近年発展目覚ましい遺伝子研究。それは着実に私たちに身近な存在となってきており、自宅に居ながらにして自分の体質や疾病リスクを簡単な検査で知ることができるようになりました。これを読んでいる方のなかには「自分の太りやすい傾向」を調べたこともあるのでは?

そんな遺伝子検査のひとつに、自分の祖先のルーツを探る「Haplo」という検査キットがあります。このキットを使えば、自分がどういうルートで世界を移動し、日本に渡ってきたか分かるというのです。なんてロマンあふれる話でしょう。今回は実際にその遺伝子検査を受け、その結果をもとに自分のルーツを探す旅に出ることにしました。

頬の内側をこするだけで自分のルーツが判明!

今回利用したのは、日本で遺伝子検査キットシェアナンバーワンという、ジーンライフが販売している「Haplo」。
ジーンライフによると、日本人の95%のルーツは主に9つのグループに分類され、簡単な検査で自分がどのグループに属するかが分かれ、簡単な検査で、自分がどのグループに属するか分かるということ。

Haplo Group【B】太平洋を渡った最初の移住民。日本人の15%
Haplo Group【D】東アジア最大集団 日本人の35%
Haplo Group【M7】幻の陸地スンダランドの末裔…?日本人の18%
Haplo Group【G】氷河期を超えた北方民 日本人の7~10%
Haplo Group【A】マンモスハンターと呼ばれた 狩猟民 日本人の7%
Haplo Group【F】東南アジアの冒険者 日本人の5%
Haplo Group【M9】険しき道を超えた山の民 日本人の3%
Haplo Group【M8】北方漢民族の系譜 日本人の3%
Haplo Group【N9】アイヌの祖、中国起源渡来人日本人の7%
Haplo Group【?】日本人少数派 上記に分類されない稀な祖先

なんとも魅力的なキャッチがついていますね。これは気になります。
これがそのキット。値段は9,800円(税込)です。

Haplo

ボックスをあけると細胞の採取キットが入っています。

Haplo

スティックの中に綿棒のようなものが入っていて、これを頬の内側にこすりつけ細胞を採取して、返送用封筒にいれて送り返します。すると10日ほどで結果通知メールが届きます。さあ、私のルーツは…

Haplo Group【F】、日本人の5%に相当する「東南アジアの冒険者」でした。

このグループは、元来熱を作る能力が低く、寒いのが苦手だそう。だから亜熱帯気候からあまり移動せず、現在は東南アジアと大陸中央部に多く分布しているそうです。私の祖先はその寒さに果敢に立ち向かい、北上を決意した頑張り屋さんだったんですね。祖先、偉い!

結果には、私の祖先がどのようなルートで日本に辿りついたのかマップもあります。下記が主な地域でした。

・廬山(中国)
・九份(台湾)
・パフュームパゴダ(ベトナム)
・バイヨン寺院(カンボジア)
・アンコールワット(カンボジア)

大体聴いたことがあるところですが、廬山だけは初耳です。が、今回はルーツを探る旅。それもいいではありませんか。早速、まずは最北にある廬山へと向かいました。

まずは上海へ。トランジットで南昌到着。さらにバスで九江へ

GoogleMapで調べてみると、廬山は中国江西省九江南部にある山の名前だそうです。峰々が織り成す美しい景観は古来より有名で、廬山風景区として世界遺産に指定されているそう。これは期待できそうですね。ですが、日本ではほぼ情報は手に入らず、知り合いに廬山に行くと言ってみても「紫龍?」とか「廬山昇龍覇?」などという返事が返ってくるばかり。「地球の歩き方 中国」にかろうじて数ページ紹介されていたので、それだけが頼みの綱です。

廬山の最寄りは「九江空港」なのですが、国内線は少ないようなので、100kmほど南にある南昌空港に入ることにします。まずは上海へ飛び、トランジットで南昌へ。

南昌に着いたのは18時20分。時は1月下旬、あたりはすっかり暗くなっています。ここから九江への直通バスが出ているという情報だけはキャッチしていました。

1階にあるカスタマーサービスで訊いてみます。

南昌1階にあるカスタマーサービス

英語は通じませんが、メモに「九江」と書くと、「19:30」「64元」「出口7」と書いてくれました。64元=約1100円。バスの乗車料金はここで払います。
言われた通り、出口7を出て、

