古代ローマ時代から1861年にイタリアが統一されるまで、南イタリアの各都市には様々な民族や宗教が流れ込みました。今でもその歴史を感じさせる特徴的な建物が残り、街のいたるところでヨーロッパの歴史を知ることができます。
世界史に詳しくないという方もご安心を!南イタリアにある世界遺産は、歴史を語る上で外せない建物ばかり。南イタリアの世界遺産を巡れば、ヨーロッパの歴史を肌で感じることができるでしょう。

まるで小人の世界?観光地としても大人気なプーリアの世界遺産

アルベロベッロ

白いとんがり屋根の家が並ぶ町の様子は、まさに絵本の世界のよう。町並みも、そして家の中も絵になるアルベロベッロは、写真好きにはたまらない観光地です。

とんがり屋根のトゥルッリは宿泊も可能!人気の観光地アルベロベッロ

ブーツの形に似たイタリア半島。そのかかとのあたりにプーリア州があります。プーリア州の州都バーリから55kmほど内陸に入った位置にある町、それがアルベロベッロです。アルベロベッロにあるトゥルッリという伝統家屋群が、世界遺産に登録されています。

特徴的なこの家屋は、16世紀半ばからの約100年間に開拓農民によって建設されました。石灰岩質の厳しい生活環境でも入手しやすい材料で作られたトゥルッリは、当時の領主の命令により解体しやすいよう簡易的に建設することが義務付けられていました。主な理由は2つあり、一つは反抗的な農民を懲罰して反乱を未然に防ぐため、もう一つはナポリ王の監督官が視察に来る度に解体し、当時の領主がナポリ王国に対する納税を逃れるためであると記録されています。

歴史に翻弄された開拓民の生活がうかがい知れるこのトゥルッリですが、実際に宿泊体験することもできます。見た目よりも広々として明るい室内にきっと驚くはずです。また、ベッドリネンやキッチン雑貨など素朴で可愛らしいインテリアにも注目です。

ローマからのアクセス
ティブルティーナ駅から高速バスで6.5時間:マロッツィ(Marozzi)社/1日2便
バーリ駅から鉄道で1.5時間:スッド-エスト(Sud-Est)線/平日は1時間に1本程度

トゥルッリのジェラテリアなんて世界中でここだけ?アルベロベッロ観光にぴったりの美味しいジェラート

ジェンティーレ(Gentile)

アルベロベッロ観光の際に寄ってほしいのが、トゥルッリのジェラート屋さん「ジェンティーレ(Gentile)」。町並み散策のお供に美味しいジェラートはぴったりです。また、深夜まで空いているので、トゥルッリに宿泊する際は夕食後のデザートにするのもオススメ!一押しはヨーグルト&イチジクの組合せです。季節によってオススメフルーツが変わるので、ぜひ旬なフルーツのジェラートを堪能してみてくださいね。

ジェンティーレ(Gentile)
住所:Piazza Giacomo Matteotti 6-7, 70011, Alberobello, Italia
電話番号:+39 329 949 1209

歴史の栄枯盛衰を見守り続けた世界遺産はバジリカータにあり!

バジリカータ

キリストの受難を描いた映画「パッション」で、キリストが磔にされる名シーンが撮影されたのが、バジリカータ州のマテーラ。映画の中で緊迫した雰囲気を際立たせていたのがこの荒廃した町並みですが、それもそのはず、洞窟住居サッシは、実際に迫害された人々の歴史と縁深いものなのです。

迫害された思いを今に伝えるのはマテーラにある洞窟住居サッシ

マテーラ

ブーツの形をしたイタリア半島のちょうど土踏まずの部分に位置するバジリカータ州に、世界遺産登録されている洞窟住居サッシのある都市マテーラがあります。マテーラの洞窟に人が住み始めたのは遥か旧石器時代まで遡ると言われています。その後、教会や路地などが造られ人が住む集落として発展していき、8世紀から13世紀にかけては東方からのイスラム勢力による支配から逃れた修行僧が住み着きます。そして15〜16世紀にかけては、オスマン帝国に追われたアルバニア人やセルビア人が移住しました。

