投稿者 : 古谷 未来、投稿日 2019 年 8月14日

カラフルに浸る! 多文化都市クアラルンプール体験

マレーシアの首都クアラルンプール。高層ビルが立ち並ぶ発展目覚ましいアジアの大都市というイメージが強いこの街で、はて観光は何をメインにすれば?と思われる方もいるはず。そこでおすすめなのが色をテーマに巡る旅です。マレーシアはマレー系、中華系、インド系をはじめとする多くの民族がともに暮らす多文化社会。クアラルンプールの街もそれを反映するかのように、さまざまな色があふれています。今回はクアラルンプールとその周辺の町で、印象的な色に彩られたスポットを巡ります。いざ、フォトジェニックシティ・クアラルンプールへ!

金色の像の迫力!272段を登るバトゥ洞窟

シティといいつつ、のっけから郊外ですみません。クアラルンプールから北へ13㎞ほどの場所に位置するバトゥ洞窟は、ヒンドゥー教徒の聖地。19世紀末にインド系の有力者がここに寺院を建立したことが始まりといわれ、洞窟内に造られた寺院と巨大な金色のムルガン像が有名です。信徒以外でも無料で見学でき、観光客も大勢訪れます。

到着するとまず目に入る金色の像。岩山を背にドーンと立っていて迫力満点。その横に見えるのは272段の石段です。そう、洞窟寺院を見るためにはこの石段を上っていかなくてはいけないんです…。バトゥ洞窟は人慣れした猿が生息しているので、時折彼らと戯れながら休み休み足を運びましょう。

洞窟内は想像以上に広く、そこここに鍾乳洞が下がっています。さらに天井部分の穴から光が差し込み、なんとも神秘的な雰囲気が広がります。色鮮やかな祭壇と洞窟の自然美のバランスが絶妙で、信徒でなくとも荘厳さについ無言になってしまいます。

麓の石段の入り口付近は売店やレストランが並んでいます。さすがインド系のレストランが充実。そのうちの一軒でカレー定食を食べたのですが、かなりおいしかったです。

市内からバトゥ洞窟へは電車が便利。最寄りは、KLセントラル駅から近隣都市へ伸びるKTMコミューターで30分のバトゥ・ケーブス駅。始終点の駅なので行きも帰りもただ電車に乗っていれば着き、非常に楽です。

バトゥ洞窟/Batu Caves
時間:7:00~21:00
休み: 無休

銀色のツインタワーはクアラルンプールのランドマーク

1998年に誕生したペトロナス・ツイン・タワーはまったく同じデザインの2棟が並んで立つツインタワー。88階建て452mは、 2連のツインタワーとしては世界最高の高さを誇ります。


Photo by Tourism Malaysia

波打つように細かく角度をつけた壁面とモスクをイメージしたという上部の尖塔のようなデザインが非常に特徴的で、高層ビルが立ち並ぶ中でも目立ちます。とくに夜になってライトアップされると、細かい紋様のように光が浮かび上がってシルバーに輝き、圧巻の美しさ。

タワーの地下、1階部分は日本のデパート伊勢丹や大型スーパー、書店、ブティックなどが入店する複合施設スリア・クアラ・ルンプール・シティ・センター (Suria KLCC)。店舗数もかなり多いので、バラマキ土産からちょっと高級なものまで、おみやげ探しはここで対応できそう。

2階から上は企業が入居するオフィスビルになっています。ふたつのビルをつなぐ連絡通路のスカイブリッジと86階にあるオブザベーション・デッキという展望スペースは一般開放されているのですが、入場料がRM85(約2400円)といささか高い。それにペトロナス・ツイン・タワーのよさはそのデザインなので、中に入ってしまうと全体像が見えなくなってしまいます。街のあちこちで「あ、ペトロナス見えた」というほうが楽しく、個人的には外から堪能するだけでも十分ではないかと思いました。

ペトロナス・ツイン・タワー/Petronas Twin Tower
時間: 9:00~21:00(最終入場20:30、金曜13:00〜14:00はクローズ)
休み: 無休
URL: http://www.petronastwintowers.com.my/en