出口7

バス停の看板を見ると、九江と書いてあります。

バス停の看板

しばらく待っているとバスがやってきました。

バスがやってきました

フロントガラスにも手書きの「九江」という紙が貼ってあるから間違いないでしょう。

「九江」

19時45分。運転手がやってくる気配はありませんが、7人程度がおとなしく待っているので、若干不安になりつつも待ちます。

19時50分になって運転手が煙草を吸いながらやってきました。そして乗車券を一瞥し、乗れ、と言います。荷物を預けたい人は、バスのお腹あたりの荷物入れの開閉スイッチを探し扉を開けて自分で積み込みます。
実際にバスに乗ってみると、意外と快適。フットレストもあるし、2つのうち1つは壊れていますがUSB電源もあります。これは東京〜上海〜南昌と乗り継いできた「中国国際航空」より快適かも。

バスは快調に飛ばし、1時間20分ほどで九江のバスターミナルに到着。この日は真っ暗で写真が撮れなかったのですが、明るいときに見るとこんな感じ。この裏手に到着します。

九江のバスターミナル

さて、到着したものの、辺りにタクシーの姿はありません。予約していたホテルはここから車で10分ほどの湖畔沿い。途方に暮れていると、一台の車から顔を出したおじさんが声をかけてきます。どうやら乗っていけと。車を見ると同じバスで九江に到着した女の子が2人乗っています。乗合タクシーですね。ちょっと迷いましたが、夜の町を彷徨うのも危険だし、女子2人が乗っているのでまあ大丈夫でしょう。ホテルまで20元(約350円)。無事送り届けてくれはしたのですが、丘の上にあるホテルの坂の下で下ろされました。

この日泊まったホテルはエクスペディアで予約したここ。
https://www.expedia.co.jp/Jiujiang-Hotels-Jiujiang-SN-International-Hotel.h19429348.Hotel-Information

湖畔にあるリゾートホテルっぽい感じですが、なにぶん地方なのでフロントでも英語は通じにくいです。腹ぺこだったので食事を取りたかったのですが、ホテルのレストランは21時でおしまい。立派な制服を着た英語の喋れるコンシェルジュを捕まえ、レストランを訊ねると、様々なレストランに電話してくれますがすべてクローズ。今夜は食事抜きか…、と諦めたところ、最後に「我々のルームサービスはどうか?」と。最初に言えよ。24時間のルームサービスがあり、意志の疎通がうまくいかず麺が2皿になってしまいましたが、無事夕食にありつくことができました。

夕食

朝一のバスでいよいよ私のルーツ、廬山へ

廬山へはツアーがいくつか出ており、ガイドさんが自然や歴史について詳しく解説してくれるのでより造詣が深まるそうですが、正直言ってそう歴史に興味があるわけでもないし、なにより中国語がさっぱりなので自力で行くことにします。

まずは昨日到着したバスターミナルへ。ホテルからバスターミナルは10元(約170円)。昨日のタクシーの半額ですね。

こちらがバスターミナルのチケットオフィス。

廬山へバスターミナルのチケットオフィス

廬山へ向かう7時50分のバスが取れました。16.5元(約280円)。
次にスーツケースをロッカーに預けます。意外にハイテクで、荷物を入れたあと、タッチパネルで暗唱番号を入力し、さらに顔写真で認証されるという厳重なセキュリティー。

ロッカー

すると案内係の女性が飛んできて、使ってはだめだと言います。言葉が分からないので理由が分からないのですが、こちらも荷物を預けないと困るので「いやだ荷物を入れたい。なぜダメなんだ」と7回くらい言うとなぜだかOKになりました。その上、お姉さんは列をかき分け、バスへ優先的に案内してくれるという親切ぶり。赤い人が案内係のお姉さんです。

赤い人が案内係のお姉さんです。

理由はさっぱり不明ですが、なぜか一番乗りで乗車。荷物を預けてはいけないなにか深い理由があったのかもしれないので、ケンカ越しに強く言ってしまったことを少し後悔しながらも、言ったもん勝ちだなということを実感します。

バスはほぼ満席で出発

バスはほぼ満席で出発。家族連れから登山装備に身を包んだ人まで様々な人が乗っています。ちなみに朝の気温はマイナス4℃。個人的にはルーツを探しに行くという使命がなければとても山へ行楽に行く気分にはならないと思いますが、ミカンを食べたり、スマホで自撮りしたり、皆楽しそうです。

