船で国境を越えよう。わずか3日間で堪能できる日本・韓国の船旅
豪華客船に乗って船で海外に行ってみたい。誰しも一度は憧れるシチュエーションである。でも、船の旅はお金も休みもたくさん必要になるし、せっかく長期の休みが取れても、ほとんどの期間を船内にいるなんて少しもったいない気もする。実際、船旅を体験した人は、思ったより退屈だったという話も聞く。
でも、下記のような条件ならどうだろうか?
・全行程わずか3日間
・東京や大阪出発で、かかる交通費は3万円程度
・海外も行きたいけど、最近人気の福岡にも寄りたい
・都会もいいけど、日本の離島の自然も味わいたい
・韓国で思いっきり焼肉を食べたい。
・日本人がほとんどいないビーチでまったりしたい。
それ、全部実現できるのとすれば、行きたいだろう。というわけで、さっそく行ってきた。
1日目:東京→福岡
この日のスケジュール
朝 :のんびり成田に集合
昼 :成田空港から空路で福岡空港へ
夕方:福岡市内観光(主に屋台)
深夜:博多港から対馬・比田勝港へ
船中泊
まずは、LCCを使って成田から福岡へ。福岡空港から地下鉄で10分足らずの中洲川端駅で降りると、そこは言わずと知れた繁華街・中洲だ。屋台が集まるエリアにやってきた。
「屋台村」のようななかばフードコートのような施設とは違い、路上や公園にて街の風景に溶け込む形で営業する屋台が軒を連ねるのは、国内で福岡だけ。しかし、店舗数は徐々に減り続けており、現在約100店舗。いつかは屋台文化自体がなくなってしまう可能性もある。というわけで、せっかく福岡に来たからには屋台で飲むしかないぞ。
18時にもなれば大半の屋台が営業を始める。那珂川沿いをフラフラと歩いていると「お兄さん、一杯飲んでいってー!」と威勢のいい声が飛び交う。食欲をかき立てるニオイがそこらじゅうから漂ってくるし、料理や店内が丸見えの屋台だけに、どこに入ろうか目移りしてしまう。
一軒目に選んだのは手作り餃子の「武ちゃん」。遊び人風のおじさんにおすすめ屋台を聞いたところ、開口一番に出てきたのがこちらだ。混んでいるとは聞いていたが、ちょうど一席空いている。これ幸いと滑り込んだ。お店の奥さんに聞けば、週末には30人程度行列を作ることも珍しくないんだとか。
注文したのは一口餃子と土手鍋、そしてビール。写真は土手鍋。牛すじとホホ肉を白味噌でじっくりと煮込んである。これがうまい。牛すじはプリプリで濃厚だし、真っ赤な自家製柚子胡椒を添えると絶妙なアクセントになり、酒がすすむ。
餃子は注文を受けてから皮を包む本格派。
ちなみにこちらのお店、食べ物のみ最初のオーダー時にしか注文できず、追加注文を受け付けていない。私はもっと注文しておけばよかったと本気で後悔したので、多めに注文しておくことをオススメしたい。
武ちゃん
住所:福岡県福岡市博多区中洲一丁目 清流公園
TEL:090-9479-6348
営業時間:18:00 ~ 24:00
営業時間・定休日は変更になる場合があるので、事前に確認したほうがよさそうです。
開店直後の18時、閉店前の23時ころが比較的空いているそうだ。
せっかくなのでもう一軒だけ
もうひとつ屋台が集まるエリアが天神だ。中洲からのんびり歩いても15分程度。こちらでも一軒寄ってみよう。
おでんに鉄板焼き、一品料理も各種揃える屋台ののれんをくぐってみた。オススメは焼きラーメンとのこと。福岡屋台の名物として人気のメニューだ。ぜひ食しておきたい。
焼きラーメンとは茹でた細麺に野菜や豚肉を混ぜ、煮詰めた豚骨スープで焼きそばのように仕上げた福岡屋台発祥の料理。初めて食べたが一口食べて気に入った。濃い豚骨味が非常に酒と合う。
