di Rialto)
住所:Calle de la Pescaria, 30122 Venezia
営業時間:火〜土曜7:30~12:30(野菜・果物市場は月〜土曜7:30~13:30)

ベネチアを訪れたら食べてみたい、名物料理はどんなもの?

かつて海洋国家として名を馳せたベネチア。その名物料理は新鮮な海の幸をふんだんに使ったものが多く、中には日本でおなじみの料理もあります。代表的なものをいくつか紹介しましょう。

ワインのあてにもおすすめ「サルデ・イン・サオール」

サルデ・イン・サオール

新鮮なイワシをたっぷりのタマネギやレーズン、松の実などと一緒にマリネしたサルデ・イン・サオール。骨まで漬かったイワシはさっぱりとして食べやすく、海の幸が豊かなベネチアの庶民の味です。

レシピはシンプルですが、タマネギの炒め具合や調味料でレストランごとに味が変わるので、食べ比べてみるのもいいかもしれません。メインの料理としても、ワインのあてとしてもおすすめです。

日本でもおなじみの「イカスミのパスタ」

イカスミのパスタ

日本でもよく見かけるイカスミのパスタは、実はベネチアの郷土料理。イカスミのほかには少しのトマトと唐辛子を加えただけと、日本よりシンプルなレシピが多いのですが、それがかえって美味しさを引き立ててくれます。

口の周りを真っ黒にしながら食べるのはちょっと気がひけるかもしれませんが、美味しいものに対しては後のことを考えず、黙々と取り掛かるのがイタリア流です。レストランによってはリゾットを提供している場合もあるので、見かけたらぜひ試してみてください。

ポレンタと一緒に味わいたい「バッカラ・マンテカート」

バッカラ・マンテカート

バッカラとは塩漬けにした干し鱈のことで、イタリアではごく一般的な食材。これを水で戻してから煮て、ムース状に仕上げたのがバッカラ・マンテカートです。

日本人の私たちにとっては食材もレシピも馴染みのない一皿ですが、口の中でふわりと溶ける食感とクリーミーな味わいで、一度食べたらきっとハマります。とうもろこしの粉を練って固めたポレンタと一緒に提供されることが多いので、ぜひ一緒に食べてみてください。

ランチにはベネチア風の「トラメッジーノ」がおすすめ

トラメッジーノとはトーストに具を挟んで三角形に切ったサンドイッチのこと。イタリアのどこでも見かけるありふれた一皿ですが、ベネチアのトラメッジーノは一味違います。

トラメッジーノ

こんな感じで、パンが閉じられないほど具がぎゅうぎゅうに挟まれているのがベネチア流。ちょっと食べにくいですが、パンをしっかり持ち、大きな口を開けて頬張ってみてください。バールなどで気軽に買えるので、おやつはもちろん、忙しい観光の合間にさっとランチしたいときにもおすすめです。

他都市の観光を優先するなら、日帰りもおすすめ

ベネチアは美しい街ですが、ハイシーズンはホテルの予約も取りにくく、さらにイタリアの中でも飛び抜けて物価が高いのが悩ましいところ。世界的に有名な観光地だけあって、ホテルやレストラン、施設の入場料はイタリアの他都市よりも2〜3割ほど高い印象です。

もしあなたがイタリアの他都市にも興味があって、そちらの観光も重視したいなら、ベネチアは日帰りで訪れるのもおすすめです。例えばミラノからベネチアは電車で2時間半ほどの距離。朝早く出発すれば、ベネチアの主要なスポットをゆっくり見て回れます。このほか、フィレンツェやボローニャ、ヴェローナからならベネチア日帰りは時間的にも十分可能。旅行のルートを計画する参考にしてみてください。(ローマからの日帰りも一応可能ですが、ベネチアの滞在時間は少し限られそうです)

イタリア主要都市からベネチアへの所要時間

ミラノ → ベネチア:約2時間30分
フィレンツェ → ベネチア:約2時間
ボローニャ → ベネチア:約1時間30分
ヴェローナ → ベネチア:約1時間10分
ローマ → ベネチア:約3時間45分
※いずれも特急電車フレッチャロッサを利用した片道の目安時間

楽しみが多すぎるベネチア、一度じゃ全然足りないかも

教会や宮殿、中世から続く古い街並みはもちろん、水路を行き交う水上ボートやゴンドラ体験など、さまざまな魅力を持ったベネチア。「一生に一度は行ってみたい」なんて言葉をよく聞きますが、実際に訪れてみると「一度じゃ全然足りない」に変わるかもしれません。旅行前にはしっかりと計画を立てて、心残りのないよう楽しんでくださいね!

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