投稿者 : 直子 澄田、投稿日 2016 年 6月23日

惚れ魔術に別れ魔術も!? スリランカの占星術ってどんなもの?

インドの右下にぽつんと浮かぶ島国スリランカ。北海道よりもひとまわり小さな島ですが、サーフィンやダイビングにぴったりのビーチから、ゾウやトラの棲むジャングル、夏でも長袖が手放せない高原地帯まで実に多様な自然が広がります。そしてそのバラエティに富んだ環境の中では、米や野菜はもちろん、香り高いスパイスや多種多様なフルーツ、世界に名を馳せるセイロンティーの茶葉が育まれています。またダイヤモンド以外の全ての宝石が産出されるとも言われ、実はとっても資源豊富な豊かな島なんです。

さて、今回紹介するのは、スリランカの占星術について。スリランカでは、子供が生まれたときに、占い師にお願いして、ホロスコープを作成してもらう習慣があります。このホロスコープには「全ての運命が記されている」とのこと。今回は、私が実際にスリランカで聞いた、スリランカの占星術事情についてご紹介したいと思います。

悲劇!ホロスコープで相性がよくないと結婚できない

はじめに断っておきますが、これは、私がスリランカを訪れた際に実際に聞いた話であり、真実か真実でないか、判断するのは皆さんに委ねたいと思います。「こんな話あり得ない」と思うのも「まじで。私も占ってもらいたい」と思うのもあなたの自由。それではいきますよ。

サラットさん(私が話を聴いたスリランカ人男性)曰く、スリランカでは子供が生まれたときに占星術師にホロスコープを作ってもらうそう。このホロスコープには人生に起きる全てのことが記してあるそうです。例えば、人生の転機、いつ結婚するか、どんな病気になるか・・・・・・などなど。このホロスコープは結婚のときにも非常に重要な役目を果たします。どんなに愛し合っていても、ホロスコープで相性が悪ければ結婚することはできないのです!これがホロスコープが記される手帳。年金手帳みたい。

ホロスコープ手帳

とはいえ、時代の流れか最近では都市部の若者たちはあまりホロスコープを信じなくなったそう。情報豊かなエリート家庭に育ったサラットさんもその1人。ホロスコープをないがしろにしていました。しかし、結婚するときになって、両親からどうしてもホロスコープだけは見てもらえと言われ、しぶしぶ占星術師のところに行くことに。恋人と2人で、それぞれのホロスコープを提示し見てもらったところ、相性は抜群、なんの問題もないということでほっとしました。ところが占星術師は「お嬢さん、健康に重大な問題があります」と言うのです。そのとき彼女はとても健康だったので「とんだペテン師だ」と怒って帰ったのですが、それから数日後、なんと彼女の足が急に立たなくなったのです。これは大変と、改めて占星術師のもとへ駆けつけました。そして占星術師が調合した薬草の薬と、お守りをもらって快復したそうです。それ以来サラットさんも占星術を信じるように。子供が生まれたときも、ホロスコープを作成したそうです。

恋を操る黒魔術もあり!?

運命を占うだけでなく、その力を使った魔術も存在するそうです。人間の心は弱いもの。中には、欲望の闇の部分を専門に扱う黒魔術師もいるとか。

先ほどのサラットさん、結婚生活は順調、仕事にも子供にも恵まれ順風満帆な毎日を送っていたところ、ある日お母さんから衝撃の告白を受けました。
インドほどではないにせよ、スリランカにも身分制度というのがあり、身分違いの恋は敬遠されます。そこで頼られるのが黒魔術。身分が下の人は上の人に対して、自分の恋が実るよう、黒魔術師にお願いすることがあるとか。その際に必要となるのは、惚れさせたいと思う相手の髪の毛。これを持って魔術師のところに行くと、惚れるまじないを掛けてくれるのです。対価に支払うのは、お金はもちろん、大切にしていた長い髪の毛や、金の腕輪など様々。
さて、“惚れさせるまじない”があるということは、“別れさせるまじない”もあります。サラットさんがかけられたのは、後者の方。それもなんと実の母親にかけられたのです。

サラットさんは当時、自分より身分下の女の子と恋をしていました。それに対して芳しくないと判断したお母さんは、サラットさんの髪の毛を持ってこの恋から目覚めるよう、黒魔術師の元に願いに行ったのです。ある朝目覚めたサラットさんの、昨日までの熱い想いはどこへやら。翌日彼女をふってしまったそうです。サラットさんは自分の想いの変化について、ずっと悩んでいたそうですが、後にお母さんにそのことを告白され、謎が解けて安心したそうです。て、安心したのかよ。