「観光で来られたんですか?」お隣さんから声がかかった。聞けば通って30年になる常連さんだとか。
「長いんですね。30年ともなるとその間に生活の変化もあったんでしょうね」
「あぁ、マスターには結婚式にも来てもらったよね」
「そうそう。俺も30年でいろいろ失敗もあったなぁアハハ!」
芋焼酎を舐めながら、時間を忘れて一見客も常連も関係なく盛り上がる。まさに屋台の醍醐味だ。マスターも気さくで居心地がいい。長く通う常連さんが多いのもうなづける。フラッと立ち寄りたくなる店だ。
八方亭
住所:福岡県福岡市中央区天神2-14-13 野村證券駐車場北側
電話:090-9490-9142
定休日:不定休
営業時間:18:30〜翌2:00
腹ごしらえは完璧! いよいよ乗船です
天神からバスで10分程度で国内航路用の第2ターミナルに来た。向かう先、対馬には2つの港があるが、我々一行が向かうのはより国境に近い比田勝港。シーズンにもよるようだが、福岡から比田勝港へは1日1便でこの日は深夜発のみ。
あいにく小雨は降ってきたが、向かう対馬は晴れ予報。屋台でたらふく飲んでフェリーで寝ながら玄界灘を北に進んで行くなんて、なかなか無い夜だ。ある意味贅沢なのかもしれない。
出港を待つ「フェリーげんかい」。対馬の比田勝港まで147kmを6時間近くかけて渡る予定だ。実際に船を目にすると、否が応でもワクワクが高まる。
フェリーげんかいはゴロ寝スタイルの2等船室のみで個室は存在しない。乗客は地元客や長距離ドライバーなどを中心に30名程度。女性の姿もチラホラ見かける。出港すると早々にほとんどの乗客は横になる。私も1枚50円で借りられる毛布に包まり心地よい眠りに落ちた。
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2日目 福岡―対馬
この日のスケジュール
早朝:対馬・比田勝港着
朝 :レンタカーを借りる
日中:車で島を散策
夕方:いよいよ船で韓国・釜山へ
夜 :釜山で焼肉を食べる
早朝4時半にフェリーは対馬北部の比田勝港に入港した。しかし、そんな早朝に下船しても特にすることはない。案内によると、朝7時まで船内にいてOKとのことで遠慮なく眠らせてもらうことにした。まるで船会社公認の二度寝タイムのようだ。
対馬上陸後、レンタカーを借りて向かったのは対馬中部に位置する和多都美神社(わたつみじんじゃ)。古くから竜宮伝説の言い伝えが残るお社だ。入り江に鳥居が三基並んでおり、まさに竜宮城へとつながっているような神秘的な佇まい。
境内の三本の柱で作られた三柱鳥居は全国的にも珍しく、パワースポットとして訪れる参拝客も少なくない。
和多都美神社
住所: 長崎県対馬市豊玉町仁位55
電話: 0920-58-1488
和多都美神社からほど近い烏帽子岳山頂の展望台に来れば、360度パノラマが望める。浅茅湾のリアス式海岸や無数の島々が織りなす造形美は見応えあり。天気がよければプサンの町並みまで望めるそうで、対馬の人もイチオシの絶景スポットだ。ひっきりなしに観光客が来ていたので、できれば朝早く静かな時間に訪れてゆっくりと景色を眺めるのがおすすめだ。
烏帽子岳展望台
住所:長崎県対馬市豊玉町仁位
対馬の道を走っていると何度も見かける看板。ツシマヤマネコは絶滅危惧種に指定されている、野生の猫だ。せっかく対馬に来ているのだから、ぜひ本場で生きたツシマヤマネコを拝みたいと野生生物保護センターに立ち寄ってみた。
残念ながら、訪問時にはツシマヤマネコの福馬(ふくま)くんの体調不良により見ることはできなかった。しかし、館内では、ツシマヤマネコのみならず対馬の野生動物についても詳しく解説がされており、興味深い。
対馬野生生物保護センター