このように、それぞれの時代に住処を追われた人たちのシェルターのような役割を担ってきたサッシですが、20世紀に入ると人口が増加し、今まで家畜小屋だった洞窟まで住居として使われるようになります。その結果、劣悪な衛生環境によりこの地域の死亡率が急増。心配した政府が、1950年代にサッシの住人を全員マテーラ郊外に建設した集合住宅へ移住させてしまいます。こうして一度は廃墟と化したサッシですが、40年後の1993年に世界遺産に登録され観光客が増えると、レストランやお土産物屋さん、ホテルなどといった形でサッシに再び人が戻り始め、今ではサッシの1/5ほどが再利用されています。

マテーラへのアクセス
バーリ駅から鉄道で1.5時間:バーリ-マテーラ(Bari-Matera)線/平日は1時間に1本程度

グロッタの家を訪問して当時の生活に想いを馳せてみよう

グロッタの家

「百聞は一見にしかず」というように、当時の歴史を肌で感じるには自分の目で見ることが一番です。マテーラにある「グロッタの家」は1956年まで実際に人が生活していた家をミュージアムのように開放しており、当時の生活をうかがい知ることができます。

明り採りは高いところにある窓一つだけだったり、水はけの悪い床から寝具を遠ざけるために、ベッドは大人の胸ほどの高さでベッドの下を収納スペースに利用していたりと、実際に見ることで劣悪な環境に住まざるをえない人々の苦境や、その生活の中での知恵に触れることができます。

日本語のパンフレットがもらえるので、英語やイタリア語がわからなくても安心です。

グロッタの家(casa grotta)
営業時間:9:30〜日没まで
休業日:なし
料金:3ユーロ
住所:Vicinato di vico Solitario, 11, 75100 Matera (MT) Italia
電話番号:+39 0835 310118
公式サイト:http://www.casagrotta.it/index.php?option=com_content&view=category&layout=theme2040:category&id=8&Itemid=101&lang=jp

文化の交差点シチリア島は世界遺産の宝庫!

シチリア島


photo by Tourism Media

地中海のほぼ中央に浮かぶ地中海最大の島「シチリア島」は、自然の恩恵に与り農作物や海産物の宝庫として今も昔も有名です。またイタリア半島とアフリカ大陸、イベリア半島、バルカン半島、アナトリア半島とを結ぶ交易及び軍事的な拠点として重要な島でもあります。恵まれた土地ゆえ常に覇権者に狙われ、支配されてきたシチリア島の世界遺産は、ヨーロッパ世界の勢力争いの歴史と重なるところが非常に多いことをご存知でしたか?

2500年の時を越えるギリシャ神殿が圧巻!アグリジェントの世界遺産

アグリジェント

遥か紀元前6世紀、アグリジェントは当時の覇者であったギリシャの植民地でした。地中海世界の重要な都市の一つに位置付けられ、威厳ある神殿がいくつも街に建設されました。今でも20近い神殿遺跡群が見晴らしの良い丘に存在し、この一帯は「神殿の谷」と呼ばれ1997年に世界遺産に登録されています。

しかし、20近くも神殿があると、どこを重点的に見るべきか迷ってしまいますよね。まず抑えておきたいのが、ほぼ完全に原形を留めているコンコルディア神殿。また、それぞれの神殿ごとに祀っている神様がいるので、由来から見物する神殿を決めるのもオススメです。例えば、ユーノー神殿は結婚・出産を司る女神ユーノーのための神殿。6月の花嫁を意味する「ジューンブライド」のジューンは実はこのユーノー女神のことです。また、ギリシャ神話に登場する名医アスクレーピオスを祀ったアスクレピオス神殿も健康祈願などに良いですよ。その他、人類と神々双方の秩序を守るゼウスを祀ったゼウス・オリンピア神殿などもあります。

