カラフルに浸る! 多文化都市クアラルンプール体験

近隣のタイやベトナムと比べて、いまいちピンとこないのがマレーシアのグルメ。日本に専門店が少ないせいでしょうか、「東南アジアの国だから全体的に辛そう」などと、ぼんやりとしたイメージしか湧かない人も多いことでしょう。そこで、日本ではあまり知られていないマレーシアのごはんについて、ちょこっとご紹介します。
厳密に言うと、「マレーシア料理」という単一ジャンルは存在しません。というのも、マレーシアはマレー系、中国系、インド系に大別される多民族国家だから。宗教や慣習が民族によって異なるように、食文化もそれぞれの伝統と味を守っています。さらに「プラナカン」という、大陸から渡ってきた中国人と地元マレー人との婚姻で生まれた子孫が受け継いだ味(ニョニャ料理)があります。これら4つを総じて「マレーシア料理」と呼んでおり、多様な民族構成の賜物なのです。
中国系とインド系の食文化と比べると、なんとなくマレー料理の印象の弱さが否めないかもしれません。が、民族の中で最も多くを占めるマレー系の料理は、マレーシアに行ったらぜひともトライしたいもの。インドネシアやシンガポールの料理にも似た、どこか懐かしさを感じる味は日本人の舌に比較的合いやすいといえるでしょう。
マレー料理の特徴は唐辛子、レモングラス、こぶみかんの葉、タマリンドなどたっぷりのハーブ&スパイスと、ココナッツミルクを使うこと。スパイシーさの中にもマイルドな味わいが楽しめます。また、マレー系の人々は主にイスラム教徒なので、豚肉やアルコールを一切使用していません。それ以外の肉も宗教上許可が下りた「ハラル肉」を使用しています。
辛さの決め手となるのは「サンバル」と呼ばれるペースト。チリ、にんにく、タマネギにエビの発酵品などを合わせて炒めたもので、料理の付け合わせにも登場します。辛いのが好きな人は、サンバルの量を自分で微調整して食べるのがおすすめです(くれぐれも大量を一度に入れないように!)。
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東南アジアではよくある、小ぶりな串焼きがサテ。にんにくやターメリックなどで下味をつけた鶏や羊、牛肉をじっくり炭火で焼いたものです。そのままでもおいしいですが、こっくりとしたピーナッツソースをたっぷりからめて食べるのがマレーシア流。屋台街に行ったら「とりあえずサテ!」と注文したくなる、王道の一品料理です。
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マレーシアの麺料理の代表格といえばラクサ。カレーベースにココナッツミルクを加えた濃厚スープが基本の汁麺ですが、ご当地によって麺の種類や味付けが変わるのがおもしろいところです。ココナッツミルクを使わず、魚介とタマリンドをきかせたペナン発祥の「アッサムラクサ」は特に強烈。酸味が強いので最初の一口にビックリしますが、一度慣れるとヤミツキになります。
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マレーシアの朝ごはんはココナッツミルクで炊いたご飯、ナシ・レマで始まります。ゆで卵ときゅうり、揚げた小魚、ローストしたピーナッツを添えて提供されるのが主流で、ここに辛味をプラスするサンバルをお好みで混ぜていきます。店によってはフライドチキンやカレーが添えられた豪華版もあるので、毎朝ナシ・レマを食べても飽きないかも!?
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