ピンクに染まるモスクを見に新都市プトラジャヤへ。

マレーシアはイスラム教徒が多数を占め、各地にモスクがありますが、とくにクアラルンプール周辺にあるふたつのモスクは、そのフォトジェニックさで広く知られています。ひとつは外観、内観ともにピンク一色のプトラ・モスク、通称ピンクモスク。クアラルンプールの中心地から南へ約25kmのプトラジャヤという都市にあります。


Photo by Tourism Malaysia

プトラジャヤは裁判所、首相官邸、その他政府機関など首都機能を集中させた計画都市。街の中にはなんと人工の湖まであるんです。計画都市といっても、画一的な感じではなく自然と調和した美しい都市デザインで、ひとつひとつの建物の建築も見事。ここまで日中暑くなければ、こんな場所で働きたい…。


Photo by Tourism Malaysia

さてピンクモスクですが、見学エリア内であれば自由に入って回ることができます。女性はヒジャブと呼ばれる全身を覆うケープをレンタルして着用し、男性は短パンでなければそのまま見学可能です。ピンクモスクの場合は入り口横にカウンターがあるので、ここでヒジャブを借ります。入場、ヒジャブレンタルいずれも無料。

礼拝堂の前の広場ではモスクを背にピンクのヒジャブ姿で自撮り姿をする人が多数。ただ調子に乗ってヒジャブをはだけたり、別のお祈りのポーズをしたりするとしっかり注意されていました。信徒にとって大切な祈りの場、マナーを守って見学したいものです。

外壁は少しくすんだテラコッタ色の入ったローズピンク。彩色したのではなく、天然の花崗岩の色を活かしているのだそう。モスクがキュートながら落ち着きも感じられるのは、自然の色だからなのでしょうか。

内部に入ると、柱も絨毯も一面ピンクですが、よく見ると少しずつトーンの違う色のグラデーションになっています。

天井部分のドームには繊細な幾何学模様がびっしりと描かれています。色味はブルーの入ったローズピンク。ピンクモスクといわれていますが、実際には外観、内観含めローズモスクが近いのではないかという印象です。

市内からピンクモスクへ向かうには、直接車か、KLセントラル駅からクアラルンプール国際空港を結ぶ空港鉄道KLIA トランジットを利用しプトラジャヤ駅まで行くのが一般的。KLセントラルから約20分、プトラジャヤ駅で降りた後さらに車で10分ほど走ると到着します。

プトラ・モスク/Masjid Putra
時間:土曜~木曜 9:00-12:30、14:00-16:00、17:30-18:00、金曜 15:00-16:00、17:30-18:00

青のグラデーションにため息。幻想的なブルーモスク

ピンクモスクと並び有名なのがブルーモスクの通称で知られるスルタン・サラフディン・アブドゥル・アジズ・シャー・モスク。クアラルンプールの中心から南西30kmのシャー・アラムという街にあります。

1988年に完成したブルーモスクは世界でも4番目の規模を持つモスクで、とにかく大きい。白い建物にドーム状の屋根や尖塔の先のブルーのコントラストが鮮やかです

白い回廊も息を飲む美しさ。細かな文様が彫られた窓から日の光が差し込むと、回廊内に影絵状に映り込みます。

ブルーモスクは個人では見学できず、ガイド同行が必須です。モスクに到着したら、ビジターセンターに行き見学したいと申し出ましょう。女性にはヒジャブが貸し出され、男性は短パンでなければそのまま見学できるのはここも同様。ここからガイドに案内してもらってモスクを巡ります。見学、ガイドともに無料ですが、寄付箱が置かれているので、感謝の気持ち程度を入れてもいいかも。日本語可能なガイドもいるそうですが、私が行った日は英語可能なマレーシア人ガイドでした。聞いたところ、ガイドはみなボランティア。私を担当してくれたガイドは、定年退職後に週3日通っているとのことでした。彼は各所を案内しながら、それぞれの場所の意味やイスラムの教えや慣習について本当に熱心に説明してくれたのですが、いかんせんプアーすぎる当方の英語力。若干クセのある彼の発音に気を取られ、話の三分の一でも理解できたか怪しいのが残念です。