神殿の谷(Valle dei templi)
営業時間:8:30〜19:00まで(一部神殿は9:00〜)
休業日:なし
料金:10ユーロ(併設のミュージアムとの共通チケットは13.5ユーロ) ※毎月第一日曜日は無料
住所:Valle dei templi, 92100 Agrigento (AG), Italia
電話番号:+39 0922 621657

都市観光しながら気軽に世界遺産を堪能!パレルモの世界遺産

パレルモ


photo by Tourism Media

「世界遺産を楽しみたいけど、移動にかける時間がもったいない!」そんな方にオススメなのが、パレルモ市内にある世界遺産の数々です。映画「ゴッドファーザー」の名場面が撮影されたパレルモのシンボル「マッシモ劇場」から徒歩20分圏内にある3つの世界遺産登録されている建物をご紹介します。

まずはイスラム文化とキリスト文化が混ざり合った外観が特徴的なパレルモ大聖堂です。紀元前8世紀ごろのカルタゴ支配に始まり、ギリシャ・ローマ・ゴート族・ビザンチン・アラブそしてノルマンとパレルモは歴代のヨーロッパの覇者に支配され続けてきました。4世紀に最初の教会が建てられたこの場所も、歴史の影響を受け、アラブ支配時代に教会がイスラム教徒によってモスクに改修されました。そして12世紀、ノルマン朝支配のもと、再びキリスト教の大聖堂へと変貌を遂げたのが、今のパレルモ大聖堂の原型です。

当時の大聖堂の内部は黄金のモザイクで輝いていたそうですが、現在はネオ・クラシック様式と呼ばれる非常にシンプルな内装で、当時の面影はどこにもありません。唯一残っている黄金のモザイク画「聖母子像」が入り口上部にあり、必見です。また足を運ぶ際には、内部だけでなく大聖堂の南側の外観にも注目してみてください。二つの小塔に挟まれた三つの連続尖頭アーチのある柱廊があり、一番左の柱廊にはイスラム教の経典であるコーランの一節が刻み込まれています。

パラティーナ礼拝堂

続いて、ノルマン王宮と、併設するパラティーナ礼拝堂。ノルマン王宮はもともと、9世紀にパレルモを支配していたアラブ人たちが建てたお城でした。それをパレルモ大聖堂と同じ12世紀にノルマンの王が要塞として強化すると同時に荘厳な王宮としていきました。パラティーナ礼拝堂には、黄金をあしらったモザイクで聖書の様々な場面が描かれています。

どの建物も、完全に壊して一から作り直したのではなく、元あった建物を生かして改修したもの。様々な文化が折り重なった世界的にも珍しい建築様式が見られます。

パレルモ大聖堂(cattedrale di Palermo)
営業時間:平日7:30〜18:00 / 土日祝 8:45〜9:45、11:00〜18:00
料金:無料(宝物殿及び王家の墓への入場料は別途)
住所:Corso Vittorio Emanuele, 90040 Palermo, Italia
電話番号:+39 091 334373
公式サイト(イタリア語):http://cattedrale.palermo.it/

ノルマン王宮及びパラティーナ礼拝堂
営業時間:平日、土曜 8:15〜17:45 / 日祝 8:15-13:00
料金:火曜〜木曜7ユーロ(一部立入り禁止エリア有り)/ 金曜〜月曜8.5ユーロ(全エリア観覧可能)
住所:Piazza Indipendenza, 1, 90129 Palermo, Italia
電話番号:+39 091 626 2833
公式サイト(イタリア語):http://fondazionefedericosecondo.it

パレルモ散策にぴったりの食べ歩きグルメ

ニーノ(NINO)

パレルモの町を歩くと、ストリートフードと呼ばれる屋台やフードスタンドの多さに驚くことでしょう。オーシャンビューのおしゃれなレストランもいいけれど、ストリートフードを片手に町歩きするのも楽しいですよ。今回は、パレルモ在住の日本人がオススメするお店を2軒ご紹介します。

