冬の蒼を求めて知られざる南フランスのリゾート地、アルジュレス・シュル・メールへ

冬の蒼を求めて知られざる南フランスのリゾート地、アルジュレス・シュル・メールへ

南仏のリゾート地はニースやカンヌ、サントロペなどのイタリア国境に近いコート・ダジュールが有名ですが、スペインとの国境近くに位置するアルジュレス・シュル・メールやコリウールは、いまだ外国人にはあまり知られておらず、国内バカンス客も少ない冬は特におすすめのリゾート地です。

澄んだ蒼い海あり、偉大なエネルギーを放つ山あり、明るい太陽ありと大自然に恵まれ、自然の産物である地元ワインと地中海で獲れる新鮮魚介類のグルメは格別です。20世紀の偉大な画家アンリ・マティスの創造意欲をも刺激し、原色の鮮やかな色彩が特徴のフォーヴィスム(野獣派)が誕生したのも、この小さな港町コリウールでした。日常の悩みやストレスを一気に飲み込んでくれるような穏やかな太陽と蒼い海のもと、五感が満たされる大人の冬の旅をご紹介します。

スペインの国境に近い地中海岸沿いのコミューン

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人口が約1万人という小さなコミューン(市町村に相当する)であるアルジュレス・シュル・メール。住宅の約6割は別荘として使われているようで、夏時期は綺麗なビーチを求めてやってくる大勢のフランス人で賑わいます。隣町のコリウールの規模はさらに小さく人口約3千人程度。海水浴とともに、絵になる歴史的な建築物が有名な可愛らしい町です。両町間は公共バスが運行されていて、たったの1ユーロで乗車が可能です。リゾートホテルからアットホームなホテルまで、宿泊先が充実しているコリウールの海岸沿いを滞在拠点にするのが比較的便利かもしれません。

アルジュレスやコリウールまでの交通は、飛行機でマルセイユまで行きそこから列車を利用。または、パリからであれば、TGV列車で6時間弱のフランス縦断列車の旅も、フランスの豊かな田舎風景を愉しむには面白いでしょう。さらに、スペイン国境近くに位置するため、バルセロナ観光を兼ねてのバルセロナ経由も可能です。その場合は、地中海岸を眺めながらスペインとフランスの国境を越えるローカル列車となります。

絶品の新鮮魚介類はマスト!

アルジュレス・シュル・メールのシュル・メールとは「海の上」を意味します。その名が示すように、海ありきのアルジュレスといっても過言ではないでしょう。地中海の旬な魚料理や、魚介類の盛り合わせ、焼きムール貝のガーリック風味など、新鮮素材を使用した海の幸はマストで食したいところ。町にはワインと牡蠣が気軽に頂ける隠れ立ち飲みバーなどもあり、地元人に交じって昼間からまったりする時間はまさに贅沢そのものです。
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photo by Javier Leiva

ちなみに、コリウールといえば、19世紀にアンチョビ漁とワイン生産で名を馳せた村としても知られています。現在もアンチョビ漁の伝統を守り抜いているアトリエでは、生産見学や試食も行われています。また、毎週水曜日と日曜日は朝からコリウールの広場でマルシェ(市場)が開催されています。魚介類はもちろんのこと、地元で採れた新鮮野菜やスパイス、ハーブ類、オリーブオイル、パテなどの加工食品などさまざまなお店が並ぶため、産者の顔が見える市場でのお土産探しにも最適です。

マティスをも魅了したコリウールの町を歩く

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20世紀初頭に画家マティスにも大きなインスピレーションを与えた小さな港町コリウール。当時若手画家であったアンドレ・ドランとともに滞在し、絵の具の色をそのまま用いたような色彩で作品制作に没頭、結果、フォーヴィスムが生まれたのです。1950年代にはかのピカソも、さらにはサルバドール・ダリも定期的に訪れ、ダリは町の祭事にも参加していたようです。地中海の深い蒼と広大な空の青。遠くに見えるピレネー山脈の白い雪景色と日没時の太陽の赤色など、一日のどの瞬間をどの角度で撮っても絵になる美しいこの土地に、芸術家たちはさぞかし魅せられていたことでしょう。
コリウールの主な見どころであるノートルダム・デ・ザンジュ教会は、石造りの趣のある外観で、まさに海沿いに建てられたため、当時は灯台の役目も兼ねていました。教会の横道を通り抜け海側に出ると、そこに広がる美しい絶景に感動です。
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恵まれた土地環境

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温暖な地中海性気候であるこれらの町は、なんといっても晴天が似合います。一年に300日以上もお日様が照っているというから驚きです。地元人の太陽のような明るい性格にも影響しています。また、ピレネー山脈に繋がるアルベール山塊の麓に位置するため、海だけでなく、山の癒しパワーを感じながらのハイキングもおすすめです。

滞在期間に余裕があれば電車を乗り継ぎ、スペインの国境を越え、ダリの生まれ故郷であるフィゲラスへ。天才や奇才と称されたダリの世界を堪能できるダリ美術館は必見です。スペインの国境を越えた途端に雰囲気がガラリと変わり、その変化も面白いでしょう。また、近郊にはアルジュレスやコリウールのような小さなコミューンが点在しているため、公共バスや電車に揺られてぶらりと訪れてみるのも素敵です。なお、比較的大きな都市であるペルピニャンへは、直通の公共バスが走っていて便利です。

世界で名の知れた観光地も良いものですが、知られざる自分だけのリゾート地を見つけ、エネルギーを充電するように数日間ゆっくりと一つの場所に滞在するのも忘れ難いものです。海や空の深い蒼色を目に焼き付け、爽やかな自然の香りを嗅ぎ、水の音に耳をすませ、美味しい酸素を吸いながら、幸せが全身に行き渡る感覚をぜひ感じてみてください。
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