住所:長崎県対馬市上県町佐護西里2956−5
営業時間:10:00〜16:30(受付は16:00まで)
電話: 0920-84-5577
定休日:月曜日
三宇田浜は平成8年に「日本の渚・百選」に選ばれた海水浴場。透明度が高く、砂もサラサラで白く、エメラルドグリーンに輝く遠浅の海は南国のビーチリゾートにいるかのようだ。トイレ・シャワーも完備しており、夏は家族連れでにぎわう。訪問時は6月だったが水もさほど冷たくなく、すでに泳いでいる人の姿も見られた。私も膝まではつかってみたが、海水パンツを持ってくるべきだった。
三宇田浜
住所:長崎県対馬市上対馬町西泊1217
フェリーの港がある比田勝の中心部に戻ってみると、朝見た閑散とした風景とは打って変わって、多くの旅行者でごった返していた。観光客の9割以上は韓国人旅行者だ。
国際フェリーターミナルも超満員。聞こえてくる言語はほぼ韓国語。日本の離島とは思えない空間だ。元々、対馬は日本本土と朝鮮半島との中継貿易で栄えた地。今後も日韓友好の島として、大いに発展してもらいたい。
いよいよ最終目的地であるプサンへの船に乗り込んだ。こちらはフェリーではなく水中翼船・ビートル号。プサンまでの76kmをわずか1時間10分で結んでいる。いざ、韓国へ!
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2日目(夕方)対馬→釜山
2014年に開通した臨海部のランドマーク、プサン港大橋。橋をくぐって港に入る船からプサンの街を眺めると海岸の山肌にへばりつくように、高層ビルが林立しているのがよくわかる。
入国審査を済ませて、真っ先に向かったのは夕暮れ時の甘川(カムチョン)文化村。今話題のインスタ映えスポットだ。山の斜面にカラフルな色に塗られた家々がひしめき、まるでおとぎ話の世界のようだ。もとは朝鮮戦争の際に北朝鮮から逃げ延びてきた人々がつくった集落だったが、2009年からアートによる町おこしが行なわれ、観光地としても人気となった。
丘の上にあり、急勾配な坂道を歩く必要があるので履きなれた靴で行くのがおすすめ。細い路地を進んだ先にもアート作品が点在しており、探す楽しみもある。
甘川文化村
住所:釜山広域市沙下区甘内2路203
プサンを代表する繁華街・ナンポドンを散策。腹が減ったのでレストランに行こう。ギラギラのネオンと、いけすで泳ぐ魚介類が目を引く。海鮮も惹かれるが、今日は肉が食いたい。というわけで、カルビのお店が並ぶエリアへと歩を進める。
日本人にも人気の炭火焼肉店「プサンスップルカルビ」を選んだ。スップルとは炭火のこと。
韓国のカルビ焼肉店ではまずはじめにサービスでキムチやサンチュなど添え野菜が用意される。これは日本の居酒屋でいうお通しのようなもので、足りなくなれば、無料で追加注文できる。たくさん野菜がとれるからヘルシーだ。
おすすめされた味付きプルコギはやっぱりうまい! 甘辛いタレが抜群で肉も柔らかい。
店員さんにお任せしておけば肉を焼いてカットしてくれる。日本語が通じなくとも、身振り手振りで十分伝わる。
シメはやっぱり冷麺。弾力の強い麺にさっぱりしたスープが絡んで、お腹いっぱいのはずなのに箸が止まらない。
プサンスップルカルビ
住所:釜山市中区新昌洞3街4
営業時間:11:30~23:40
食後の腹ごなしにすぐ近くの国際市場を歩く。ここは食べ歩きできるフード屋台やファッション用品、お土産物店などが多く集まる雑多な雰囲気のエリアだ。夕方で閉まる店が多いが、営業している店を見つけて立ち寄ってみる。
たまたま古着屋さんで見つけて一目惚れした一着。すべて1000ウォンで売られていたので、日本円で100円足らずで買えたことになる。国際市場周辺の店は掘り出し物に出会えることが多い気がする。ただし、値札が付いていない店が少なくないので、値段交渉は慎重におこなおう。
