北欧というと、とてつもなく遠いイメージがあるかもしれませんが、実はフィンランドの首都ヘルシンキが、日本から一番近いヨーロッパの都市だという事実をご存知でしょうか?フィンランドの航空会社フィンエアーによると、東京からヘルシンキまでは直行便で約9時間半。ヨーロッパまでの最短時間だそうです。

そこで今回は、観光やトランジットで人気の街ヘルシンキで泊まりたいホテルを紹介します。デザイン王国フィンランドの実力をまざまざと感じさせる、ピカイチの2軒です。

大注目の最新デザインホテルは、とろけるようなアットホーム空間

数々の観光スポットやショッピングに訪れたいお店が建ち並ぶ、エスプラナーディ公園周辺。このエリアからわずか徒歩3分の距離に2016年オープンしたのが、「Hotel F6」です。外観を見ただけでは分からないのですが、扉を開けて一歩中に入ると、建物は吹き抜けを囲むように造られています。さらに奥へ進むと中庭が出現し、その庭に面して別の低層棟が建てられているというユニークな構造。

全66室という比較的小さなホテルですが、お部屋はゆったりしていてスタンダードルームでも25㎡あります。

Hotel F6

室内やホテル内には、そこかしこにセンスの良い家具や雑貨がディスプレイされています。部屋ごとに配置が異なるのはもちろん、インテリアやファブリックが少しずつ違うのも、きめ細やかな配慮。実はこのホテルは家族経営で、オーナーはスタッフのことも家族のように考えているとか。そんな信念が伝わってくる温かみのある雰囲気です。

Hotel F6 部屋

私はこのホテルに2度滞在したことがあるのですが、洗練されていておしゃれなのに、緊張しない居心地の良さは一体なんだろうとずっと考えていました。その結論の一つとして、おそらく肌に触れる上質なファブリックやタオル、客室内の照明から色のトーンまで、その全てにおいてきちんと選ばれていることが理由なのでは?と思いました。

常にスタッフが付き添ってくれるようなラグジュアリーなサービスはないし、何かを食べたいと思ったときには、タブレットから「Wolt」(※)経由で注文します。こういう“いい感じの距離感”も、心と身体を開放してくれるファクターなのでしょう。

Hotel F6 ベッドルーム

ホテルのフロントには、ボストンテリアの看板犬RUNARが鎮座しています。人懐っこいのですが、ゲストとの適度な距離感はわきまえているようです。ふと、フロントの反対側を見ると、レストランのドアにそっくりな犬のイラストと「RUNAR」の文字が。「犬の名前をレストランの名前にしたの?」と安易に聞くと、ホテルのスタッフはこう答えてくれました。

「1949〜1950年代に、このホテルの元となる建物を造った建築家の名前がRUNARだったんだよ。決して有名な人ではなかったけど、敬意を表してその名前をレストランに付けたんだ」。

Hotel F6のレストランRUNAR

そんなエピソードが隠されたお店ですが、実際はとってもカジュアルでアットホーム。朝食はマリメッコの食器で、フィンランドの定番カレリアパイなどをブッフェスタイルで食べられます。また、夜はバーになるので、カクテルでチルアウトするのもグッド。

Hotel F6 朝食ビュッフェ

なおWi-Fiは無料で、ホテル内にはジムも併設しています。体内時間をリセットして仕事に臨みたいビジネスマンにもうってつけ。忙しくて観光するヒマがない人にこそ、ぜひ利用してほしいホテルです。

ホテル F6(Hotel F6)を予約する

※Wolt…フードデリバリーサービス。ホテルと契約しているレストランから、直接食事を運んでもらえます。

老舗なのに新しい!歴史とモダンが融合した信頼の一軒

もう一軒紹介したいのが、地下鉄とトラム2番のカンピ駅からすぐの場所にある「Hotel Helka」。Helkaとして開業したのは1969年ですが、もともと1920年代後半から使われていたYWCAの建物で、宿泊施設としてまもなく90年の時を迎えます。歴史あるホテルだけに、国内での知名度はかなり高いもよう。私が泊まろうとしていた日もなかなか予約が取れませんでした。

Hotel Helka

そんな老舗ですが、館内やサービスはものすごくモダン!まず意外だったのは、自動チェック・イン機があったことです。予約情報を入力して、ルームキーを自分で作成します。レストランやサウナの営業時間などホテル内の案内は、ルームキーを受け取った時に出てくるレシートで確認。つまり、チェック・イン時にホテルスタッフと会話することがないのです(有人カウンターでのチェック・インも可能)。

実は「アルヴァ・アアルト(※)の家具が惜しげもなく使われている、すっごくオシャレなデザインホテル」という噂を聞いていたので、スノッブな雰囲気だったらどうしようと少し心配していたのですが、全くの正反対。日本のビジネスホテル並みの効率性に、逆の意味で驚きました。実際、立地やデザイン性、老舗であることを鑑みても、相場よりリーズナブルなのです。その理由も分かり、人気の高さにも納得しました。

Hotel Helka エントランス

客室の天井に自然の写真が掲げられていたり、照明が凝っていたりと、さすがはデザインホテル、いちいち飽きさせない仕掛けが満載です。16平方メートルの「SMART TWIN」ルームはこじんまりしていてお部屋で1日中くつろぐ、というタイプではありませんが、使われている家具や雑貨をマジマジと見ていると、なにか宝探しをしているようなワクワク感に駆られます。

Hotel Helka 部屋

館内もしかりで、ロビーや朝食のレストラン、フロント付近のバーは、ディスプレイがとにかくおしゃれ一つひとつじっくり見ていると、ホテルから出られなくなるかもしれません。

Hotel Helka エレベータホール

最上階のサウナで、朝風呂ならぬ朝サウナも気持ちいいです。日本と同じように見知らぬ人と裸の付き合いですが、ここは男女別なのでご安心を。私は早朝、フィンランドの50代くらいのご婦人とご一緒しました。

「私ね、ヘルシンキに来ると、ここ泊まるのが定番なの」

ご婦人の言葉を聞いて、いかにこのホテルが愛されているかを確信しました。カジュアルな割にはとても落ち着いた客層という点も、長年のファンが多いことを物語っています。

Hotel Helka

なお私が滞在したのは2017年末、ホテルの一部はリノベーション工事中でした。次回訪れたときにはどんな風に変わっているのか、それもまた楽しみです。

ホテル ヘルカ(Hotel Helka)を予約する

※アルヴァ・アアルト…20世紀を代表するフィンランドのモダニズム建築家、都市計画家、デザイナー。

滞在時間が短いなら、なおさら“その街らしさ”にこだわるべき

いかがでしたか?今回は主に私が実際に泊まった感想を紹介したので、まだまだ知られざる魅力が隠れているかもしれません。いずれにしても、その国・街でしか体験できないホテルステイは、例え短い滞在でもきっといい思い出になるでしょう。トランジットや出張など、あまり時間がない人ほど、その街らしさを感じられるホテルに泊まることをオススメします。

ヘルシンキの街

最後に一つ。いずれのホテルも設備・サービスともに申し分ないのですが、歯ブラシだけは用意がありません。持参するのを忘れずに。

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取材協力:フィンエアー