シンガポールを代表する朝ごはんといえば「カヤトースト」。「カヤ」とは卵・砂糖・ココナッツミルク・そして東南アジアで料理によく使われるハーブの一種「パンダンリーフ」でつくるマレー半島で昔から食べられてきたペーストの名前で、「カヤトースト」はその名の通り、カヤをサンドしたトーストのこと。

クラシックホテルや5ツ星リゾートから、コーヒーショップや屋台、カヤトースト専門店まであり、シンガポールのいたるところで味わうことができます。カヤ自体も瓶詰めや真空パックになって商品化されています。スーパーマーケットに行けばさまざまなメーカーのカヤが手頃な価格で揃うので、お土産にもぴったり……と思いきや。食べ方がわからずそのまま棚の片隅で死蔵されてしまう可能性も高いとか!これではせっかくのカヤが浮かばれません。どうすればカヤトーストの真髄を再現できるのか。今回は、名人に習ったコツをご紹介します。

老舗カヤトースト店で

まず訪れたのは、1940年代の創業時から変わらぬ昔ながらのカヤトーストを味わえる「ヤ・クン・カヤトースト」です。かつて日本にも進出したことがあるので(現在は撤退)、見かけたことがあるかもしれません。

カヤトースト

ヤ・クン流のカヤトーストは高温の炭火で食パンの両面を焼き色がつくまでしっかり焼き、焼き立てを手早く2枚に切り分けます。次に2枚とも内側にたっぷりカヤを塗り、薄切りの有塩バターを2カ所ずつ置き、内側を合わせるように挟み込みます。添えられているのは黄身がとろとろの温泉卵で、こちらには白コショウをひと振りしてしょう油をひと回し。これを崩しながらカヤトーストをディップして食べるのです。飲みものは「コピ」という、コンデンスミルクが入った甘いコーヒー。この3点が基本セットとなります。

ヤ・クン流のカヤトースト
ヤ・クン流のカヤトースト

いざ食してみると、まったりと重たいカヤとサクサク軽やかな焼き立てパンの食感の対比が心地いい。バターは味わいをリッチにするために欠かせませんが、これだけ食べると正直カロリーが気になります。しょうゆをたらした温泉卵に甘いパンをディップするのは、最初は勇気がいりますが、慣れると不思議とヤミツキに。

ヤ・クン風のカヤトーストのポイントは、パンを両面トーストしてから真ん中を切ることと、有塩バターを使うこと。日本で再現する場合、食パンはもっちり系ではなくサクサク系を選び、8枚切りをさらに2枚にするのは難しいので、6枚切りにしておくと無難です。ちなみにシンガポールのスーパーマーケットでは、熱湯を注ぐだけでできるコピ風のインスタントコーヒーを売っていますので、こちらも合わせて持ち帰るとより本場の気分を演出できます。

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ヤ・クン・カヤトースト(Ya Kun Kaya Toast)
公式サイト(英語):http://yakun.com
シンガポール全土とアジア各国でチェーン展開

まだある!カヤトーストのニュートレンド

さて、シンガポールの定番メニューであるカヤトーストですが、近年ではさまざまなタイプが登場しています。なかでもトレンドの主流は「もちもち&ふわふわの厚切りパン」と「パンダンリーフを入れないカヤ」。その他植物性マーガリンを使うお店もあります。そんななか、伝統的なレシピを守りつつ進化したカヤトーストをつくっているシェフに出会いました。

クワン・クーン・ファさん

中国系シンガポール人のシェフ、クワン・クーン・ファさんのカヤトーストを味わえるのは、観光地の「カンポン・グラム」や「リトルインディア」にほど近いジャラン・ベサール地区に位置する「ホテルバガボンド トリビュートポートフォリオ シンガポール」。築約100年のシンガポールらしい「ショップハウス」という住宅兼ショップをリノベーションした、客室数わずか41室のブティックホテルです。

ホテルバガボンド トリビュートポートフォリオ シンガポール

最先端の感性と研ぎ澄まされた美意識を持つファッショナブルなツーリストをターゲットにしているだけあって、館内はモダンアートミュージアムのような設え。そんなゲストをもてなすために、レストランでもモダンで洗練された料理を提供しようと、クワンさんが抜擢されたとか。クワンさんは、ミシュランで2ツ星に輝きアジアのベストレストラン50で12位にランクインした「レザミ」や、同じく1ツ星で29位に入った「ジャン」などでフランス料理の研鑽を重ねてきました。

カヤトースト

そんなクワンさんが選んだのは、トーストすると香りが立ち、歯触りが心地よい全粒粉入りの薄切りパン。「カヤトーストには薄切りパンが適している」とクワンさんは言いますが、これ、すごく納得です。好みの問題ではありますが、トレンドのもっちりした厚切りパンにぽってりとボリュームのあるカヤを合わせるのは、ちょっと重たすぎるんです。

手づくりカヤの材料

クワンさん自身が手づくりしているというカヤは、現代の好みに合わせて砂糖は控えめ。なめらかなテクスチャーを実現するため、直接火にかけず湯せんをして、時間をかけてじっくり加熱します。アジアらしいフレーバーに欠かせないのはフレッシュなパンダンリーフ。ココナッツミルクは、通年で安定した品質のものを手に入れられるように、選び抜いたメーカーのものを使っているそう。そして欠かせないのが、フランス産の無塩発酵バター。リッチで洗練された味に仕上げるには、フランスバターが最適とか。

カヤトースト

サイドの温泉卵にはコショウもしょう油もなし。濃厚なカヤと黄身のハーモニーをシンプルに味わうのです。こうなると合わせるドリンクも変わり、コピではなくアールグレイの紅茶がクワンさんのチョイスでした。

レストランでは鮮度抜群の色鮮やかなカヤを使っていますが、日本ではパンダンリーフを入手しづらいので、いちからカヤをつくるのは難しい。そこでお土産用に買ったスーパーのカヤに、とっておきの「ボルディエ」の発酵バターといただきものの「365日」のパンを合わせてみたら、カヤトーストがエキゾチックなおもてなしスイーツにクラスアップされた感じ。

これでもうせっかく連れ帰ったカヤがお蔵入りすることはないはず。お土産にカヤを渡すなら、ぜひお相手に食べ方を伝授するか、このページをシェアしてくださいね。

ホテルバガボンド トリビュートポートフォリオ シンガポール(HOTEL VAGABOND TRIBUTE PORTFOLIO SINGAPORE)
住所:39 Syed Alwi Road, Singapore, 207630
電話:65 6291 6677

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協力:シンガポール政府観光局