こちらは南浦駅からすぐのフラワーカフェ。天井にはドライフラワーが一面に広がり、アラフォーおっさんの私もなんだか幸せな気分になった。
氷自体にも花が入っていて、女子ウケ間違いないソーダドリンク。ほんのり甘くて飲みやすく、歩き疲れた体にちょうどいい。
コッバテ
住所:釜山市中区光復路92-3階
営業時間: 11:00〜22:30
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3日目 プサン→東京
この日のスケジュール
朝 :西面で韓国人の朝食の定番、デジクッパを食べる
昼 :韓国一のビーチリゾート ヘウンデ(海雲台)に行く
夕方:釜山・キンポ国際空港→成田空港
翌朝、帰国のフライトを4時間後に控えて最後の韓国メシに選んだのはプサン名物「テジクッパ(テジとは豚肉のこと)」。そのテジクッパ屋さんが集まる場所が、西面(ソミョン)という若者の街にある。
6店舗ほどテジクッパ屋が並ぶが、一番の人気店は「松亭3代クッパ 」だ。外観は実に庶民的な食堂然としているが、70年以上続く老舗なのだそう。
脂っこくなく、くさみもない優しい味のスープ。そこに付け合わせのニラやキムチ、塩こしょう、アミエビの塩辛で味を調整していく。この自分好みのスープを作り出す作業と、徐々に変化していく味を楽しむのも、テジクッパを食べる喜びといえる。
豚肉は取り出して醤油ダレや味噌ダレにつけて食べてもおいしいし、ご飯や麺を加えてすすると幸せな気分になれる。一杯のスープに無限大の可能性を感じられる大好きなテジクッパだ。
松亭3代クッパ
住所:釜山広域市釜山鎮区釜田洞255-15
営業時間:24時間
海雲台(ヘウンデ)ビーチは大都会・プサンの高層ビル群が立ち並ぶエリアにあり、地下鉄駅からもアクセスできる便利なビーチリゾート。1.5km以上続く弓状の海岸線は美しく整備されており、周辺にも高級ホテルやレストラン、カジノがそろっている。ビーチを眺めて日がな一日読書をするもよし、日光浴をするもよしのエリアだ。
私もできれば一日ビーチでのんびりしたかったが、日本への帰国便の時間が迫っており、ゆっくりしてはいられない。写真を数枚撮ると、腰をおろして海を眺めた。水平線の先の日本に戻るのは少し憂鬱な気分にもなるが、3日間濃密な時間を過ごせたことでリフレッシュができた。さぁ帰ろう。
文=大和田牛蔵
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初めまして。酒と旅行がメインのブログを書いているcongiro(コンヒーロ)と申します。 普段から日本各地を旅しては、地元の方々が飲んでいる日常系の日本酒を好んで買って楽しんでいます。 特に好きなのは、その土地の日常酒を、その土地の方たちがいる酒場で飲むことですね。「誰かの日常は、私の非日常」。それを念頭に、いつも楽しく旅をしています。...
お世話になっております。会社員兼業ライターの赤祖父と申します。6歳男子、2歳女子の2児の父親でもあります。 前回に引き続き、今回も「息子に興味のあることを聞いてプランを組み立てる、親子ふたり旅」へ行ってきましたので、その内容をご紹介します。旅の終わりには、こちらも前回と同じく、思い出を絵に描いてもらいました。未就学児と旅をする上でおすすめの“鉄道体験”についても触れています。 「雪が見たい」の一言で、行き先は青森に決めた...
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