ちなみに乗車表には席番号が書いてありますが、みんな関係なく座っているのでお好みの席に座ってください。
1時間ほどで廬山地区のゲートに到着します。ここで入場料を払います。1人180元(約3100円)。結構な値段に驚きます。

入場料を払います

チケットを買ったらさらにバスに乗って山を上っていきます。途中路面が凍結していたり、凍った木々がバスを攻撃してきたり、かなりの秘境感。

到着間際、バスにガイドさんが乗り込んできて、廬山の観光の仕方を教えてくれます。その後1人ずつに観光プランの相談に乗ってくれるのですが、中国語が話せない私のカウンセリングはなし。英語は全く通じません。

バスターミナルに到着すると、みなそれぞれに目的地があるようで散り散りに。寒い空間にひとり取り残されます。とりあえず観光案内所のようなところに行ってみると、係の人は、英語は話せませんが、「通常は、専用バスに乗って園内を巡る。まずは通りを少し下ったチケットオフィスに行け」というような内容を翻訳アプリを駆使して教えてくれます。

ここがチケットオフィス。

チケットオフィス。

バス乗り放題券80元(約1400円)。これもかなりの値段ですね。寒いし、お腹が空いたし「本当に楽しいんだろうなっ」とだんだん苛立ってきてしまいます。

バス乗り放題券

バスチケットの中にICチップが入っていて、他人に貸し借りでないように最初に乗車するときは、指紋も登録します。以降、バスにのるときは、このカードと指紋をかざします。

バスチケットの中にICチップが入っていて

バスチケットを購入したところでバスが来ました。行く当てもないので、みんなが乗るバスに一緒に乗り込み、みんなが降りる場所で降り、みんなの後を付いていきます。

到着したのはルックアウト

到着したのはルックアウト。あれーーー。

特に絶景じゃない

特に絶景じゃない…。

ですが地元の皆さんはきゃあきゃあ言っているので、ここが目的地なのでしょう。
展望台の脇の階段を降りるとロープウェイがあります。

展望台

往復50元(約850円)。ディズニーランド並みにお金の飛んでいくところです。

ディズニーランド的な存在

きっと地元の人にとってはディズニーランド的な存在のところなのかもしれません。ばっきばきに壊れたロープウェイの窓の隙間から外を覗くと、驚くべき光景が。山肌に人がいる?

山肌に人がいる

信じられない。垂直に切り立った壁を人が降りていきます。

人が降りていきます

対岸について見てみると、どうやら私が目にした崖は、滝へ向かう散策路らしい。普通の階段もありますが、希望者は、ロッククライミングができるようです。ですが、70元(約1200円)かかるらしく、さすがに気分が萎えてやめてしまいました。この先に行けば廬山の大瀑布、廬山昇龍覇の滝が見られたかもしれません。

滝へ向かう散策路らしい

バス路線には北行きと南行きがあり、最初は北行きに乗りました。正直もう帰りたい気分でしたが、せっかくここまで来たので南周りにも行ってみましょう。

仙人洞

円い入り口をくぐり、遊歩道を歩くこと10分。

仙人洞

岩にぽっかり空いた洞窟にお堂があります。

仙人洞

花径というバス停で降りると湖があり、遊歩道が整備されています。おそらく花の季節はきれいなのでしょう。

湖

中心部の路地裏はこんな感じ。ちょっとノスタルジックな雰囲気ですね。ちなみにATMはいっぱいあるので、思わぬ出費で現金がなくなっても大丈夫です。あと、地元のレストランもありますが、ケンタッキーもあるので、ローカルフードがだめな人も安心です。

中心部の路地裏はこんな感じ

園内を移動するバスですが、バス停にバスがいない場合、中にいるスタッフに行き先を告げると無線で呼んでくれます。オフシーズンはオンデマンド状態ですが、夏場は行列になるそうです。

廬山エリア一帯

廬山エリア一帯は、夏は避暑地として賑わい、地元の人はピクニック気分で訪れるようです。また、廬山は古くは司馬遷が「史記」に書き、李白、白居易などの偉大な詩人が詩に詠み、中国の山水画の発祥の地となった、中国の山水文化の歴史が集約された土地。その後、蒋介石や毛沢東がここで重要な政治的決断をした土地でもあります。ゆえに廬山は中国の人々にとって大切な場所。ここは文化遺産なのです。絶景、絶景と騒いでいた自分を少し反省します。

