台湾といえば「小籠包」に「牛肉麺(ニュウロウメン)」「麺線(ミェンシェン)」「魯肉飯(ルーローハン)」などの名物から、甘いものではタピオカミルクティーにマンゴーかき氷、パイナップルケーキまでおいしいものの宝庫。とはいえ数年前までは“夜市で食べ歩き”といったB級グルメよりの楽しみ方が主流でした。

ところが2014年12月台北にオープンしたある一軒のレストランが台北っ子のレストラン観や外食事情を大きく変えました。そのレストランの名前は「RAW(ロウ)」。“いま台湾でもっとも予約困難”といわれる人気店をご紹介します。

世界的シェフ、アンドレ・チャン氏が台湾の魅力を発信!

シェフのアンドレ・チャン氏

「RAW」は台湾出身の世界最高峰のシェフのひとり、アンドレ・チャン氏が仲間とともに3人で開店したレストラン。アンドレ・チャン氏は、シンガポールにある自身の名を冠したフランス料理店「レストラン アンドレ」のオーナーシェフです。2011年にオープンした「レストラン アンドレ」は、開店するや瞬く間にニューヨークタイムズで「飛行機に乗ってでも行く価値のある10軒のレストラン」に選ばれるなど、シンガポールを“美食国家”として世界へ知らしめるのに大きく貢献しました。「RAW」の開店は、世界で成功したアンドレ・チャン氏にとっていわば凱旋帰国というわけです。

「RAW」のキッチン

「RAW」のコンセプトは、“台湾産の食材の品質の高さ”と“台湾人のフレンドリーなホスピタリティ”を世界に発信する拠点。わかる、わかる。台湾に行ったことがある方なら共感していただけると思いますが、台湾人って優しくて面倒見がいいですよね。そんなわけで「RAW」のスタッフは、キッチンもサービススタッフも全員が台湾人。中国古来の季節の暦となる「二十四節気」を取り入れたメニューづくりにはアンドレ・チャン氏も関わりますが、毎日の現場は新進気鋭の台湾人シェフ、アラン・ホワン氏が率いています。

台湾の子ども向けスナックや伝統料理がモダンに大変身

「RAW}のひと皿の野菜料理

そんなRAWらしさがもっとも凝縮していたのが、ひと皿の野菜料理です。これは台湾内で栽培されている季節の野菜23種類を1種類ずつ揚げたり、ソテーしたり、蒸したり、ゆでたり、マリネしたりと素材を生かして調理して、それらを調和した料理。「シンガポールや香港のレストランが世界各国から食材を集める輸入文化なのに対して、台湾は豊かな食材に恵まれているので台湾産の食材を訴求したい」というアンドレ・チャン氏の強い思いが表現されています。

牛舌餅

ユニークだったのは“子どもにはわからない大人の贅沢”をコンセプトにした「牛舌餅」。台湾には、台湾人なら子どもの頃から食べ親しんでいる牛タンのかたちをした「牛舌餅」という駄菓子があるそうです。本来はミルクと砂糖をたっぷり使った焼き菓子ですが、ここでは上質な小麦と塩のみでクラッカーを“牛タン型”に焼き上げ、本物の牛タンを台湾人が好むすき焼き風に味付けし、卵黄を添えました。

RAW(ロウ)の料理
RAW(ロウ)の料理

開店にあたって改めて食材を求めて台湾全土を回り、台湾の食の歴史をひもといたというのはアラン・ホワン氏。「アンドレさんは世界の食の最先端に精通し、すばらしいクリエイティブな才能をお持ちですが、台湾のひとつひとつの食材や、台湾人の食の嗜好については私のほうがよく知っています。(アンドレさんに頼るのではなく)お互いの知識と経験をシェアしていきたい」と、若手ながら頼もしい。そんなアラン・ホワン氏が注目したのが「客家料理」です。

RAW(ロウ)の料理

台湾には、大陸からやって来た「客家人」という独自の文化を持つ民族が暮らしていて、彼らの伝統である「客家料理」は現代においても洗練された食文化のひとつといわれています。デザートの一品として登場したのは、その客家料理のおもてなしメニューのひとつである擂茶(レイチャー)をベースに、ピーナツや玄米、かぼちゃの種などをすりあわせて抹茶ソースとミックスしたものでした。

外食慣れしていなくても居心地いいカジュアルな空間

RAW(ロウ)の料理
RAW(ロウ)の料理

ほかにもお粥や腐乳、サメの肉、台湾名物のパイナップルケーキ(アンドレ・チャン氏が独自の解釈で味覚とテクスチャー、温度などを再構築したシグネチャーメニューのひとつ)といった、台湾人にとって食べ慣れた味がふんだんに使われているので、外食にあまり慣れていない人でも親しみやすいみたい。

ちなみに、食のトレンドの方向性を左右するといわれるイノベーティブなレストランのランキング「アジアのベストレストラン50 」の2016年版で、「RAW」は46位にランクインしました。台湾からはもう1軒、台中の「ル・ムー」が30位に入っています。

RAW(ロウ)の料理

それにも関わらず「RAW」に人気が殺到しているのは、リラックスした“ビストロ”の雰囲気で高級レストランの“ガストロノミー”に引けを取らない料理を提供するという意味の造語「ビストロノミー」を掲げているから。有名なシェフが手がけているからといって、気後れするような入りづらい超高級店ではないのです。

たとえばフォークとナイフをテーブルにずらりと並べるのではなく、カトラリーはテーブルの下に備え付けられた引き出しにセットされていて、ゲストは順番など気にせず自由に好きなものを使うことができます。価格帯も“普通の人がハレの日ちょっと贅沢できる”くらいということで、昼夜同一メニューのコースが日本円で6000円前後に抑えられています。

超人気店のプラチナシートを予約する方法は?

RAW(ロウ)

わりとミーハーな台湾人にとって“我が国が生んだアイドルスター”のようなアンドレ・チャン氏の人気もあって、いまや予約が殺到している「RAW」。“台湾人は親日だから日本からのほうが予約しやすい”などという都市伝説までありましたが、もちろんそんなことはなく、予約方法は ①毎日正午から14日後の予約をオンラインで受付 ②8〜20人で利用する「シェフズテーブル」の予約を毎月第1火曜に電話で受付 ③ウェイティングリストに登録してキャンセルを待つ の3つです。詳細は公式ページをご覧ください。

狭き門ではありますが、もし予約できたらこの店へ行くためだけに台湾に行っても惜しくない注目店。台湾人を誘ったら喜ばれること間違いなしです。ぜひ新しい“台湾の美食”を体験してみてください。

RAW(ロウ)
公式サイト(英語・中国語):http://www.raw.com.tw/
住所:No.301,Le Qun 3rd Road,Taipei City,Taiwan
電話:886 2 8501 5800
営業時間:11:30〜14:30/18:00〜22:00
定休日:月曜・火曜

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