カンボジアの首都プノンペンから北西約300㎞にある町、シェムリアップ。この小さな町には人類の遺産ともいえる、かの「アンコール遺跡群」があります。

遺跡群を語るうえで欠かせないのが自然が織りなす美しさ。なかでも夕日に輝くその姿は圧巻です。「一生に一度は観ておきたい」という声も多い、カンボジア・アンコール遺跡群の見どころをご紹介しましょう。

栄華を極めたクメール王朝の歴史

アンコール遺跡群とは、現在のカンボジアの起源となるクメール王朝が築いた都城や王宮の史跡です。王朝は9世紀ごろから約500年間続き、政治の中心地として栄華を極めました。しかし、周辺国からの攻撃や王位争奪などが繰り返され、絶えず争いが起こっていました。支配者が変わるたびに造営された都城や王宮は、現在確認できるだけでも60を超えるとされています。

なかでも多くの観光客が訪れることで知られているのが「アンコール・ワット」と「アンコール・トム」。王朝の滅亡とともに一度は廃墟と化した遺跡ですが、約100年前から修復が進められ、かつてクメール王朝に花開いた芸術文化を再び目にすることができるようになりました。1992年にはユネスコの世界遺産に登録されています。

世界最大級の石の寺院「アンコール・ワット」の神秘に触れる

クメール王朝の栄華を象徴する世界最大級の石造寺院アンコール・ワットは、12世紀初頭、当時の王様スーリヤヴァルマン2世によって造営されました。約30年の歳月をかけて建てられたこの寺院は、東西に1.5km、南北に1.3kmと広大な敷地を有しています。池に囲まれた寺院は水面にその勇姿を映し、訪れる人々を魅了。かつて、密林の中にアンコール・ワットを発見した発掘者たちは、その美しさを前に言葉を失ったといいます。

アンコール・ワットに一歩足を踏み入れ、まず驚かされるのが城壁を埋め尽くしている浮き彫り彫刻(レリーフ)です。寺院の守り神とされる蛇神ナーガは寺院に続く参道の欄干に、死後の世界を表した物語は回廊内部の城壁に刻まれ、今もなお、躍動感にあふれています。

また、寺院の入り口にあたる塔門では「デバター」と呼ばれる美しい女神たちのレリーフを目にすることができます。当時実在した女官たちの姿をモチーフにしたとされるデバターたちは同じものがひとつとしてないとされ、その表情はとても豊か。

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Photo by Ch12-15_photoun Yip So

繊細なレリーフを観るなら第三回廊がおすすめ!

とにかく広いアンコール・ワット。一つひとつレリーフを観て回るとなるといくら時間があっても足りません。はじめての方は3つの回廊を中心に回ることをおすすめします。急勾配な階段を上る第三回廊では、繊細なレリーフを間近に観ることができますよ。ただし、この階段、見た目以上に急です!くれぐれも足元には十分気をつけてくださいね。

 

観音菩薩の四面塔バイヨンが住まう「アンコール・トム」

アンコール・ワットに次いで有名な遺跡「アンコール・トム」。12世紀後半、ジャヤバルマン7世によって造営された寺院内部には、さらに個別の遺跡があります。なかでも名高いのが巨大な観音菩薩の四面塔「バイヨン」。敷地内に54体ある表情はすべて異なり、その神秘的な微笑みは「東洋のモナリザ」とも称されています。

アンコール・トムのレリーフには当時の暮らしをモチーフにしたものが多くみられます。市場の風景や当時流行した闘鶏を楽しむ姿など、庶民の暮らしをうかがい知ることができますよ。

樹齢300年のカジュマルに侵食された奇跡の寺院「タ・プローム」

アンコール・トム内部にある寺院「タ・プローム」も外せない見どころのひとつです。この寺院周辺は巨木・カジュマルの侵食が激しく、タ・プロームに絡みつき一体化しています。

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Photo by Felix Triller

その姿は遺跡を守っているようにも見え、はたまた破壊しているようにも見えると現在も意見が分かれています。しかしながら、自然との共存という観点から主だった修復はされていません。

神々の息吹を感じる絶景 夕日に輝くアンコール・ワットは必見!

アンコール遺跡群は、昼と夜で表情ががらりと変わります。そこでぜひ観ていただきたいのが、夕日に輝く遺跡群です。

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Photo by Sang Trinh

真っ赤な太陽が刻々と茜色を濃くしながら沈みゆくとき、アンコール遺跡群も静かな眠りにつきます。夕日に染められたその姿は、クメール王朝時代から変わらない自然の営みです。

自然が織りなす光のマジックに輝くアンコール遺跡群は、生涯忘れ得ぬ感動を呼ぶことでしょう。