台湾北部の海に面した丘陵地にたたずむ老街「九份(じょうふん)」。東シナ海に日が落ちて辺りが暗くなるころ、石畳の階段脇に連なる真っ赤な提灯に明かりが灯され、レトロでなんとも幻想的な風景が浮かび上がります。
さあ、あなたもあの映画のワンシーンを彷彿させるこの街へ迷い込んでみませんか。

ゴールドラッシュに沸いた「アジアの金の都」

新北市瑞芳区にある九份は、急な山肌にへばりつくように広がる集落。環境が厳しく、もともとは9世帯しか住んでいなかった小さな田舎街です。その街に転機が訪れたのは、日本統治時代の1890年ごろ。住人が砂金を発見したことから金を求める人がどっと押し寄せ、3000~4000世帯にも膨れ上がりました。「アジアの金の都」と称され、「小上海」や「小香港」とも呼ばれたほどです。

第2次世界大戦後は金の採取量が激減。金鉱山は閉鎖し、人口も減って衰退の一途をたどっていましたが、1989年にトニー・レオンが主演した映画『悲情城市』(侯孝賢監督)の舞台となるやいなや、再び話題の地になりました。

日本統治時代が終わった後、台湾で起こった悲惨な歴史的事件「二・二八事件」を公の場で初めて描き、ヴェネチア国際映画祭でグランプリを受賞。映画の影響力は大きく、台湾有数の観光地になりました。

「不思議の町」に迷い込んだような世界観

さらに、この地が世界的に一躍有名になったのは、2001年に公開された宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』。日本歴代興行収入第1位の大ヒット作品の舞台は九份ではないか、と話題を呼びました。

千尋が迷い込んだ「不思議の町」は赤提灯がぶら下がる九份とどこか重なり、両親がカウンターにずらりと並んだおいしそうな食べ物をほおばるシーンも活気に満ちた台湾の屋台のよう。そして、メインロードの「豎崎路(しゅーちーるー)」の中ほどにある、お茶を楽しむ茶藝館「阿妹茶酒館」は必見です。カオナシや湯婆婆の坊を連想させるお面が掛けられ、宮崎ファンならきっと興奮することでしょう。

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photo by m-louis

ここが映画のモデルかどうかの真偽は定かでありませんが、「不思議の町」に迷い込んだような錯覚に陥ることは間違いなし! 映画独特のあの世界観を味わいたいなら、ぜひ日が暮れるころに訪れるのがおすすめです。

階段を登りきれば、毎日にぎやかな“縁日”

茶藝館が並ぶメインロードの「豎崎路」の階段を360段登りきると、第2のメインロード「基隆街」につながります。細い道の両脇には食べ物屋やお土産物屋が所狭しと軒を連ね、週末はもちろん、平日でも観光客でかなり混み合います。

ここでぜひ食べておきたいのが九份名物のお芋を使ったスイーツ。老舗店の「賴阿婆芋圓(らいあぽゆぃゆえん)」と「阿柑姨芋圓店(あかんいー)」がローカルに人気です。買い食いをしたり、お土産屋を冷やかしたりしながらそぞろ歩きするのはどこか縁日のようで、それも楽しみの1つです。

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photo by jauyin luo

そして、散策した後は台湾名産の高山茶をゆっくりと飲みながら過ごすのが台湾流。たくさんの茶藝館がありますが、景色重視ならメインロードの「豎崎路」に並ぶ茶藝館がぴったり。目の前に広がる東シナ海の絶景を眺めながら、丁寧に入れられた甘く香り高いお茶をいただけば、きっと日常の疲れも癒やされることでしょう。

こちら、海に面する丘陵地という地形から年中よく雨が降ります。雨でしっとりと濡れ、霧が立ちこめる 九份もまた乙なもの。傘を片手に訪れてみてはいかがでしょうか。

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