しかし言葉はわからずとも、光の角度まで計算されつくした完成された美しさは見てわかりました。そして文様の数学的な美にも圧倒されました。女性専用の祈りの場所となっている2階部分では青のグラデーションを堪能できます。

ステンドグラスを通して光が差し込むとため息がもれるほど幻想的。青という色には何か特別な力があると思わずにはいられません。写真を撮ってもよい場所は都度ガイドが教えてくれます。

最後にもう一度外観を眺めます。ちょうど日没近い時間に外に出たので、夕景のブルーモスクも拝むことができました。南国の強い日差しの中で見るブルーモスクも鮮烈で美しいですが、様々な色が入り混じるマジックアワーの空に佇むブルーモスクも魅力的。モスク正面に座って余韻をひとしきり味わいました。が、このあと夜の礼拝の時間が近づき、人々がやってきてモスク周辺はあっという間に大変な混雑に!後述するグラブのドライバーと待ち合わせるのに一苦労でした。

ブルーモスクまでのアクセスは、公共交通ならば電車とバスの2種類があります。KLセントラルからKTMコミューターで約30分のシャー・アラム駅まで行き、そこから車で10分。あるいはクアラルンプール中心地から出ているバスもあり約1時間で着きます。ただバスの時間がわかりづらいのと、シャー・アラムはそれほど観光的な見どころがあるわけではないので、もしモスクだけが目当てならば、市内から直接車で行くことをおすすめします。

スルタン・サラフディン・アブドゥル・アジズ・モスク/Masjid Sultan Salahuddin Abdul Aziz
時間:月ー木10:00-12:00 14:00-16:00、土日祝10:00-12:00 14:00-16:00 17:00-18:30
※金曜日は礼拝のため見学不可
http://www.mssaas.gov.my/

赤いランタンが並ぶ天后宮参りで運勢上向き。

南国の街には、赤がよく映えます。KLセントラル駅から車で10分ほどの丘の上に立つに天后宮を彩るのは、赤いランタンです。天后宮はマレーシア最大の中国寺院で、中華系の建築によく見られる赤、黄色、緑、青の極彩色の装飾で彩られていますが、印象的なのはやはり赤。

建物はもちろん、庭も赤いんです。

天后宮というのは中華圏ではよく聞く名前。漁師たちの安全を願って、海の神様を祀ることが多いです。この天后宮も元は別の場所で、同様の神様を祀っており、1989年に現在の場所に移されました。

旧正月以外は地元の信徒のみで静かだった天后宮ですが、縁結びの神様月下老人を祀る隠れたパワースポットとして、またランタンのフォトジェニックさが話題となり、最近は観光客が増えているそう。丘の上に立ち、見晴らしもよいので、ぜひ天気のよい日に訪れて。

広々とした敷地内には、謎の人形動物(想像上の動物含む)園もあります。動物たちのサイズ感がすべて微妙に大きすぎたり小さすぎたりするアンバランスさに注目です。

ところで、じつはクアラルンプールにもう一軒天后宮があるんです。私は最初、間違えてもう一方の天后宮に行ってしまったのですが、降り立ったそこは近隣の中華系住民が交代でお供えものをしているであろう極小の廟みたいなところでした。せっかくなので一応お参りしてきましたが、時間が限られている旅先でこうしたミスは手痛いです。間違える人もあまりいないかと思いますが、クアラルンプールで行くべき天后宮は、KLセントラルの近くにあるほうですよ。プドゥ(PUDU)エリアにある廟ではありません!念のため。地図検索をする際は「Thean Hou Temple」の英語名を入力すると正しいほうがヒットします。

天后宮/Thean Hou Temple
時間:8:00-22:00
休み:無休
URL:http://www.hainannet.com.my

クアラルンプール誕生の地で青のライトアップ

クアラルンプールはマレー語で「泥の河が交わるところ」を意味します。この名の由来となっているクラン川とゴンパック川の合流地点に立つ、まさにクアラルンプール発祥の地ともいえるのがマスジッド・ジャメ。市内最古のイスラム寺院であり、近くのムルデカ・スクエア(独立広場)と並び、歴史を感じられる観光スポットです。そんなマスジッド・ジャメ周辺、近年クラン川とゴンパック川の浄化プロジェクトが進み、その一環で周辺が整備されライトアップがされるようになり、夜も大注目なんです。

