投稿者 : 岳志 永島、投稿日 2018 年 9月17日

アルゼンチン北部の世界遺産、ウマワカ渓谷の七色の丘&十四色の丘を訪れる

南米大陸でブラジルに次ぐ国土面積を誇るアルゼンチン。世界三大瀑布のひとつに数えられるイグアスの滝や、雄大な自然が広がるパタゴニア地方などが有名ですが、「南米のグランドキャニオン」とも称される世界遺産の谷があることをみなさんはご存知でしょうか?

旅の拠点・サルタへ

その絶景はアルゼンチン最北部、ボリビア国境と接するフフイ州のウマワカ渓谷にあります。今回の旅の目的地はふたつ。ひとつめのプルママルカは南北約150kmにわたるウマワカ渓谷の南部に位置する小さな村で、ここでは「七色の丘」と呼ばれる、さまざまな鉱物が生み出したカラフルな地層の丘を間近で望むことができます。そしてふたつめは「十四色の丘」の異名を持つオルノカル。プルママルカから数時間の距離にある秘境で、よりダイナミックな山相を堪能できます。

窓景

アルゼンチン北部の旅の拠点はフフイ州の隣、サルタ州の州都・サルタ。北部はアンデス特有の文化が色濃く残る地域で、それゆえ辺境のイメージを持たれがち。しかしそこは古くから交易路として栄えたサルタ。首都のブエノスアイレスからはもちろん、周辺国からのダイレクトフライトもありアクセス面の心配はまず無用です。ちなみにチリやペルー側からのフライトであれば、アンデス山脈を眼下に望む雄大な窓景を楽しめます。

インカ人のミイラに遭遇!

サルタ到着後、時間があれば町の名所である考古学博物館へ足を運んでみましょう。展示の目玉はアンデス山脈で発掘された約500年前のインカ帝国時代の子どものミイラ。生け贄として神に捧げられたという子どものミイラは3体あり、1体ずつ入れ替わり展示されます。

インカ人のミイラ

また近郊まで足をのばせば標高4000mを超える山岳地帯を走る観光列車「雲の列車」や、「悪魔ののどぼとけ」の異名を持つカファジャテ渓谷などの見どころも点在しています。

プルママルカの町に到着

さてサルタ観光もほどほどに「七色の丘」を目指して車で一路北へ。フフイ州に入るとそれまでの緑生い茂る高原風景から一変、赤土とサボテンからなる山がちな大地が姿を現し、絶景へのきざしに自然と胸が高鳴ります。

プルママルカ

そのまま山肌に沿って緩やかにうねる山道をしばらく進み、サルタから約2時間かけてようやくプルママルカに到着。周辺でひときわ目立つ色彩豊かな丘の懐にすっぽりと収まるその村は、1時間ほど歩けば一回りできてしまうほどの大きさで、日干しレンガで造られた伝統的な家屋が軒を連ねていました。

露店

村の中心部には土産物屋のほか、レストランやホテルも点在していますが、集落のすぐ背後に迫る七色の丘も村人にとっては日常風景の一部といった様子で、カラフルな民芸品を露店で売る先住民族のインディヘナの女性たちも観光客よりおしゃべりに夢中。少なくとも現在においては過度な観光開発とも無縁のようで、その自然でのどかな光景に少しほっとしたのでした。

七色の丘を堪能するならば、丘に日が差し込む午前中がおすすめ。当日はあいにく午後の到着となったため、丘は日陰になり色が映えません。そこでひとまずプルママルカに宿を取り、翌朝の日の出のタイミングを狙うことに。プルママルカにあるホテルは小規模な個人経営のものが中心ですが、それでも設備は十分。雄大な丘に抱かれながら屋外プールでリラックスしたり、夜には満天の星を眺めたりと贅沢な時間を満喫できます。

朝日に輝く七色の丘とご対面

翌朝、寝ぼけまなこをこすりつつヘッドライトを片手にいざ絶景鑑賞へ出発。展望スポットは国道を挟んだ村の対岸の丘を10分ほど登った先にありますが、道しるべはところどころ岩に描かれた矢印のみ。また砂利で滑りやすいので、歩きやすい靴で登りましょう。抜けのよい高台にたどり着いたら、あとは朝日に染まるときを静かに待つだけ。空はすでに明るく遠くの山から徐々に照らされていきます。

七色の丘

そしてついに光を浴びた七色の丘は、その岩肌の本来の色を取り戻し、自然が作り出したとは思えない鮮やかな断層をあらわにしました。朝日が徐々に丘の岩肌と村を染め上げてゆくこの光景は、宿泊した者だけしか味わえない特別な絶景でしょう。

七色の丘

さらにウマワカ渓谷を北へ

朝日に染まる七色の丘を十分に堪能したあとはさらに北、七色の丘ならぬ十四色の丘の異名を持つオルノカルへと針路を定めます。道中のウマワカ渓谷沿いには小さくも活気あふれるインディヘナの集落が点在し、移動に疲れた旅人を癒やしてくれることでしょう。

ウマワカ渓谷

オルノカル観光の拠点となるウマワカの町では伝統料理のリャマの煮込みをほおばり英気を養いました。

リャマの煮込み

ウマワカの先は未舗装の山道がひたすら続き、車は苦しそうなエンジン音を立ててグングンと高度を上げていきます。標高はすでに富士山越え。高山病にかからぬようこまめに水分を補給します。そうして峠道を上り切ること約1時間、突如視界が開け、カラフルな地層をむき出しにした山々が目に飛び込んできました。これこそが十四色の丘、オルノカルです。

オルノカル

これぞ絶景!オルノカルの十四色の丘

展望スポットは十四色の丘から谷を挟んだ対岸に位置していました。「4350m」と刻まれた岩の隣に立ち、改めて眺めるその光景はまさに奇跡の絶景。スケール感はプルママルカの七色の丘を遥かに凌駕し、午後の強い日差しを浴びた色彩豊かな山々がまるでその姿を誇示するかのように大きくそびえ立っていました。

オルノカル

谷底から立ち上がる山容を見るには駐車場からトレイルを下って崖の先端まで行く必要があります。しかしそこは4000mを超える天空の大地。歩くだけでも息が切れる環境ですからくれぐれも無理は避けましょう。

オルノカルの十四色の丘

インディヘナの暮らしとともにあるプルママルカの七色の丘と、壮大な地球規模のスケールを感じさせてくれるオルノカルの十四色の丘。アルゼンチン北部が擁するこれらの絶景は日本での知名度がまだそれほど高くない分、知られざる秘境を求める旅人の目には余計に魅力的に映ることでしょう。一生のうちに一度は訪れたい場所のひとつとして心に留めておきたい景色がここにあります。

アクセス
アルゼンチンの首都ブエノスアイレスまでは北米都市などで乗り継ぎ所要約24時間。サルタ州の州都サルタまでは国内線でさらに約2時間20分。サルタからプルママルカまで車で約2時間30分、プルママルカからウマワカまで車で約1時間、ウマワカからオルノカルまで山道をさらに1時間。サルタまではペルーのリマからもフライトがあるほか、サルタ発着のウマワカ渓谷周遊ツアーも催行されています。

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