ホロスコープと宝石の深い関係

サラットさん以外からも、占星術について体験談を聞きました。スリランカ人ジュエリーデザイナーのMさんも、占星術というものを信じていなかった1人。Mさんは、弟さんを不慮の事故で亡くしてしまいました。哀しみに暮れたMさんは、ある占星術師に弟のホロスコープを持ち込みます。もちろん初めて会った占い師。しばらくホロスコープを見て、悲しそうにかぶりを振り「こんなイタズラはやめてくれ。もう亡くなっているじゃないか」と言ったそうです。ほかにも家族しか知り得ない、弟のケガや病気、いさかいなどもホロスコープを見ながら次々と言い当てて行く先生。Mさんはその体験から占星術と向き合う覚悟を決め、ジュエリーデザイナーになったのです。

スリランカ ジュエリー

ジュエリーデザイナーとは唐突な、とお思いでしょうが、実は占星術と宝石は切っても切り離せない関係にあります。日本でもパワーストーンと言って石になんらかの力があると考えることがありますが、スリランカではそれがもっと強く、ホロスコープでその人が必要としている宝石が割り出されます。Mさんは、ホロスコープを通じて、病気や不運から持ち主を守ってくれる石をコーディネートするという仕事についたのです。

ところで、宝石についてMさんは「生の石じゃなきゃだめよ」と教えてくれました。通常販売されている宝石は、火を通して精製した石。それは既に「死んでいる」石だそうです。生きた石は大地に眠っていたままの石。そういう石は強いパワーを秘めている、と言います。実際に「これが生きたブルーサファイヤよ」と50カラットの石をMさんが私の手にのせてくれた瞬間、全身に電流が走ったような感覚が。石の力なのか暗示にかかったのかは、今となっては分かりませんが、なにかしらの力を感じたのは事実です。

そんなMさんの目下の悩みは「宝石がわがままだ」ということ。机の引き出しの中にしまっておいても、キライなお客さんが来ると、すっと身を隠してしまうそうです。お客さんに見せてあげようとどんなに探しても出てこない。なのにお客さんが帰ったあと、引き出しを開けるとちょこんと元の場所にいるそうです。「困った子たちなのよ」と笑うMさん。逆に、相性の良いお客さんの手に渡ったときは、人も石も本当に幸せそうで嬉しくなるそう。
さてさて、運命の石には出会いたいものの、それが50カラットのブルーサファイヤだった場合・・・ちょっと困っちゃいますよね。

人を癒すこと。それが真の占星術師の使命

かかりつけの医者がいるように、それぞれにかかりつけの占い師がいて、ことあるごとに相談やお祓いに行くのですが、占星術師が本当にお医者さんの役割を兼ねている場合も多いとか。とはいえ、それは我々がイメージする、西洋医学のお医者さんではなく、スリランカの民間療法、アーユルヴェーダのドクターのことです。

占星術の基本は、古い経典を読み解き、その知識を駆使して人々の運命を読むこと。その力は、薬草の知識とそれを絶妙に組み合わせる能力と共通するものがあるそうです。アーユルヴェーダの治療は、主に薬草やスパイスとオイルを合わせた薬を身体に塗ったり、薬草を煎じて飲んだりするのですが、そこに用いる薬草を見極め、組み合わせてその効能を最大限に発揮させる能力は、人々を救うために神様が授けてくれた能力です。真に優れた占星術師は、その能力を自分のためだけには使いません。

例えば、私がお目にかかった占星術の先生は、「治療」や「占い」というものに、料金を明示しておらず、癒しを受けた人の「謝礼」で成り立っていました。裕福な人はそれなりに支払うけれど、お金のない人は本当に気持ちだけ。スリランカの田舎では貧しい人は多いのです。なので先生の生活は質素そのもの。電気も水道もない家に暮らしていました。

占星術の先生

しかし、先生の使命は人を救うことでお金ではないと言い切ります。これが古い経典。今これが読める人はごくわずかだということです。

占星術の古い経典

もちろん中には、お金儲けに目がくらんだ占星術師や、ペテンまがいの占星術師もいるそうなので注意が必要です。

スリランカでホロスコープを作ろう!

さて、ここまで読んでいただいて、あなたもホロスコープを作ってみたくなったのではありませんか?ホロスコープは、スリランカを専門に扱う旅行代理店や、現地のホテル、宝石店、アーユルヴェーダの店などで作ってもらうことができます。必要なのは自分の生年月日と生まれた時間と場所。気になるあの人との相性が占いたければ、相手のものも用意して。これさえあれば、ホロスコープを作ってもらうことができますよ。
実は私も作ってもらったのですが、全てシンハラ語で書かれていたために、残念ながら読み解けなかった。もちろん、日本語翻訳サービスをしてくれるところもあります。

繰り返しになりますが、今回の話は私が見聞きしたこと。それが本当かどうかの判断はお任せいたします。でも、スリランカを旅してあの空気の中にいると、もしかしたら本当かもしれない、と思う瞬間があります。それでは小さな島の、不思議な体験をあなたもぜひどうぞ。

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Cover Photo:Masashi Yoshikawa