遺伝子検査で自分のルーツが分かる! 祖先の足跡を辿って旅にでよう4 最終目的地、アンコール・ワットへ

カンボジアには、2017年7月に世界遺産に登録された「サンボー・プレイ・クック遺跡群」を含め、現在3つの世界遺産があるのをご存知ですか?もっとも有名なのがアンコールワットを中心とするアンコール遺跡群。そしてもうひとつが、タイ国境の山頂に立つプレアヴィヒア寺院です。別名「天空の寺院」とも呼ばれているこの寺院からの眺めは、カンボジア随一の絶景。あまり知られてないけど素晴らしいプレアヴィヒア寺院をご紹介します。
プレアヴィヒアは、クメール語で「神聖な寺院」を意味し、9世紀末にクメール人によって建設され、歴代の王によって増築されてきました。一方、タイ語では「プラーサート・プラウィハーン」と呼ばれ、同じく「神聖な寺院」を意味し、長年その領有権争いが続いていました。
1962年に国際司法裁判所はプレアヴィヒア遺跡をカンボジア領だと認めましたが、そう簡単にはことは収まりません。さらに2008年、プレアヴィヒアが世界遺産に登録されたことにより事態は悪化。2012年のタイの政権交代でようやく落ち着きを取り戻し観光できるようになったという、哀しき世界遺産でもあります。
プレアヴィヒアはシェムリアップから北東へ約120キロ。車でおよそ3時間。これだけ聞くと敬遠してしまいますが、その労に値する景色と遺跡が待っています (労といっても車に乗っているだけですが)。ただ、日中はそうとう暑くなるため、早朝の出発がベター、午前中に見学を終えることをおすすめします。
チケットセンターで入場券を購入したら山頂行きの専用車に乗り換えます。最近まで国境紛争地帯だったこともあり、一般車両と徒歩での入場は禁止。専用4WD車で標高650メートルの山頂にある寺院入り口に向かいます。
プレアヴィヒアは、クメール王朝のヤショヴァルマン1世が創建し、約300年に渡って増築されてきました。現在見られる遺跡のほとんどが、アンコールワットを建立したスーリヤヴァルマン2世によるもの。この寺院完成の後にアンコールワットが建立されているので、その古さはそうとうのもの。また増築はしなかったものの、アンコールトムを建立したジャヤヴァルマン7世も修復にあたっているので、いつの時代も大切な寺院だったことが伺えます。
そんなプレアヴィヒアの見どころは、アンコールワットよりも古い時代に建立されているにも関わらず、ほぼ当時の状態を保っている彫刻たちです。特に2番目の楼門の破風に彫刻されている「乳海攪拌」のレリーフは、アンコールワットの壁一面にも同じ絵柄が描かれているヒンドゥー教の天地創世神話「ラーマヤーナ」の有名な一節。壁一面に描かれているアンコールワットほどの壮大さはありませんが、かなり貴重な彫刻です。
また神クリシュナが毒蛇カーリヤを退治するレリーフなど、修復が施されていないにも関わらず千年前のレリーフが見事に残っていること自体が奇跡。その上、レベルの高い精巧な装飾に思わず見とれてしまいます。
そんなプレアヴィヒアは、山の斜面の自然の地形を利用して造られており、5つの楼門をくぐると山の頂上に辿り着きます。境内のすぐ後ろは標高657メートルの断崖絶壁。眼下には大平原を360度見渡す、カンボジア随一の絶景が待っています。ここまで来た人だけが見られる景色を、是非自分の目で確かめて下さい。
プレアヴィヒア(Preah Vihear)
住所:Preah Vihear,Kingdom of Cambodia
営業時間(チケットオフィス): 07:30~16:00
営業時間(遺跡): 07:30~17:30
入場料:10USドル
専用車1台:25USドル
アンコールワットのように華やかではないけれど、ここには紛れもなく特別な空気が漂っています。個人で行くほか、専用車とランチ代金込みや他の遺跡にも立ち寄る現地発着ツアーも多くあるので参加するのも手ですね。今のところ観光客は多くないので、悠久の時を感じながらゆっくり見学できますよ。天空の古代遺跡に出かけてみませんか?
協力:ベトナム航空