1軒目は「ニーノ(NINO)」のボリューム抜群な絶品モツバーガーです。「パーネ コンラ ミルツァ(Pane can la milza)」と呼ばれるこの品は、大鍋でグツグツ煮込んだ牛の脾臓をハンバーガーのようにゴマパンに挟んで、スライスチーズと一緒にいただきます。NINOでは一緒にカットレモンも渡してくれるので、それをキュッと絞ってから食べると、コクのあるモツの旨味とレモンのフレッシュさが相まって美味しさが増します。ぜひ試してみてください。

ニーノ ウ バッレリーノ(Nino u’ Ballerino)
営業時間:24時間営業
住所:Corso C. Finocchiaro Aprile, 76/78, 90138 Palermo (PA), Italia
電話番号:+39-339-6950106
公式サイト(イタリア語):http://www.ninouballerino.it

ジェラートマニア(Gelatomania)

2軒目は、地中海の日差しを存分に浴びながらの散策にぴったりのストリートフード「ジェラート」です。パレルモには東京のコンビニに匹敵するくらいの数のジェラテリアがありますが、一押しは「ジェラートマニア(Gelatomania)」というアイススタンドです。少し観光地エリアから外れますが、地元の子どもからお年寄りまで幅広く愛される名店です。

その魅力は何と言っても、素材の新鮮さと価格のお手頃さ。3種類の味を選んでも1.7ユーロ(約200円)という良心的なお値段なので、何度でも色々な味を試してみたくなりますね。写真のジェラートは青リンゴ・蜂蜜・白桃です。

ジェラートマニア(Gelatomania)
営業時間:9:00〜24:00(不定期に昼休憩で閉まる時間帯有り)
住所:Corso Finocchiaro Aprile, Palermo, Sicilia, Italia

神話から地質学まで人々の暮らしに寄り添うエトナ山

エトナ山

南イタリアの世界遺産で最後にご紹介するのは、自然が生み出した世界遺産「エトナ山」です。ヨーロッパ最大の活火山であり、アルプスを除くとイタリアで一番標高の高い山。ナポリにあるヴェスヴィオ山の3倍ほどの高さがあります。

エトナ火山の活動は、なんと50万年も前から始まっており、活動を開始した当時は海底火山だったと言われています。17万年前から今の場所に鎮座しているエトナ山は遥か古代から、噴火という脅威を人間に見せつけ自然への畏怖を抱かせるとともに、肥えた火山性土壌は農業に適し、人々に恵みをもたらす存在でもありました。そんな怖れと崇拝の対象であったエトナ山は、神話の世界にも度々登場します。ギリシャ神話では、風の神アイオロスは世界中の風をエトナの洞窟に閉じ込め、それが原因で地震が頻繁に起こると言われていました。また、全能の神ゼウスがテューポーンという怪物を破りエトナ山に封印したため、テューポーンが山の重圧から逃れようともがくたびに噴火が起きるとも言われていました。継続的に噴火活動を続けているため、火山学・地質学など地球科学を研究する上で欠かせない、自然の研究所としても機能しています。

そんなエトナ山は、パレルモやカターニャの都市部から美しい稜線を望むも良し、近くまで足を伸ばして、噴火口区域まで近づき頂上地帯のクレーターをこの目で見るも良し。また、私鉄のチルクメトネア鉄道に乗れば、エトナ山麓114kmをぐるりと一周楽しむこともできます。

エトナ山へのアクセス:
カターニャからエトナ山までの直通バス:平日朝8:15発〜10:15着(1日1便)
エトナ山からカターニャまでの直通バス:平日 16:30発〜18:30着(1日1便)
料金:片道3.1ユーロ、往復6.2ユーロ
運行会社:ASTバス (http://www.aziendasicilianatrasporti.it/)

いかがでしたか?今回はプーリア州・バジリカータ州・シチリア島の南イタリアの世界遺産をご紹介しました。海を隔てて近接している諸外国とのつながりや、歴史的背景がうかがえるこれらの世界遺産は、実際にその空間に身を置くことで異国情緒をより深く感じることができます。ぜひ、魅惑の南イタリアへ足を伸ばしてみませんか。

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文・写真/鈴木(明)
Cover Photo by Tourism Media