ちょうど合流地点の部分に、クアラルンプールの文字のネオンサインがつき、前の噴水ではショーが行われます。

川沿いが青くライトアップされるとともに、ミストが一帯に吹き上がります。ミストの冷却効果で涼しくなり、一面がじんわりと青に染められる様子が演劇の演出のようで面白かったです。位置によりKLタワーとペトロナス・ツインタワーが両方見えるポイントも。この写真では右にKLタワーが見えますね。

ミストが出てくる時間帯、噴水ショーの時間については、公式に発表されているものがないのですが、日没直後はミストはまだ出ておらず、20時以降は出ていました。

GRABを使ってらくらく移動

今回クアラルンプール市内や郊外への移動は、配車サービスの「グラブ(Grab)」を利用しました。東南アジア一帯で普及しており、専用アプリをダウンロードし、現在地と目的地を入力(Googleマップから指定できます)すると登録ドライバーとマッチングされるというシステム。マッチング時点で金額が確定され、登録しておけばクレジットカード決済も可能です。

一般タクシーよりかなり割安なのはもちろんのこと、定額制で値段交渉が不要というのが最大のメリット。言葉の通じない観光客には非常に使いやすかったです。もちろん流しのタクシーを探して三千里という手間もありません。東南アジアの旅ではもうグラブ一択でいいんじゃないか。


Photo by Wirul Kengthankan/123RF

ドライバーは兼業でやっている人が多いよう。私が乗った車のドライバーも「平日昼だけやってるの」という主婦の人や夕方仕事が終わった後だけというサラリーマンなどでした。週末にドライバーをしているという中国系の若者は「どの時間帯にどういう需要がありそうか考えてエリアを決め、毎週違うエリアに行ってるんだ。将来起業するつもりなんだけど、どのへんが発展しそうかリサーチにもなるしね」とすごすぎる回答を。伸び盛りの国ってこういう感じなのかもなあと、窓の外に流れる大型アパート群が立ち並ぶクアラルンプール郊外の風景を見ながら思いました。というわけで思いっきり話題がそれましたが、グラブおすすめです。

利用する際に注意したいのは現在地の指定。モスクやショッピングセンターなどの大型施設や観光名所は、出入り口が複数あり、車も人も多いのでお互い見つけにくいんです。あまりに見つからないと、ドライバーからキャンセルされてしまうことも。あえて今いる大型施設をはずし、近場の「~の前のスタバ」「~駅の横にあるコンビニ」など、グーグルマップに確実に出てくる、かつそこにしかない小さな建物や具体的な店舗を指定すると、ピックアップがスムーズです。

グラブ/Grab
https://www.grab.com/my/download/

日本からLCC路線も発着し、思ったよりも気軽に遊びに行けるクアラルンプール。クアラルンプールの街自体それほど規模も大きくないですし、KTMコミューターやグラブをうまく利用すれば、近隣エリアを含めて効率的に巡ることが可能です。実際私は上記でご紹介したスポットを2日で回りました。暑すぎる日中はカフェに避難し、観光は早朝と夕方にまとめるのがおすすめ。それではフォトジェニックシティ・クアラルンプール(とその郊外)の旅を楽しんでくださいね。

[button style=’orange’ url=’https://www.expedia.co.jp/Kuala-Lumpur-Hotels.d180008.Travel-Guide-Hotels’ icon=’entypo-home’ fullwidth=’true’]クアラルンプールのホテルを探す[/button[button style=’orange’ url=’https://www.expedia.co.jp/Cheap-Flights-To-Kuala-Lumpur.d180008.Travel-Guide-Flights’ icon=’entypo-flight’ fullwidth=’true’]クアラルンプールへの航空券を探す[/button][button style=’orange’ url=’https://www.expedia.co.jp/Kuala-Lumpur.d180008.Travel’ icon=’entypo-info-circled’ fullwidth=’true’]クアラルンプール旅行・ツアーを検索[/button]