バスと電車を乗り継いで、南昌へ戻る

一通り見たことですし、九江に戻りましょう。バスターミナルに戻るとこのような小屋があります。チケットを買おうとこの小屋を覗くと、煙草の煙る小さな部屋で運転手さんたち4人がカードゲーム中。私の足元に灰を落としながら今ゲーム中だからとチケットの販売を断られますが「チケット、チケット」と7回くらい言っていたら売ってくれました。中国では7回くらい言うのが決まりのようです。帰りはなぜか行きより安く15元(約255円)。

バスと電車を乗り継いで、南昌へ戻る

九江のバスターミナルに到着し、荷物を受け取ります。料金は預けた時間によって値段が加算される後払い。顔認証で何度かエラーがでましたが、なんとかオープン。5元(約85円)。

九江のバスターミナル

九江から南昌へは鉄道に乗ってみます。バスターミナルと鉄道の駅は1km程度離れていて、66番のバスが2元(約35円)で結んでいます。
こちらが鉄道の駅。中国らしくどーんとした感じがいいですね。

九江から南昌へ

チケットオフィスは駅の端っこにありかなり遠いです。また、購入にパスポートが必要。中国語がわからないと大きなため息をつかれたり、悪態をつかれたりと、ものすごく不機嫌そうな態度をされますが、こちらも負けずに不機嫌そうにするのがポイントです。

九江から南昌へ

発券に手間取っているうちに、予定の電車に間に合わない時間に。「次の電車に変えて」とお願いすると「できない」と言われるので、大声で「次の電車にして!!」と叫ぶと、ものすごく嫌そうに次のチケットを発券してくれます。いちいち怒らなくては物事が進まないところは、温厚な民には疲れるところですが、わずか2日目で結構そのシステムに同化してきているところに、初めて私のルーツを感じたりします。

駅の待合室はこんな感じ。電光掲示板に電車が表示されるのでわかりやすいですね。水やパンなどを売るキオスクがあります。
駅の待合室はこんな感じ

チケットに座席番号が記してありますが、相変わらず誰もその席に座っていないので、好きな席に座りましょう。

チケットに座席番号が記してありますが

九江から南昌西の運賃は23.5元(約4000円)。いかに廬山エリアが高いかわかります。そして、空港バスより電車が圧倒的に安い!

九江から南昌までは平原が続き、所々に高層ビル群があります。高さ30~50 階程度のビルがそれぞれ30〜50棟、それが何ヵ所もあるのですが、どれもほぼ無人。今後、市内の人々がここに移住してくるのでしょうか。

九江から南昌までは平原が続き

南昌には、南昌駅と、特急用に新しく造られた南昌西駅があり、南昌西駅は街中までかなり遠いので注意。この日予約していたホテルまでタクシーで50元(約845円)かかりました。

南昌のホテルはエクスペディアで予約した「スイス グランド南昌」。
https://www.expedia.co.jp/Nanchang-Hotels-Swiss-Grand-Nanchang.h8345810.Hotel-Information

客室は予想外の52階。快適な温度に保たれた英語が通じる高級ホテルで、ビューバスのアヒルちゃんに癒されました。

南昌のホテルはエクスペディアで予約した「スイス グランド南昌」。

ホテル内にもレストランがあり、地元の人々も会食や特別な日のディナーに利用するようですが、近隣にもローカルなレストランがいっぱいあるので便利です。

ホテルから南昌空港まではタクシーで100元(約1700円)。空港は巨大で新しく、レストラン、おみやげ店(特にチベットとディズニー関連が多い)、マッサージ店などがあります。

ホテルから南昌空港まではタクシー

そんな感じのルーツを探る廬山の旅。途中からただの修行のようになってしまいましたが、こんなきっかけでもない限りここに来なかったし、良かった良かった! まずは1つクリア!

中国でスマホを使いたい方は事前にSIMを日本で購入

ちなみに、中国でSIMカードを購入するつもりの方は、日本でSIMを購入しておきましょう。なぜなら中国では、Google検索、Line、Facebookなどが制限されているため、中国の通信会社のSIMでは使えないのです。外資系の無線LAN完備のホテルでも、我々が使いたいものはぼ使えないと思ってよいです。Amazonで、香港、中国で使用できるSIM(7日間2GB)が1,250円で販売されています。

SIM

このSIMで中国での接続はほぼストレスなし。ただし、これでもGoogleMapは現在の位置情報が正確に取得できません。iPhoneアプリの「マップ」は、まだ少しマシなようでした。

次回、九份のルーツを探る旅へ続きます。